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2002.11.10
 
 


地熱発電の国際比較…

 日本のエネルギー政策論議の不思議な点は、常に海外の状況を引用し、それを論拠にした主張がまかり通る点だ。
 ITインフラの議論なら意味があるが、前提条件が全く異なる国と比較して意味があるとは思えない。

 実際に、海外の地熱発電状況を見れば、すぐわかる。
 最大の発電容量は米国だ。それでも僅か255万kWにすぎない。2位はフィリピン。日本は6位で55万kW。(http://www.nedo.go.jp/chinetsu/keimou2/index.htm) 
 国土広大な国のほんの一部で行われている発電や、発展途上国の発電と比べて意味があるだろうか。
 それより、伊(92万kW)、アイスランド(17万kW)、ポルトガル(2万kW)以外の欧州の国が登場しない理由を考えた方が意味があるだろう。

 地熱発電推進論者には、次ぎの質問への回答を聞かせてもらいたいものだ。

 ・ 送電ロスも多そうな遠隔地での小規模発電で、他のクリーンエネルギーと比較した経済性はどの程度なのか?(地域振興メリットは除外し、すべての準備費用を含める。)
 ・ 地熱発電に投入しているすべての資源を他のクリーンエネルギー発電や省電力化の支援に回したら、どれだけの発電量に当るのか?

 もっとも、こうした議論をさせないのが、日本の政策論議の特徴である。 

--- 地熱に関する各国の姿勢 ---
意思決定者 背景 焦点
北欧
政府
地域コミュニティ
地域暖房システムの存在
(既設温水配管)
温水暖房併設
経済性(他との比較)
米国 国家 先端科学開発重視
(国研)
安全保証と威信
フィリピン 海外援助元
国家/地元資金源
燃料輸入不要策
(小規模投資で稼動)
定常的な発電
日本 政府機関 代替エネルギー開発方針
(クリーン化)
エネルギー政策上の
位置付けは不明瞭


   過去記載の
   → 「地熱発電技術開発にかけるべきか?」へ (20021106)
   → 「貯留熱水層発電の見込み」へ (20021108)


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