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2001.8.4
 
 


このままならずっとGDPゼロ成長(4)…

 「設備」、「働く人の数」ともプラス成長が期待薄としたら、残りは生産性向上、即ち「技術革新」だ。

 まずは、純科学技術の研究開発を考えてみよう。単純な算数では、期待薄と言わざるをえない。というのは、90年代の日本の研究開発費の伸び率はプラスとはいえ急激に鈍化したからである。そのアプトプットがでてくる2005年頃までは、たいしたインパクトは無いと見るのが自然だろう。もともと、日本では同一分野で競合する企業が多いから、研究開発効率は悪い。事業統合も一部に見られたが、全体で効率が上がったとはいえまい。従って、エコノミストが期待する程の効果がでるとは考えにくい。
 しかも、日本が進めている純科学技術の研究開発は、非製造業セクターに大きな影響を与えるようなものは少ない。製造業は日本のGDPではマイナーな位置でしかない。たとえ、ここで成果が出ても、全体への影響は軽微である。

 にもかかわらず、期待が大きいのは、規制緩和で産まれたケータイ市場の類推だろう。確かに、大型産業が生まれたり、生産性の急激な上昇は可能だ。しかし、そのような動きになっているといえるだろうか。
 一見すれば、タクシー規制緩和や電話料金2割引というような表層的自由競争は目立つ。しかし、なかには、意味の薄い競争もある。
 電話企業の競争はその典型だ。電話の仕組みは高額膨大な設備が必要だから高価な電話料金になるのであり、データ通信料金の大幅下げをしないで、電話会社の熾烈な企業間競争を続けても、壮大な無駄でしかない。技術を理解しない、ピント外れの規制緩和は逆効果である。老衰期の電話サービス事業を競争させて収益を削らせ、伸びる事業の目を摘む方針が「自由競争の成果」とされる限り、将来は暗澹たるものといえよう。空いている電線やケーブルを伸びる産業に公開して、活用者にインセンティブを与えるとか、NTTの優れた技術を電話サービス事業から分離して大型事業化を図るというような施策は、実質的には遅々たる進み方だ。
 デジタルTV放送に至っては、インフラをできる限り公開しないつもりのようだ。アナログ放送を高額な投資でデジタル放送に変えるだけで、異業種や革新的な企業の参入をできる限り排除したいと考えているとしか思えない方針である。一番重要な産業分野でこのような状況である。
 今のままなら、規制緩和で成長余力が加わるといっても、おそらく微々たるものだろう。

 こう考えると、「技術革新」のGDP成長プラス寄与は極く僅かと見た方がよいだろう。

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