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■ 分類の考え方 2014.12.27 ■


猛禽類の概念とは

猛禽類とは、鋭い爪と嘴を持ち、他の動物を捕食(or 腐肉食)する習性のある鳥類ということらしい。
肉食獣の爪と牙に対応した見方だろうか。

しかし、梟と鷲/鷹は、狩りをするという点では同類でも、その姿は余りに違う。どうして一緒に扱わねばならぬのか、疑問が湧く。

と言うのは、肝心の足だが、梟はキツツキ型の前2後2であり、鷲/鷹は普通の鳥の前3後1だからだ。肉を引きちぎるために鉤爪になっているとされるが、それなら、足の形も同じになってよさそうなものでは。素人分類なら、両者の爪足は別モノ。要するに、分類概念が違うということ。
 (1) ニワトリのように主に地上を歩く。
 (2) メジロのように枝に留まる。
 (3) キツツキのように木にしがみついたりよじ登る。
上記のように考えるのが自然であり、狩りをするためというのは、付随的なものであり、それを猛禽類の特徴とするのは強引な感じがする。
つまり、鉤爪とはもともとは(3)ということ。狩りや肉裂き目的は副次的に派生したと見る訳だ。

顔にしても、梟は時計板のように平な印象を与えるが、鷲/鷹は普通の鳥とそう変わるものではない。獲物までの距離を正確に図るために両眼が正面を向いているとされるが、これもしっくりこない。夜行性動物の写真を見ると、たいてい2つの目が光って並んでいる。暗がりで広い範囲を見ても意味は薄かろう。従って、夜行性の梟と昼行性の鷲/鷹の、目の類似性議論には無理を感じる。そう思うのは、実際に眺めてみると、両眼で真正面を見ているとも言い難い鷲/鷹もいるからだ。

一方、隼になると、小振りな鷲/鷹という雰囲気濃厚である。従って、長いこと猛禽類の一種と見なされてきた。
ところが、鳥類学者がそのボディプランをじっくり検討すると、これらに類縁関係無しとなる。そして、分子生物学でもその見方が裏付けられた訳だ。
それなら、「猛禽類」という用語を捨て去ればよいと思うが、未だに、昼行性が鷲/鷹類で、夜行性が梟類として、そのまま残っている。棲み分け分岐の証拠がないなら、そのような言い方は止めるべきだと思うが。

子供自分に図鑑を眺めるのが好きだった人だと、こうした意見に多少の共感を覚えるのでは。
思い出して頂けばわかると思うが、猛禽類のお隣には、何故か鴨とか雉が並ぶのだ。それが何を意味していたのか、今もってさっぱりわからず。こういう分類は止めて欲しいものである。・・・「分類」であることを肝に銘ずるべし。(猛禽類を設定すれば非猛禽類も同時に決まる。そちらはゴタまぜという印象しかなく、それほどに猛禽類とは特殊で例外的な訳がなかろうと感じた訳である。そう感じなかった人は、猛禽類に興味がないか、概念思考を抑制し、丸暗記学習を強制する教育にどっぷり浸かっていたということ。)

「猛禽類」という用語を残したいなら、それは系統の分類とは無縁で、狩猟生活をする鳥類を指す言葉とすべきだと思う。隼や百舌を入れるべきである。一方、死肉や腐肉しか食べない鳥の扱いをどうするか考える必要があろう。入れるなら、狩猟ではなく、食物を切り分ける能力の有無で分類することになろう。まあ、いずれにしても、食性で分類する訳だ。
 ハヤブサ:体重1.8キログラム以下の鳥類主体
 モズ:昆虫,節足動物,甲殻類,両生類,小型爬虫類,小型の鳥類,小型哺乳類

そうなると、鳥獣は狩らないが、両生類や爬虫類は対象にしているモズガラスやカワセミも含めるべきかも知れない。
昆虫食だが、ヨタカも鷹に類似なのだろうから、これも入れたくなろう。そうなると、カッコウを何故外すのかとなってくる。魚食だが、小型の甲殻類をえらく好むと言われるコウノトリもグレーゾーンか。

分類を考えるというのは、こういうことでは。
先ずは、なんのために、その概念が必要なのかを明確にすることが出発点。今迄ずっと使われている用語だから存続させようとの姿勢は最悪。脳細胞劣化を奨励しているようなものだと思う。

実は、素人からすれば、百舌が猛禽類でなく、雀/烏系と見なすことに、なんの驚きもない。そもそも、烏は、鳩程度の大きさの鳥なら平然と襲うし、その肉を食すからだ。それは都会の烏だからかも知れないが、もともとは肉食鳥だったのではないかと思わせるシーンなのだ。
実は、雀も残飯の肉の欠片を喜んで食べたりする。
と言うことは、様々な種子/果実が大量に存在するようになった時代に、肉食から転向したのではなかろうか。その名残があって、今でも、なんらかの方法で動物性蛋白を摂取したくなるということかも。全くの想像だが、実は、繁殖時に肉食が不可欠だったりして。

まあ、そろそろ分類の名前を、一般の人でもわかるように工夫してもわわねば。と言っても、それには絶大なる知恵が必要となろう。

例えば、ダチョウを古代風走行鳥類とし、ガン/カモとキジを合わせて古代風飛翔鳥類とでもするのはどうか。
しかし、フラミンゴとカイツブリをまとめてどう名付けるかは難題となる。さらに、これらにハトも加えた一群となると、お手上げか。
分析思考無用の時代に突入したようである。唯一頼れるのは、自分の創造力のみ。
   「鳥分岐図を眺めて」[2014.12.26]

┌─広嘴[亜ア]
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│└─太蘭鳥[米州]

↑【亜鳴禽類】
┌┤
↓【鳴禽類】
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││┌─百舌/Bull-headed shrike
││├─烏秋[オウチュウ]
││├─風鳥[極楽鳥]
│├┤
││├─笛烏,百舌烏
││├─橿鳥[カケス]
││└─
│├──琴鳥,叢鳥,庭師鳥,木登,蜜吸
││┌─四十雀,吊巣雀,鶯
││├─鶲[ヒタキ],鶫[ツグミ],椋鳥,河烏,
│└┤木走,鷦鷯[ミソサザイ],五十雀
│┌
└┤
├機織鳥
├楓鳥
├天人鳥
├岩雲雀
├鶺鴒
├花鶏[アトリ]
└頬白,風琴鳥,猩々紅冠鳥
┌┤
│└───岩鷯[イワサザイ]
┌┤
│└──鸚鵡
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│└───
┌┤
│└────野雁擬
【樹上棲】
┌─翡翠

├─絹羽鳥,犀鳥,蜂喰,啄木鳥
┌┤
│└─仏法僧
┌┤
│┌┤└──鼠鳥
│││
││└───梟類
└┤
│┌───鷹類[欧亜ア]
└┤
└───コンドル類[米州]

【樹上棲】↑
┌┤
│└【水鳥/海鳥】
┌┤
│└─爪羽鶏,鶴,千鳥
┌┤
││┌─蜂鳥,雨燕
│└┤
└─夜鷹

│┌──野雁,烏帽子鳥
└┤
└──郭公


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