表紙 目次 | ↑(C) Kelly L. Merrin, Munnidae sp. ■■■ 2018年1月7日 ■■■ みずむし …甲殻類を眺めてきたが、ここから、細かい分類でいこうと決めた。なかなか面白い生物群であり、それぞれのグループの名称も単純極まりないが、これらが実に優れモノ。ココを一括一瞥で通り過ぎるのは余りにもったいなさそう。 そこで、分類観はとりあえず置いおき、どんな動物か拝見をきめ込もうという訳。 そう感じてしまったのは、実は、虫愛ずるお方の「だんたんダンゴムシ」というブログにぶちあたったから。内容はともかく、読んでいるうち、湿気った場所に棲むそんな虫やその類縁が、今やペットとして流通し始めている気がしてきたのである。 もちろん、蓼食う虫も好き好きの世界とはいえ、ビックリである。 考えてみれば、わからなくもない。 この仲間の有名生物はダイオウグソクムシ。水族館では、縫い包みを抱えて帰りたが子供が大勢いるほどの人気者。小生も、騒ぎが一段落してから、葛西や沼津の水族館に足を運んでじっくりと眺めたクチ。 → 「ダイオウグソクムシ君の遺訓」[2014.2.25] ということで、第一弾は上の写真の仲間。 分類上は、節足動物甲殻類真軟甲系の嚢蝦の仲間で、グループ的には等脚Isopodaということになる。脚長が揃っているのが特徴だと思われる。嚢蝦とは、幼生が母親の保育嚢で育つタイプなのだと思われる。 こ近縁の深海棲息種はまるでヒトが泳いでいるかのような姿を見せたりするので、人気者である。曰く、"盆踊りでもしているみたい。" →[PHOTO] 藤倉克則:「足のトラブルとは無関係、深海のミズムシ」 @深海散歩 極限世界のへんてこ生きもの第6回[2017.07.19] (C)幻冬舎 [元Video]うちわのような脚を使って器用に泳ぐミズムシ JAMSTEC E-library of Deep-sea Images スタッフのお気に入り深海映像 No.095 これでおわかりのように、名称はシンプル。「水虫」。 体節が11で、脚は7対。 水虫と聞けば、黒革靴を履きっぱなしのサラリーマンが飼っている白癬菌しか思い浮かばないのが普通だが、多少、昆虫を知っていると、そういえば藻類を食べる穏やかな気性の水生昆虫に、そんな虫がいたなとなるかも。知る人ぞ知る、この虫とのお遊びがあるせい。(昆虫であるから、空気を吸う。それを体内に貯め込むから黙っていれば浮いてしまう。そこで、必死になって水草につかまる。その水草を引き上げると、コリャ一大事と跳び込み、達者な潜水泳法で新たな場所を確保する仕草を見せてくれる。当たり前だが、何度でも繰り返せる。ヒトにとっては面白いが、一種のイジメ。尚、普通は風船虫と呼ぶ。) ここで取り上げる水虫は甲殻類であり、嚢蝦系。 ただ、レッドビーシュリンプ飼育者(アクアリスト)は「水虫」とは呼ばず、「ゲジ」と呼ふようだ。体色が朽ちた落ち葉のような灰褐色であり、等脚なのだから確かにその様相あり。 この名前からわかるように、喜んで生育させている訳がない。まごうことなき嫌われ者。 水槽に水槽に入れたモノにくっ付いてきて中で勝手に繁殖するから、ふてぶてしい輩と見なされており、モノを入れる際には厳重な検疫を行うべしと言われているとか。 水がかなり汚濁しても耐えしのぐ点も、面白くない理由である。大切にして育てているのに、水が濁って飼育生物が弱ってきたがっかりしていところに、爆発的に造礁して水槽内で我が物顔に泳ぎ回られるのだから、神経にさわるのは当たり前。 川に棲むのは1種類だが、地下水に棲んでいる類縁種は結構多いようだ。 もちろん、もともとは海棲だから、そこここに、様々な種が展開し繁栄しているようだ。 (参考)下村通誉:「日本産ミズムシ亜目の分類」Cancer 25, 2016 Quentin Wheeler:"New to nature No 122: Jaera tyleri−This blind isopod was discovered feeding on a whale carcass deep in the Southern Ocean" Guardian Sun 27 Apr 2014 ◆等脚Isopoda □水虫Asellota (Gnathostenetroidoidea) -Gnathostenetroididae ○Caecostenetroides 日本目無細水虫(nipponicum) (Janiroidea) -Janiridae ○Janiropsis・・・ウミミズムシ 海水虫(longiantennata) ○Jaera (tyleri)…鯨骨特異的食性 ○Janira (japonica) -Joeropsididae ○Joeropsis・・・ヒラタウミミズムシ 平田海水虫(lobata) -Munnidae ○Munna・・・ムンナ (japonica) ○Uromunna (sheltoni) -Munnopsididaeムンノプシス@深海棲(三陸沖5,354m) (Aselloidea) -Asellidae ○Asellus・・・ミズムシ 水虫(hilgendorfi) Waterlouse or Aquatic sowbug(aquaticus) ○Caecidotea Clifton cave isopod(barri)@米国 ○Lirceus Lee County cave isopod (usdagalun)@米国バージニア ○Lirceus Swimming Florida cave isopod (parvus)@米国 ○Proasellus One-spotted waterlouse (meridianus) ○Phreatoasellus 長水虫(kawamurai) -Stenasellidae (Stenetrioidea) -Pseudojaniridae -Stenetriidae 「動物」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |