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2006.9.6
 
 


格差是正論の胡散臭さ…

 所得格差が拡大しているから、これを是正すべきとのキャンペーンを耳にすることが多い。

 確かに、生活が大変になった人は少なくない。日々苦しい生活を送っている目から、大儲けしている人を見れば、是正に動こうとの声に、拍手したくなる気持ちはわからないでもない。

 しかし、格差是正とは、どんな政策を意味するのか、人によって大きく違う。よく注意して話を聞いた方がよい。

 と言うのは、格差拡大は、先進国共通の症状であり、止められない面もあるからだ。グローバルな競争が始まれば、競争力を欠く産業に皺寄せが来るのは避けられない。弱い産業に係わる人達の所得は下がらざるを得まい。

 これではこまるということで、補助金を出して弱体産業を救おうと考える人は多い。名目は、格差拡大是正だけでなく、競争力強化とか、雇用促進など色々だが、実体は、生産性が高い産業に弱体産業がおぶさるに過ぎない。
 無理筋の方針だが、当座の混乱を防ぐという点では、安直な解決策である。これが、どんな結果をもたらすかは、自明だが。

 当たり前だが、強い産業のさらなる強化と、そこから生まれた利潤で新しい産業を切り拓くしか発展する術はない。より生産性の高い産業へと人が流れる仕組み作りができなければ、将来は暗澹たるものになろう。
 しかし、残念だが、そんなことなどどうでもよい人が大勢いるのが現実である。

 そんな人達の口車にのると大変なことになりかねない。
 所得格差は狭まるが、所得の絶対値は次第に下がるだけ。歯止めは一向にかからない。その結果、一番被害を被るのは、結局のところは生活困窮者層である。そんな方向にだけは進んで欲しくないと思う。

 所得格差是正論者の話を聞く際には、格差発生原因のどこに問題意識を持っているのか、よく注意した方がよい。

 経済が好転し、弱体産業を救う力ができた筈ということで、鵜の目鷹の目の人達が動き回っている可能性が高いからだ。
 税金にぶる下がって上手く食べようという人達が蠢き始めた訳である。

 この動きにのったら、大変である。
 経済好転といっても、底は浅いからだ。政府は改革らしきことは何もしていないから、効率は悪いし、負担も軽くなったどころか、さらに重くなっているのが実情である。
 好転したのは、民間企業が、やるべき最低限のことを行って、利益体質を目指したから。しかも、ようやく投資ができる体力がついた段階。これから、リスク覚悟で、新時代を切り拓く動きをしてもらわないと、発展軌道に乗ったとは言い難い。
 ところが、そんな時、次世代に向けて資源投入するのでなく、競争力なき企業に回せという勢力が力を持ち始めたのである。

 この勢力を後押しするのが、企業が利益を出していることを、憎々しく語る人達である。日本企業は、拝金主義に陥っているとか、過度の株主重視だと言い出す。
 それでは、余剰人員、過剰債務、過大生産設備を放置した方がよいと言うのか。あるいは、借金を返せそうもない企業に、政府が、銀行に指示して融資させる仕組みを作らせたいのか。

 まさか、経済低迷が続けば、そのうち革命前夜状態が到来するから万々歳という訳でもあるまいが。

 ともかく、問題を先送りさせたい人は多いのである。

 そんな勢力に囲まれたら、倒産の道を選んで欲しい。連鎖倒産さえ防げれば、これは決して悪い方策ではない。社会に必要な事業や、競争力発揮の根拠があれば、すぐに再出発できるからだ。
 見違えるような企業への変身も夢ではない。

 くどいが、問題の先延ばしだけは止めてもらいたい。それに伴う所得格差発生は、辛いが、我慢して頂くしかない。
 それなくしては、経済を発展軌道に乗せることはできないからだ。

 この感覚なき所得格差是正論は、胡散臭くて、とても信用できない。

続く → (2006年9月7日予定)


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