表紙 目次 | ■■■ 分類の考え方 2014.4.25 ■■■ いずれが菖蒲/綾目/杜若 先日、たまたま、「菖蒲園」と記載された場所を通りがかった。 そこでついつい思い出したのが、約一か月前の記載。 → 単子葉はモンスーン命植物か [2014.3.16] ショウブと読めば、一番の古手株。 昔は確か、里芋の仲間とされていたが、見直された訳だ。 アヤメと呼べば発展形になる。 両者は、素人から見ればよく似ており近縁としたいところだが、 系譜上はかなりの隔たりがある。 と言っても、文字情報を眺めただけのこと。うすっぺらな知識でしかない。 それに気付かされたのは、ショウブ畑を一心に手入れをされていた方達がおられたから。 水辺の草花とばかり思っていたのだが、畑状態で、雑草も生えているところに植わっていたのである。しかも鍬で掘り返していたのだ。おそらく、不審顔でその行為を眺めていたのである。 そんな暇人も珍しいと言うことか、お仕事中というのに、会話を交わすことになった。そして、生の情報を頂戴した訳。・・・ ショウブとは実は湿田の植物という訳でもないという。見物人が来る前に、一面、水を張るが、その前は乾田状態なのである。いわば、両刀使いの植物。 そうとはツユ知らず。 もっと正確に言えば、実は、それはショウブではなかったのである。菖蒲湯に使う葉は確かに正真正銘のショウブだが、花を眺める場合はハナショウブ。 そんなもの、葉と花の違いだけじゃないかと言うなかれ。植物学的には全く無縁なのだ。ハナショウブとは、アヤメの一種なのである。ショウブに葉が似ているということなのだろうか。 ショウブは根が発達している里芋に似て、基本的には泥地系植物である。 以下の如き植物群。(【中国名】) <"IRIS"ではなく、里芋の類縁>【天南星】 ○ショウブ/菖蒲 or 尚武/Sweet Flag【菖蒲 or 白菖蒲】 やや小柄の山野系(渓流)は、 ○セキショウ/石菖/Japanese Sweet Flag【石菖蒲 or 金錢蒲】 ・アリスガワゼキショウ/有栖川石菖 ・コウライゼキショウ/高麗石菖 厄介なことに、ショウブの漢字「菖蒲」をアヤメと読むこともごく普通。間違いを防ぐために、「綾目」とすべきと思うが、こちらを使う人は滅多にいないのが実情。 両者は"IRIS"[訳:アヤメ]の仲間【鳶尾】として扱われており、類縁だが、生態はかなり違う。 と言うのは、アヤメは湿地をえらく嫌う植物だからだ。つまり、たいていの「あやめ祭り」とは偽名でしかなく、本当は「ハナショウブ祭り」ということになろう。 そのアヤメ族を見ておこう。 <陽光当たる乾燥地系の"IRIS"> 代表的特徴としては、なんといっても花弁に文目があること。 湿地のようにはいかないので、背丈はそうそう伸びないが、そのかわりに頭でっかちでもなんとかなるので、花は大きくなる。 ○アヤメ/綾目/Siberian Iris【溪荪】 どういう訳かとんとわからぬが、種類が余りに少ない。 言い方が悪いか。 栽培品種がさっぱり並ばないのだ。 以下のように、洋モノだらけ。 渡来種でもなかろうに。 ・ドイツアヤメ/独逸綾目/German Iris【コ國鳶尾】 ・スペインアヤメ/西班牙綾目/Spanish Iris ・イングリッシュアイリス/English Iris ・ダッチアイリス/Dutch Iris ・ニオイイリス/匂/Florentine Iris【香根鳶尾】 只、特殊な種類はあるが。 ○ネジアヤメ/捻綾目【馬藺】 ○ヒオウギアヤメ/檜扇綾目 後述するが、この檜扇も曲者。 小振りのアヤメにも触れておかねば。公園にもよく植わっているし、そこらじゅうで見かけるから、皆さんご存知だと思う。 ○シャガ/射干/Fringed Iris【蝴蝶花】 さらなる小振りも。 ○ヒメシャガ/姫射干 なかでも、江戸っ子に気に入られたのは、先に開花するタイプのようだ。初花の語呂合わせで、末広がりの八にしたと見える。 ○イチハツ/一八/Roof Iris【藍蝴蝶】 ところが、この「射干」という命名が、またまた厄介な問題を引き起こしてくれる。上記の中国名を見るとわかるが、「胡蝶」と全く異なる名前とくる。茎が長い、弓矢の長い竿の如しとの植物「射干」は別種ということ。ただ、DNA鑑定の結果では、別種ではなく、アヤメ一家のメンバーとされたようだが。 ○ヒオウギ/桧扇/Black Berry Lily or Leopard Flower【射干】 確かに、葉は桧扇形ではあるのだが。 ○ n.a.【白射干】 なんと言ってもシャガが不思議なのは、矢鱈に見かけること。自然に広がるとも思えないから、皆に愛された結果だと思うが、胡蝶花として気に言った訳ではないのである。しかも、この花、陽光が当たってくるとすぐにへたってしまう。要するに、木陰で育てることになる。湿地よりは格段に栽培は楽だが、そんな場所で観賞というのも、どんなもんかネ。そうそう、それに、薬効はなさそうだし、とりたてて利用価値があるとも思えない。 うーむ。考えてもわからん。 ということで冒頭のショウブことハナショウブに戻ろう。 こちらは、もっぱら観賞用である。背丈がそれなりにあるので、一個の花はどうしても小さくなるが、群れて開花すると絵になるので持て囃されたのだろう。従って、園芸品種も多い。その名称を覚える気はしないが。 <乾燥地も湿地も大丈夫な"IRIS"> ○ノハナショウブ/野花菖蒲 「野」でないのは、園芸種と考えるべきなのだろう。 ○ハナショウブ/花菖蒲/Japanese Iris【紫花鳶尾】 ・カマヤマショウブ/釜山菖蒲 ・キショウブ/黄菖蒲/Yellow Flag Iris【黄菖蒲】 ここで、忘れてならないのが、尚武のイメージとは反対ともいえる、アヤメと美麗さでショウブするカキツバタ。確かに、派手な花である。しかしながら、一般人の目は、アヤメやハナショウブとすぐに見分けることができるほど肥えてはいないのが実情。 言うまでもないが、こちらはまぎれもなく、水辺に咲く植物である。 そして、漢字では「杜若」。 <水辺の湿地の"IRIS"> ○カキツバタ/杜若 or 燕子花/Rabbit-ear Iris【燕子花】 語源はカキツバナ(書付花)だろうか。 意味は定かでないが。 それを何故、「杜若」と書くのだろうか。 そのいい加減さには恐れ入る。 中国では、全く違う種類の植物だからだ。 <非"IRIS": 茗荷でもなく、露草の類> ○ヤブミョウガ/藪茗荷【杜若】 こうして見ていくと、いずれが、綾目、杜若、燕子花、菖蒲、石菖、射干、なのかとならないか。 滅茶苦茶にもほどがあろう。 (C) 2014 RandDManagement.com |