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魚の話 2007年2月9日 |
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めくらうなぎ の話…棒あなご 食われてついに 終わりかも 5億年も生き延びたのにメクラウナギとヤツメウナギは無顎類に属している。名前はウナギだが、顎が無くウナギとは無縁な動物である。しかも、無顎類と言っても、両者は全く違う動物に見える。たまたま、顎が無いということで、まとめられているだけにすぎないのではなかろうか。 → 「やつめうなぎの話 」 (2006年9月22日) → 「うなぎの話 」 (2005年7月15日) 要するに、現存する一番原始的な脊椎動物である。類似の種はすでに絶滅してしまったから、上手く分類できないのだろう。 それはともかく、“人類の遠い祖先は5億3000万年ほど前にメクラウナギの祖先から枝分かれした”らしいから、貴重な研究対象である。 (1) 色々な説がありそうだが、現時点では、以下のように描いておけばよいようだ。(2)(素人目にも、すっきりしない分け方だから、この先変わると思うが。) 脊椎動物 | ▲無顎 | | | ▲メクラウナギ | | | ▲コノドン卜(絶滅種) | | | ▲翼甲(絶滅種:プテラスピス、等の甲冑型) | | | ▲頭甲(ヤツメウナギ) | △有顎[顎口類] | ▲棘(絶滅種:有鱗) | ▲板皮(絶滅種:甲冑型) | ▲軟骨(サメ、エイ) | △硬骨 | △肉鰭 | | | ▲総鰓(シーラカンス) | | | ▲肺魚 | | | □空気呼吸+関節鰭(四肢) [両生類、爬虫/鳥類、哺乳類] | ▲条鰭(“普通のお魚”) 魚類という言葉があるが、分類上はバラバラな動物の集まりだから、曖昧な通称に過ぎないことがわかる。(▲が魚とされている。ちなみに、人類は陸に上がって二本足で歩けるようになった硬骨魚ということ。) 水中に棲み、鰭を持つ脊椎動物を“魚”と総称するのかも知れぬが、それなら鯨も入れるべきだろう。 鯨は哺乳類で魚ではないと言うなら、無顎類もお魚の範疇から除外するのが筋である。名前がウナギだから、魚に入れたというのは言い訳にすぎない。ナメクジウオはウオでありながら、魚とされていないからだ。こちらには、脊椎が無い。頭索類である。 実際、メクラウナギは不思議な体形だ。ウナギと違って胸鰭は無く、かろうじて、発達していない尾鰭があるだけ。 どうしてか、自分で結び目をつくる習性があるそうだ。ヌルヌル液が固まってしまうから、時々表皮を掃除する必要があるのだろうか。蛇もくねくね自由に動くが、流石に、こんなことはできまい。(3) 顎がないから、口で吸い付いて肉をこそぐような、荒っぽい食べ方にならざるを得ない。従って、“普通のお魚”と一緒に獲るとえらい目にあう。折角の商品が傷つけられてしまうのである。 お蔭で、漁師に嫌われ、食材として滅多にお目にかかれない、と言いたいところだが、違うのである。 新潟などでは食用にするらしく、珍しいものではないそうだ。 男鹿では、ソーセージみたいな、長さ4センチ、直径2センチ前後の「焼き棒アナゴ」となって、飲み屋で酒の肴として登場するらしい。(4) 地場の珍品の類である。 自分で焼いて食べてみる人もいて、“塩もつけないで焼いたはずなのになんと塩味”だという。と言うことは、体内の塩分濃度が海水と同じなのかもしれない。(5) 一応食べられているとは言え、日本では、マイナーな食材であることは間違いあるまい。 おそらく、大半は韓国行きになりそうである。 と言うのは、釜山では、盲鰻料理が供されており、伝統料理として結構人気があるようなのだ。“南海の清澄な海域でとれためくら鰻を地下40mの地下水で生簀に育てるのが機張めくら鰻の自慢”だそうである。(底魚だから、日本海で獲っている筈で、密漁も多いと思われる。) なかでも、“めくら鰻焼きの味は隣りに座っていた友だちが息を引き取っても気が付かないほど美味しい”とか。(6) 一寸信じがたいが、不思議な動物だから、食べると何か良いことがあるということなのかも知れぬ。 何億年も生き延びてきたが、ついに人にやられた、とならないように祈るばかりである。 --- 参照 --- (1) http://www.nikkei-bookdirect.com/science/page/magazine/9901/hagfish.html (2) http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2004SystemaNaturae/h_22_52.html (3) http://oceanlink.island.net/oinfo/hagfish/hagfish.html (4) http://www.jf-net.ne.jp/jf-net/column/shiki2004/16-8anago/anago_01.html (5) http://www.zukan-bouz.com/sameei/mugaku/kuromekuraunagi.html (6) http://www.pusanfish.co.kr/city/japanese.htm --- ご注意 --- “魚類の標準和名には、「メクラ」・・・などの差別的語を含むものがあります。 これらの語を含む差別的和名は、たとえ命名時に差別的な意図がなかったとしても、和名の利用者に対し、精神的に傷つけたり不快感をもたらすことがあります。・・・ 「メクラ、・・・」の語を含む和名については、・・・改名すること、・・・との結論に達しました。” (日本魚類学会 標準和名検討委員会 2006年8月30日) http://www.fish-isj.jp/iin/standname/opinion/061020.html --- 注記[2007.2.12] --- 通称メクラウナギと呼ばれている生物は、正確にはクロメクラウナギ(クロヌタウナギ)とヌタウナギの二種で、 日本の海で漁獲されているのはヌタウナギが多いらしい。 メクラウナギ(ホソヌタウナギ)そのものは漁獲対象種にはなっていないようだ。 韓国では食用もあるが、なめし皮の需要がとても大きく重要。 (山口正士先生より) 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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