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左右相称動物

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■■■ 2017年11月29日 ■■■

ちんうずむし…

Worm[→]は左右相称動物だが、前口動物群で考えてしまったので、珍無腸動物を除外してしまったから、触れておかねばなるまい。

┌─刺胞動物/Cnidaria

│┌─珍無腸動物/Xenacoelomorpha
││┼┼┼┼…珍渦虫, 無腸(Acoelomorph worm), 皮中神経
└┤左右相称/Bilateria

│┌──歩帯/Ambulacraria…半索, 棘皮
├┤後口動物群
│└──脊索/Chordata…頭索, 尾索, 有頭(脊椎)

│┌──"Worm"
└┤前口動物群
┼┼└──…毛顎, 汎節足(有爪+緩歩+節足), 軟体, 腕足
→「進化と分岐の考え方[続 附録]」(2017.11.24)

先ず、珍渦虫Xenoturbellidaeだが、左右相称動物(三胚葉)発生の基底に当たる生物の可能性ありと目され、俄然注目を浴びた種。
なにしろ、上部に示すようにアイコンまで完備しており、愛玩動物に昇格したのである。

しかしながら、左右相称とは言うものの、その構造は余りに単純。だからこそ、素人でも元祖の形態を保っていると見なしたくなる訳だ。だが、退化の産物と考えることもできるから、分類の位置付けについては二転三転せざるを得なかった。もちろん、DNA鑑定での話。
(2016年のNature論文で、一応、ケリがついたようだが。)
「分類学:珍渦虫類の謎を解く」Nature 530, 2016年

その過程で、必ずしも"珍"ではなさそうな気配が濃厚になってきた。
大きさ1〜3cmで比較的扁平な泥底棲だが、海深100m辺りな上に、好む環境がわかっていないので、採取される機会が少なかっただけのことかも。そうとなれば、コイツも該当種と手ぐすね状態が訪れておかしくない。
(部外者の邪推とも言えまい。・・・中野裕昭,他:「日本での珍渦虫の発見」@日本動物学会第88回富山大会2017年)

リストに上がっているのは以下。
○Xenoturbella
 (bocki)@バルト海…1915年発見 論文化1949年
    Xenoturbella bocki Max Telford @Youtube 2007/12/21
 (westbladi)@バルト海
  ***21世紀に入って類縁種発見***
 "Purple sock"(monstrosa)…体長20cm@太平洋東部
 "チュロス"(churro)@太平洋東部…ピンク色
 (hollandorum)@太平洋東部
 (profunda)@太平洋東部
こうして見ると、紫靴下とかチュロス[ラテン系揚菓子]ということでマスコミが写真を掲げたことがウケたとも言えそう。
"This Strange Sea Creature Looks Like A 'Purple Sock'" by GeoBeats News" @Youtube 2016/02/03

どんな姿か書いておこう。・・・
なんといっても、その特徴は、組織や器官に類するものが全く見当たらないが、流石に口と胃腔だけはあるが肛門は無い。表皮には繊毛があるから神経系は存在しているのだろうが。それも全面にあるのではなく、先の方両側に縦に並んでいる。ココを動かして移動するのだと思われる。それに加えて、中央環状部分にも。平衡胞があるから左右回転用なのだろう。のんびり砂上を動いて、底棲固着生物に出くわすとその頂点に口を当てて一呑みで喰らうのであろう。
体腔もないノッペラボウだから、それ以外の生活はありえそうにない。

続いて、無腸動物/Acoelomorpha (Acoelomorph worm)
こちらも、肛門無しで刺胞動物類似の単純さ。2mm以下の大きさであり、一見、プラヌラの一種に見える。
ただ、繊毛の構造は珍渦虫と同じらしい。分類するといっても、余りに単純なので難しそうな感じがする。
 無腸Acoela
 皮中神経Nemertodermatida
珍種かと思いきや、実はポピュラーな生物。
海水魚飼育水槽にリビングブロックを入れると、大発生することで知られているそうだ。

尚、一般的には、前口は螺旋卵割でトロコフォア型幼生が多く、後口は放射卵割でディプリュールラ型幼生が多いとされている。
珍無腸動物はこのどちらとも言い難い。(ニッ組螺旋卵割タイプで幼生期を持たない。)

(参考) 「珍渦虫を知っていますか 生命環境系:中野裕昭助教」(C)筑波大学TSUKUBA FUTURE #005 2013年

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