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魚の話 2007年11月30日 |
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なめくじうお の話…蛞蝓が 一筆で書く 一生記 詠み人知らず [草詩堂] ナメクジウオは分類上は魚ではない。 しかし、背骨は無いが、寒天状の支持物質があるし、そこに神経も通っている。いかにも魚の原型という感じである。 → 溝口優司: 「動物の顔の特徴 ナメクジウオ」 (C) 『大顔展』(読売新聞社など主催)の図録 “顔の進化” 心臓はないし、目・鼻・耳もない脊椎動物の原始的な生物、と記載されていることが多いが、そんな風にはみえない。触手らしきものがついているので多少の違和感はあるとはいえ、普通に口はあるし、排泄口もあり、その後には立派な尾があるからだ。 しかも、光に敏感に反応するというではないか。 つまり、一つ目小僧ということである。 唯一、まだまだだと思うのは、脳だけ。あるのかわからないような貧弱な組織しかないからだ。 確かに、魚の高度な仕組みとは相当違うが、素人から見れば、原型はすでに完成しているように映る。つまり、こういうこと、・・・。 ナメクジウオ | |左右一対の感覚器官---脳の基本構造確立 ↓ メクラウナギ >>> (2007年2月9日) | |背骨(脊柱) ↓ ヤツメウナギ >>> (2006年9月22日) | |顎と鰭---三叉神経と運動神経 ↓ 本格的な“魚” そして、なんと言っても、驚きは、このナメクジウオの一つ目と同じものが、ヒトの体内時計になっているという点。(1) それに、脊椎動物同様、背腹の形状をつくる遺伝子を持っているそうだし。(2) こんな話をきくと、研究対象としてはこれほど面白い生物はないというのもうなづける。(3) 「脊椎動物への進化の生き証人」(4)と見なされている訳だ。 素人からすれば、背・腹の区別などより、一番気になるのは、一対の感覚器官が登場してくる過程での方が。左右の眼と、それに対応した筋肉運動が重要なのは自明だし、そのために脳が発達してくるのも当然だろう。しかし、当然とは思えないこともある。 脳とこうした器官を繋ぐ神経が交差している点である。この理由はなんなのだろう。左側は左の脳、右側は右の脳に繋いだ方が単純そのもの。何故、わざわざ複雑な配線にして、どんな意味があるのだろうか。 ただ、そんなことが、ナメクジウオを分析しているとわかってくるということではないかも知れない。 それに、ナメクジウオがカンブリア紀からほとんど変わっていないという証拠がある訳でもなさそうである。 なにせ、1999年に、カンブリア紀前期の無顎魚「Haikouichthys(ハイコウイクティス)」の化石が、昆明近くの澄江で発見されたからである。(5)この魚、視覚・嗅覚・聴覚を持っていたらしい。つまり、ナメクジウオ登場の前に、すでに立派な脳があったということになる。 ナメクジウオの元祖からヤツメウナギの元祖が進化したとは限らないということだ。 --- 参照 --- (1) 「哺乳類の体内時計の光センサー細胞の進化的起源の解明」 京都大学ニュースリリース [2005.6.7] http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/050607.htm (2) 「頭索動物ナメクジウオにおける胚軸の決定機構;脊椎動物のオーガナイザーの起源」 京都大学ニュースリリース [2007.1.22] http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/070122_1.htm Yu JK, , etc.: “Axial patterning in cephalochordates and the evolution of the organizer” Nature 445, 613 [2007] (3) Peter W. H. Holland(聞き手:加藤和人): 「形の進化とゲノムの変化―ナメクジウオが教えてくれること」 生命誌 23号 http://www.brh.co.jp/seimeishi/1993-2002/23/iv_1.html (4) 窪川かおる: 「脊椎動物への進化の生き証人−ナメクジウオ」学術の動向 [2006.9] http://www.h4.dion.ne.jp/~jssf/text/doukousp/pdf/200609/0609_3641.pdf (5) “Oldest fossil fish caugh”t BBC [1999,11,4] http://news.bbc.co.uk/1/hi/sci/tech/504776.stm D.-G. Shu, etc.: “Head and backbone of the Early Cambrian vertebrate Haikouichthys” Nature 421, 536 [2003] http://www.cas.ac.cn/html/Dir/2003/01/30/6580.htm Frederic Delsuc, etc.: “Tunicates and not cephalochordates are the closest living relatives of vertebrates” Nature 439, 965 [2006] (川柳の出典) 草詩堂・川柳講座 http://members.jcom.home.ne.jp/sousidou/kakukara%20abarenbou.html (DNAのイラスト) (C) E-ARTjapan http://www.e-artjapan.com/ 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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