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後口動物

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■■■ 2017年12月2日 ■■■

シダズーン…

後口動物群の基底部の種について触れておこう。但し、化石。
明らかな類似形態があるなら、前駆種と言われれば、ソリャそうだとなるが、類縁種が見つからない奇妙な形態の種を、"これこそ祖先なり"と言われても俄かには信じがたい。
しかし、小生的には、以下は納得。・・・
┌─────半索動物/Hemichordata
├─────[化石]Cambroernida
┌┤歩帯/Ambulacraria or 水腔/Coelomopora
│└─────棘皮動物/Echinodermata

├──────サッコリタス[化石](Saccorhytus coronarius)
後口/Deuterostomia
│┌─────古虫動物[化石]/Vetulicolia
│├─────頭索動物/Cephalochordata
││┼┼┼┼┼┼┼蛞蝓魚/Leptocardii
└┤脊索/Chordata
│┌────尾索動物/Urochordata or Tunicate
└┤オルファクトレス(嗅覚)/Olfactores
┼┼└────有頭動物/Craniata
┼┼┼┼┼┼┼┼┼脊椎動物/Vertebrata

先ずは、古虫動物/Vetulicolia
カンブリア紀初期[5億3,000万年前]の化石のうち、見かけお玉杓子形の一群である。

左右相称動物であることは明らかだが、そのなかに類似動物が全く見当たらない。従って、とりあえず、古虫動物としてまとめただけとも言えよう。
ただ、お玉杓子型と書くと、幼生型の典型と見なしがちで、魚形に繋がると見なしがちだが、そのような見方は避けたい。この一群の体躯は完璧に前と後が別れており、両者は同程度の大きさ。頭尾一体のお玉杓子構造とは全く異なるからだ。と言って、体躯の印象を表現しろと言われてもこまるが。

ちなみに、シダズーンを代表として、その姿を描くとこんな感じ。
 【前部】
  樽型
  5体節
  側面に鰓孔的器官が5ッ
  先端に戴冠形状の円口
(素人からすれば円口類類似)
 【後部】
  厚味のある葉型
  おそらく、腸と肛門…つまり胴
  7体節


どのような分類になっているのか、検索すると情報が錯綜しているため素人にはよくわからないが、一応このようにまとめてみた。

古虫動物[化石]/Vetulicolia
◇Vetulicolida
  -Didazoonidae
   ○Xidazoonシダズーン[西大虫] or Pomatrumポマトラム
   ○Didazoonディダズーン[地大虫]
  -Vetulicolidae
   ○Vetulicolaウェツリコラ[古虫]
    尾索的
    頭殻部に有節尾

   ○Ooedigera[古卵形虫]
   ○Banffiaバンフィア
  -Beidazooidae
   ○Beidazoonベイダズーン[北大虫]
  -Yunnanozoonidae
   ○Yunnanozoonユンナノゾーン[雲南虫]
    脊索あるいは半索的(無顎Haikouella類似)
    体節的胴の背中に鰭
◇Banffozoa
  -Banffiidae
   ○Banffiaバンフィア[斑府虫]
◇Heteromorphida[異形虫]

この姿を踏まえて、後口動物群の基底とされることになった化石種サッコリタスSaccorhytus coronariusを見ると面白い。
「化石の証拠:知られている限り最古の新口動物が見つかり、系統樹の根が広がった」
  Nature 542, 2017年2月9日

陝西で発見された1.3oの540Myaの化石。
口に卵状の袋がついている形態。口は大きく、いかにもアンバランスだが、喰うことに専念するなら決しておかしな姿ではない。無肛門。
重要な指摘としては、体の左右に8ヶ所に円錐状のスリットらしきものが見られる点。口を閉じてここから水を流出させていたとすれば、後の餌濾し取り器となる鰓孔の前駆体とも考えられる訳だ。
眼点は見つからなかったようだ。
当然ながら、現存生物も化石も、類似のボディプランではないかと思われる種は見つからないから、奇妙な生物ということになる。大口に袋だけの姿だからその通りだが、小生のような素人からすれば、シダズーンの前部ではないかという気になってくる。
"Big Mouth, No Butt: Oldest Human Ancestor Found?"
  By Alixandra Caole Vila Feb 01, 2017 (C) NATURE WORLD NEWS

こうして見ていると、Romerが主張したという脊椎動物の進化には2つの流れが絡んでいるという話をついつい思い起こしてしまう。[→]
シダズーンの前部は、いかにも、サッコリタスの口と胃腔の発展形。鰓孔に合わせた体節ができており、口があるから頭と考えがちだが、これは後世の腹側の系譜に当たることになる。
一方、後部は腸と肛門があるから一見胴ということになるが、外見からは肥った肉厚の尾に見える訳で、それは一理あり。体節があるのだから、後世の背筋の系譜に当たると考えることもできるからだ。腸は運動器官への栄養成分補給管ということになる。
シダズーンの腹系と背系は、明確に2つに分かれている訳だが、これが融合すると頭が生まれることになる。
・・・ワッハッハッ的想像。(腹筋とは鰓系の体節。鰓の数は限定的で、その後、先頭から順番に機能が定まっていく。一方、背筋は繰り返し構造に徹し、脊椎骨に発展していくことになる。)
The study of segmentation is comparable of the Apocalypse. [黙示録]That way leads to madness.---A.S.Romer (sited by K.S. Thomson, @Chp.2 "The Skull, Volume 2: Patterns of Structural and Systematic Diversity"{J.Hanken & B Hall ed.])

【参考】頭索・尾索・脊索系化石
 ○カタイミラス/Cathaymyrus@澄江
 ○ハイコウイクチス/Haikouichthys@澄江
 ○メタスプリッギナ/Metaspriggina@バージェス
 ○ミロクンミンギア/Myllokunmingia@澄江
 ○ピカイア/Pikaia@バージェス
 ○ジョンジァンイクチス/Zhongjianichthys@澄江
 ○ハイコウエラ[海口虫] Haikouella@澄江


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