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■ 分類の考え方 2016.1.10 ■


植物とは(続)

分類話は至る所で見かけるが、素人にはピンとこないものが少なくない。生物全体のなかでの植物の位置付けがよくわからないことが多いせいでもある。そこで試しに整理してみた訳である。  植物とは[2015.12.8]

当たり前だが、分類というのは対象全体を措定し、それから区分するものだから、たとえ素人だとしても、先ずは全体をザッと眺めて見なければなるまいというだけのこと。

間違えてはこまるが、植物の分類そのものが、内容的に難しいとは思っていない。日常使わない手の用語だらけなので、ハードルは極めて高いが、それらの概念自体は単純な筈だからだ。(勿論、細かな点を知りたいなら話は別。)
しかし、問題は、使用されている用語。読み易そうなサイトがあっても、分類用語は素人にはすぐにわからない。特に、暗記大嫌いな性分だと難関そのもの。
"Evolutionary Ordering of Plant Groups"@Plant Evolution and Paleobotany by James Boyer

もちろん、日本語で読めるものがあるが、厄介なのは、他と同じ用語を使っているとは限らない点。しかも、検索しても簡単には見つからない語彙だったりする。こちらも苦闘を強いられる可能性があろう。

ともあれ、植物を定義するなら、素人的には、花咲く草木に系譜的に繋がる一族ということになるから、どこまで遡るべきかを考えればよいことになる。

そのためには、どのような流れでそこまで進化してきたのかがわからなければ、どうにもならない。(ミドリ虫は動物なのか。植物なのか。はたまたどちらでもないのか。曖昧にしてきた時代を知っているとその辺りが自分で納得できないと気分が悪いのである。)

ご存知のように、鯨は魚に見えるが、陸上棲息の哺乳類。このアナロジーで考えれば、一見植物に見えても、違う系譜ということも十分あり得る訳だ。似た棲息状況であっても、植物I類、植物II類と考える必要性がでてきてもおかしくなかろう。
全体として、なにが本流で、どれが支流なのか、当たらずも遠からずで全体を見ることができて、初めて、植物の範囲はここらにするのが妥当と判断できる。

例えば、葉が生まれた経緯を説明したもらえば、そういうことで大きな葉だらけの植物群が措定されるのかと納得できる。ところが、突然、葉などどこにも見当たらない木賊もそこに入ると追加の解説。それなら、葉が退化したのかネと感じるが、どうもそうではないらしい。しかし、総合的な分析でも、分子生物学でもそういうことと紋切型で記載されるだけでオシマイ。と言うことなら、進化の流れは「葉」と考えるべきではなかろうと疑問が湧く訳である。

マ、そんなことで、前のものを少し整理してみた。
小生は、以下の「苔」より新しい生物を「植物」と見なすのがよいのではないかと感じた。真陸上と定義する訳である。もちろん、水に入った哺乳類のように、水に入った植物もあるが、もともと水棲の緑藻系生物は入れないのである。水を運ぶための組織が不要だからである。

ちなみに、木賊だが、茎の進化形態という捉え方をすると、葉だろうが節だろうが同じということか。地面に水分豊富なら、なにも葉陰をつくる必要など無い訳で。

        ↓↓始原生命膜↓↓
真核生物類←古細菌類

 │   バクテリア類(真正細菌)
 │ ┌───┴・・・
 │ ↓
 │ 藍藻類***光合成***
 │ │
 │ │   クリプト藻
 │ │   不等毛藻(黄色植物)
 │ │   ハプト藻
 │ │   渦鞭毛藻(虫)
 │ │   クロララクニオン藻
 │ │   ユーグレナ藻
 ↓ ↓     ↑二次的共生
【藍藻共生真核生物】***共生体***
 │
 ├→■灰色植物系・・・膜残滓有
 ├→■紅色植物系(紅藻)
 │
 ↓ ■緑色植物系[二重包膜クロロフィルa+b葉緑体]
 ├→【藻状植物群】***葉緑体***
 │    プラシノ藻類・・・単細胞性遊泳(鞭毛)非群体
 │    緑藻類,トレボウクシア藻類,アオサ藻類
 ↓
【螺旋精子植物系】
 ├→<車軸藻>
 ├→<コレオケーテ>
 ├→<接合藻>青深泥,星深泥,鼓藻,三日月藻
 │
 ↓有胚=真陸上植物
【非分岐胞子体植物[無維管束]***真正植物***
 ├→苔・・・導束/ハイドロイド
 ├→蘚
 ├→角苔・・・擬似維管束+葉状体
 ↓
【分岐胞子体植物[前駆導管形成]
 │
 │<非分岐胞子体ライニー[リニア]・チャート化石群>
 ├→ホルネオフィトン,アグラオフィトン
 │
 │<肥厚仮導管植物群>
 ├→クラドキシロン,ヒエニア
 │
 │  ---前葉植物群---
 ├→<小葉類>***茎***
 │ 鱗木@石炭紀 40m
 │   岩檜葉,水韮
 │ 封印木@石炭紀 30m
 │ 日陰鬘
 │
 │  ---真葉植物群---
 ├→トリメロフイトン@デボン紀
 ├→<外見小葉類>・・・裸茎/無葉
 │ 松葉蘭 犬南郭蘭 花鑢[ハナヤスリ]
 │ ゾステロフィルム類
 ├→<大葉群>
 │ ○羊歯***葉***
 │   薇[ゼンマイ]
 │   苔忍
 │   裏白
 │   房羊歯
 │   山椒藻・・・水生
 │   桫欏[ヘゴ]・・・木生
 │   裏星
 │ ○ヒエニア類
 │ ○プセウドボルニア類
 │ ○有節植物
 │  ---廬木系---
 │   アルカエオカラミテス/Archaeocalamites@石炭紀
 │   廬木類
 │    廬木/Calamites/- 10m@@石炭紀
 │    アンヌラリア/Annularia@石炭紀
 │    ネオオアラミテス/Neocalamites@三畳紀
 │    エクイセティス/Equisetites@三畳紀
 │   木賊類
 │     (杉菜系)
 │    杉菜/"Common" Horsetail/問荊 0.1-0.9m
 │    -/Andean horsetail/安地斯問荊
 │    -/Himalayan horsetail/披散問荊
 │    水砥草/Water horsetail/溪問荊
 │    犬杉菜/Marsh horsetail/犬問荊
 │    谷地杉菜/Meadow horsetail/草問荊
 │    房杉菜/Wood horsetail/林問荊
 │    大杉菜/Great horsetail/沼生問荊@欧州-北米
 │     (木賊系)
 │    砥草[木賊]/Rough horsetail/木賊 0.7m
 │    ジャイアント木賊/Giant horsetail/巨木賊 2-5m@中南米
 │    メキシコジャイアント木賊/Mexican giant horsetail/墨西哥木賊 5m
 │    山砥草/Smooth horsetail/-
 │    犬砥草/Branched horsetail/節節草
 │    姫砥草/Dwarf horsetail/藺木賊
 │    千島姫砥草/Variegated horsetail/斑紋木賊
 │  ---楔葉系---
 │    Rotafolia@デボン紀 Sphenophyllum@石炭紀
 │  ---岐葉系---
 │    Sphenophyllales horsetail/鈎蕨
 │  ---飄葉系---
 │    Neoggerathiale
 │ ○竜鱗[竜鬢帯] or 観音座蓮/Mule's foot fern/蓮座蕨
 │    プサロニウス/Psaronius/輝木@石炭紀
 ↓木質化
【「前胚=♀胞子 前花粉=♂胞子」植物[導管形成+真葉]
 │<前裸子植物>
 │   アネウロフィトン/Aneurophyton
 │   アルカエオプテリス類/Archaeopteridales
 │   プロトピチス/Protopityales
 ↓
【種子植物[♀胞子非放散親体内化=花粉官受精]
  <裸子植物>[♀胞子非放散親体内化]***種***
     羊歯種子植物/Seed fern/種子蕨@デボン紀
      メドゥロサ/Medullosa/髓木
     球果類(針葉樹)
      コルダ木/Cordaites
     蘇鉄,銀杏,グネツム類(麻黄,等)
  <被子(果実)植物[子房内胚珠化]***花***

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