表紙 目次 | ■■■ 2015年7月3日 ■■■ 半球形巻貝類…庚辰冬 宰少貳藤原朝臣 謀反發軍 幸于伊勢國之時 狭殘行宮御食つ国 志摩の海人ならし ま熊野の 小舟に乗りて 沖へ漕ぐ見ゆ 大伴宿祢家持 [万葉集 巻六#1033] 海士小舟 殊につたなき 泡沫の げにや浮世の 風渡るなり 海士小舟という名称の貝がある。アクアショップで売られているから、結構人気。壁面掃除屋さんとして起用されているのだろうか。 この貝、形が丸っぽいし、流通してはいないが、食用になるから「磯玉類」[→]としてもよいのだが、半球だし、名前が高貴な感じがしないでもないから、別途とりあげた。 それに、はたして半球と見てよいのかの疑問も。巻貝は頂点があるが、その部分が潰れており、巻貝的な印象が薄いのである。 それに、食べるには身が小さすぎの感もあるし。 この類には以下のような貝が含まれる。・・・ 蜑[アマ]貝/-/花斑蜑螺@岩礁域 蜑小舟[アマオブネ] or 海士小舟@岩礁/Ox-palate Nerite 鹿之子貝/-/豆石蜑螺@汽水域 石巻貝 or 石散貝/-/石蜑螺@淡水域 爪形都鳥[ツメナリミヤコドリ] 代表的なものだけあげたが、淡水域までと、生息場所が広いのが特徴。 なにせ、陸上棲息するお仲間もいるらしい。従って、どのように陸上棲化したのか考えるタネにもなる。 こんな具合か。・・・ ┼┌──胡麻陸田螺@陸棲 ┼│┼┼┼ 非田螺。山田螺(非田螺)[→]とも違う。 ┌┤ ││┼┌山喜佐古@陸棲(礫地) ││┌┤ │││└白珠蜑貝@海底洞窟域 │││┼ 琥珀鹿之子@潮間帯淡水域 ┤└┤ │┼│┌都鳥@岩礫底棲 │┼└┤ │┼┼└──蜑小舟@浅海域 │ └─擬蜑貝@海底洞窟域 蜑小舟は、分岐は新しいらしい。まあ、洞窟でひっそり隠れて生きてきた種が古手というのは常識的な感じはするが。 面白いのは、陸棲は2度にわたる分岐の結果であるという点。コリャどういうシナリオなのだろう。 なかなか面白そうな貝である。 (参照) 千葉聡,他:「海から陸への進化:巻貝の上陸過程とその要因」平成12年度〜平成14年度科学研究補助金研究成果報告書 平成15年3月 「軟体類」の目次へ>>> 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2015 RandDManagement.com |