表紙 目次 | (C) Patrick Beckers, Rudi Loesel, Thomas Bartolomaeus ■■■ 2017年12月14日 ■■■ フットボールジャージーワーム…上記の写真は、フットボールジャージーワーム(Tubulanus superbus)。サッカーは派手だから、ラガーシャツの方がよいのではないかとは思うが。所属は紐虫(Ribbon worm)チームである。 前口動物はWormだらけだから、すでに一通り見たが[→]、この動物群だけはもう少し細かく見ておきたい。 写真を眺めると、ドギツイ色や目を引く派手な模様の種が目立つ。もっとも、全部で1,000種を越えるようだから、特別な種を見ている可能性もない訳ではないが、どう見ても意匠に矢鱈に凝るタイプだらけ。砂泥中に埋まっていたり、岩の隙間に入り込みっぱなしの生活が基本のようだから、それにどういう意味があるのか甚だ疑問。 わざわざそんな隠れ家に潜む輩を狙う物好きもいるから、襲われたら、こんなに毒々しいのだゾと見せることで難を逃れようという算段かネ。 なかには、河豚毒を貯めこんでいる種もいたりするから、目立つ色でのプリゼンテーションは効果絶大なのかも。 ただ、いくら意匠が色々あっても、ヒトの人気を集めることは難しいようである。Wormは寄生虫イメージがダブルからどうしても気味悪さが先に立ってしまうし。それに、頭部に当たる部分があるものの、そこには顔らしきものが全く見当たらないので違和感を与えることになる。 その上、紐虫の場合、吻を収納している点が恐ろしさを生み出すもとになっている。 餌ありとなれば糞を一気にソレを放出するのだが、蛇腹構造とか、袋を裏返しにするといったものではないのである。ネバネバした得体の知れぬ長いモノが突然吐き出されるのだから不気味そのもの。 しかし、生物とはそういう存在である。 従って、それなりに面白味もある。・・・ → "14 Fun Facts about Marine Ribbon Worms" By Emily Frost 2013 (C) SMITHSONIAN National Museum of Natural History 簡単に紐虫の説明するとこんな感じ。・・・ 頭+胴+尾からなる柔軟で無体節の体躯。筋肉活動が矢鱈に高度であるのが特徴。触れたことがないからどのような状況かわからぬが、表皮は繊毛に覆われているらしい。 先端に長い吻があるが、普段は格納されており、捕獲活動時にとび出る仕組み。 消化管(口〜食道〜盲嚢付属腸〜肛門)、閉鎖血管、腎管(排出器官)が備わっている。 頭部には眼点と平衡器があり、脳に繋がっており、そこから一対の側神経がでている。 ・・・外見は極めて単純で蚯蚓を扁平にして大きくしただけのように思ってしまうが、全く異なることがわかる。綿密なボディプランのもとに機能分化がかなり進んでいるのだ。 ┌─《古紐虫》 │┼┼┼┼┼◆古紐虫Palaeonemertea(原始紐虫Archinemertea) │┼┼┼┼┼┼-Callineridaeカリネラ │┼┼┼┼┼┼-Carinomellidaeカリノメラ │┼┼┼┼┼┼-Carinomidaeカリノメラ │┼┼┼┼┼┼-Cephalotrichidae │┼┼┼┼┼┼┼○Cephalothrix・・・ケファロツリックス │┼┼┼┼┼┼┼┼細紐虫(linearis)…大量河豚毒保有 │┼┼┼┼┼┼┼┼赤端紐虫(simula) │┼┼┼┼┼┼-Hubrechtidae │┼┼┼┼┼┼-Tubulanidae │┼┼┼┼┼┼┼○Tubulanusトゥブラヌス │┼┼┼┼┼┼┼┼栗毛紐虫 or 釘紐虫(punctatus) │┼┼┼┼┼┼┼┼Football jersey worm(superbus) │┼┼┼┼┼┼┼○Protubulauidae │┼┼┼┼┼┼-n.a. │┼┼┼┼┼┼┼○[化石]Archisymplectes<326Mya> │┼┼┼┼┼┼┼┼→ "Archisymplectes rhothon" │┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼@www.crinus.info │ ├─────◆Arhynchocoela │┼┼┼┼┼┼-Arhynchonemertidaeアリンコネメルテス │ ┤【紐形動物 or 紐虫 ネメルティニアNemertea】 │ │┼┌───◆Hubrechtidae │┼│┼┼┼┼-Hubrechtellidaeフブレクティア │┼│ │┌┤担帽Pilidiophora │││ ││└───◆異紐虫Heteronemertea ││┼┼┼┼┼-Baseodiscidae or Valenciniidae バレンシニア ││┼┼┼┼┼┼○Baseodiscus ││┼┼┼┼┼┼┼立縞紐虫(curtus) ││┼┼┼┼┼┼┼磯紐虫(delineatus)…神経毒(アナバシン)保有 ││┼┼┼┼┼┼┼アラスカ紐虫(princeps) ││┼┼┼┼┼┼┼真田紐虫(hemprichi) ││┼┼┼┼┼┼┼黒筋紐虫(quinquelineatus) ││┼┼┼┼┼-Cerebratulidae ││┼┼┼┼┼┼○Cerebratulus ││┼┼┼┼┼┼┼大蛇紐虫(marginatus) ││┼┼┼┼┼┼┼浪紐虫(communis) ││┼┼┼┼┼┼○Parborlasia・・・パルボルラシア ││┼┼┼┼┼┼┼(corrugatus) ││┼┼┼┼┼┼┼→"南極の肉食生物「ヒモムシ」、 ││┼┼┼┼┼┼┼┼魚を丸のみ! 迫力の動画をご覧ください" ││┼┼┼┼┼┼┼┼(C)葛西臨海水族園 2016/03/24 ││┼┼┼┼┼-Gorgonorhynchidaeゴルゴノリンクス ││┼┼┼┼┼-Lineidae ││┼┼┼┼┼┼○Lineus・・・リネウス ││┼┼┼┼┼┼┼絣箆紐虫(torquatus) ││┼┼┼┼┼┼┼緑箆紐虫(fuscoviridis) ││┼┼┼┼┼┼┼ →"澎湖釣獲告F怪物part2" ││┼┼┼┼┼┼┼┼┼by 簡偉丞2015/06/04@YouTube ││┼┼┼┼┼┼┼Bootlace worm(longissimus) ││┼┼┼┼┼┼┼┼┼…全長30m以上の塊(60m可能) ││┼┼┼┼┼┼○Micrura ││┼┼┼┼┼┼┼黒紐虫(japonica) ││┼┼┼┼┼┼┼口紅紐虫(bella) ││┼┼┼┼┼-Mixolineidae ││┼┼┼┼┼-Panorhynchidaeパノリンクス ││┼┼┼┼┼-Poliopsiidaeポリオプシス ││┼┼┼┼┼-Polybrachiorhynchidae ││┼┼┼┼┼-Pussylineidaeプッシリネウス ││┼┼┼┼┼-Riseriellidae ││┼┼┼┼┼-Valenciniidaeヴァレンシニア ││ └┤《新紐虫Neonemertea》 ┼│ ┼│↑無針Anopla ┼│↓有針Enopla ┼│ ┼│┌────-Plectonemertidaeプレクトネメルテス ┼││ ┼│├───◆蛭紐虫Bdellonemertea ┼││┼┼┼┼┼○Malacobdella ┼││┼┼┼┼┼┼紐蛭(japonica) ┼││┼┼┼┼┼○Prostoma ┼││┼┼┼┼┼┼蚯蚓紐虫(grandis) ┼││┼┼┼┼┼┼真水紐虫(graecense) ┼││ ┼└┤┼┼┼┼-Malacobdellidae ┼┼│ ┼┼│┌─単針Monostilifera ┼┼││┼┼◆Cratenemertea ┼┼││┼┼┼-Cratenemertidaeクラテネメルテス ┼┼││┼┼┼┼○Nipponnemertes ┼┼││┼┼┼┼┼斑紐虫(punctatula) ┼┼││┼┼◆"真"単針Eumonostilifera ┼┼││┼┼┼-Amphiporidae ┼┼││┼┼┼┼○Amphiporus・・・アンフィポールス ┼┼││┼┼┼┼┼弥次郎兵衛紐虫(cervicalis) ┼┼││┼┼┼-Carcinonemertidaeカルシノネメルテス ┼┼││┼┼┼┼○Carcinonemertes ┼┼││┼┼┼┼┼蟹紐虫(mitsukurii) ┼┼││┼┼┼-Emplectonematidaeエンプレクトネマ ┼┼││┼┼┼┼○Emplectonema ┼┼││┼┼┼┼┼光紐虫(kandai) ┼┼││┼┼┼┼┼細緑紐虫(gracile) ┼┼││┼┼┼┼○Paranemertes ┼┼││┼┼┼┼┼御納戸紐虫(peregrima) ┼┼││┼┼┼┼○Nemertopsis ┼┼││┼┼┼┼┼四つ目紐虫(gracile) ┼┼││┼┼┼-Malacobdellidaeマラコブデェラ ┼┼││┼┼┼-Ototyphlonemertidae ┼┼││┼┼┼┼○Ototyphlonemertes・・・オトティフロネメルテス ┼┼││┼┼┼-Poseidonemertidaeポセイドネメルテス ┼┼││┼┼┼-Prosorhochmidaeプロソロクムス ┼┼││┼┼┼┼○Geonemertes ┼┼││┼┼┼┼┼小笠原陸紐虫(pelaensis)…侵入外来種 ┼┼││┼┼┼-Tetrastemmatidae ┼┼││┼┼┼┼○Tetrastemma・・・テトラステマ ┼┼││┼┼┼┼┼目の子紐虫(nigrifrons) ┼┼││ ┼┼└┤針Hoplonemertea ┼┼┼│ ┼┼┼└─多針Polystilifera ┼┼┼┼┼┼◆遊泳Pelagica ┼┼┼┼┼┼┼-Dinonemertidae ┼┼┼┼┼┼┼-Nectonemertidaeネクトネメルテス ┼┼┼┼┼┼┼┼○Nectonemertes ┼┼┼┼┼┼┼┼┼細泳紐虫(mirabilis) ┼┼┼┼┼┼┼-Pelagonemertidaeペラゴネメルテス ┼┼┼┼┼┼┼-Protopelagonemertidae ┼┼┼┼┼┼◆爬行Reptantia ┼┼┼┼┼┼┼-Drepanophoridaeドレパノホルス ┼┼┼┼┼┼┼-Sagaminemertidae (参考) M.K.Hunt, et al.:"Development of a lecithotrophic pilidium larva illustrates convergent evolution of trochophore-like morphology" Frontiers in Zoology 14(7), 2017 A.V.Chernyshev:"On the higher taxa of the Nemertea, with a review of the subclass Anopla"Hydrobiological J. 31(6), 1995 「動物」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |