表紙 目次 | 水母の話 2018年3月7日 キャノンボールクラゲ の話💣 爆弾か 砲丸みたいな 心意気いかにもクラゲという、比較的大きな体躯の群は、「鉢虫」(=蜂水母)と呼ばれており、3つのグループに整理されている。(小生が見ている図鑑では5ッあるが。) ◆旗口水母 ◆根口水母 ◆冠水母 "旗口水母"と名付けられたグループには、典型的なクラゲイメージを与える種が入っている。つまり、水水母と赤水母の二枚看板を掲げた集団ということ。[→] 一方、"根口水母"と名付けられている方は、名前から見て、おそらく構造が違うのであろう。(解説が見当たらないので勝手な推測だが。) 根と言うか、足というか、腕とみなすかはどうでもよいが、口腕と呼ばれる部分に口があるということなのだろう。そもそも、この口腕とは、体躯が大型して口の縁が成長して胃腔に餌を獲り入れ易くしたものだろう。さらに、その工夫が進み、中央口ではなく、口腕が取り入れ易い場所にしたということだろう。胃腔への入口/出口であるから、その設計は重要であろう。 そうそう、大型化すれば胃腔にも触手らしき部分(胃糸)が生まれる。おそらく、餌を動かして消化し易くする役割を担うのだと思われる。 小型なら、傘縁のカーテン仕切りも餌獲り込みに役に立ちそうだが、大型では不要だろう。腔の仕切りにしても、花虫にあり、小型に無いといっても、大型の食餌を考えればその方がよさげである。 マ、そのような点での違いの分類は、一般人にとっては余り面白いものではない。何が分岐の引き金か想像がつかないからである。 それではつまらぬから、この集団の体質をザッと眺めてみようと思う。 すぐにわかるが、こちらも、"旗口水母"に負けず劣らずの有力な選手を擁している。 すで取り上げた、蛸水母[→]と逆水母[→]のこと。 もちろん以上の4種は、水族館ご推奨の観察対象である。再掲しておこう。・・・ 【1】定番 水水母 【2】カラーバリエーション "カラージェリーフィッシュ"…青、白、赤褐色等々様々な色 花笠水母…カラフルな傘と触手鮮やかな赤い触手 逆水母…薄いピンク色[→] 赤水母…鮮やかな赤い触手 【3】形の変化 蛸水母…タコ的外見+傘の水玉模様[→] 瓜水母…突起がない細長い形+無触手 ↑刺胞動物のクラゲではない。 【4】動き "カラージェリーフィッシュ"…早めに"パクパク" シロクラゲ…ゆったりめにふわんふわん" ここに登場する"カラージェリーフィッシュ"だが、様々な色があるようで、具体的にどの種を指すのか浅学な身にはわからぬが、"旗口水母"に所属して種のようだ。素人の写真判定からするとカトスティラス類ということになる。代表的には、ブルーのコレ。 Blue blubber jellyfish ただ、紫色となると、多少、遠縁の種が該当していそう。 紫水母 マ、美しいが、ふ〜ん、程度の感興しか湧かない。形態は蛸水母と同じだから。小生は、水玉模様の傘の方がお洒落だと思う。但し、色抜けしての話。 色についてはなんとも言い難しである。透明なゼリーを皮膚で包んだだけの体だから、蛸水母の近隣種に様々な色が現れて当然と思うから。 と言うのは、蛸水母のように、褐藻類を体内に取り込む術を身につけている可能性が高いからだ。蛸水母の場合は、共生藻が褐色だからそんな色になっているにすぎまい。クロマトグラフィ的に分ければ様々な色素が発色してくる訳で、藻がどんな色に変わってもおかしくなかろう。人間の目から見れば、華やかだが、海中生物からすればその環境での一般色の1つでしかなく、特段目立っている訳ではないのかも。 特に、Blubber系は厚ぼったい肉質というか、色付鱈子唇といった印象を与えるから、色素濃度が薄くても間違いなく着色したように見える筈だ。 (尚、蛸水母的なチュロス足が目立つ"Purple jellyfish"は同一種ではない。) 蛸水母も言えるが、なんとなく、運動不足でボデッとしたお肥りの方が多そうな感じがする。巨大化は、寒いので熱を奪われる表面積を減らす算段というルールが成り立ちそうな"旗口水母"集団をせせら笑っていそうだ。 クローンを沢山作ることに精力を使わなくても十分生きていける自信がありそうだし、結構、お気楽なのであろう。蛸水母君など天敵も存在していないから、刺すことさえ面倒なので止めてしまい褐藻に頼って日がな一日のんびり日光浴成果るな訳で。 マ、口の構造で考えるなら、大きな餌を胃に獲り込む能力が高いということでは。ホレッと一匹捕獲して胃に放り込んであとはのんびりの生活を満喫しているように思えてくる。 そう感じてしまうのは、肉の塊のような種も存在するからだ。 美しい イボを取ったら ただの水 それこそカリフラワーの如し。 疣水母 オッと、名前とは裏腹に、なかなかの美形と考える方もいらっしゃるので、お間違えなきよう。・・・ "大型で美しい「イボクラゲ」" EnosuiMovie (C) ENOSHIMA AQUARIUM@YouTube 2014/11/14 見た目には、こちらも十分に紫色である。 そうそう、肉厚という意味では、カトスティラス類以上の迫力満点の種もこのグループに所属している。これぞ究極の肉の塊。小生は、これぞ暖かいところでノウノウと生きる"根口水母"の行き着く先と見た。 同じくノウノウと生きるマンボウ君の良き餌となる運命かも。 Cannonball jellyfish 誰が見ても、まさしく砲丸そのものである。こんな形状にどのような意味があるのだろうか。傘は、下方に堕ちないようなパラシュート役であり、ポンピングで移動するたものものだと思うが、球形ではどうにもなるまい。とんでもない潮流を好んでいるとも思えないし。 想像力が追い付かない。 こんなことを書くと、"根口水母"代表はこんなタイプとなって、一件落着となりがちが、それはあくまでも水族館を訪れる観賞好きな人の観点である。ヒトの生活から言えば、馴染みある名前が入っているグループでもある。食用クラゲ種はこのグループの所属なのだ。(東南アジアでは以下以外の7種をも利用。)ただ、そんなクラゲをわざわざ水族館に見に行こうという気にはならないか。 越前水母 備前水母 砂色水母 もっとも、越前水母は食用というより、大量発生で大いに迷惑を被っていることで有名である。豪州でも、東南アジアで食べられているSea tomato jellyfishが大発生し、エコロジー問題とみなされている。["Researcher fears jellyfish blooms damaging ecology, economy---NOT enough is being done to understand jellyfish blooms which are stinging ecological and economic activities across Australia."news.com.au January 4, 2013] 尚、砂色だが、写真で拝見する限り青みがかっており、繊細な感じがする。触手は細かくモジャモジャで灰色と言うよりは白色に近い。 ・・・と言うことで、"根口水母"グループをざっと見て来た訳である。 【刺胞動物/Cnidaria】 ┌花虫/Anthozoa…ポリプ型(珊瑚, 磯巾着) ┤ └Jellyfish/Medusozoa ┼┼鉢虫/Scyphozoa ┼┼┼◆根口水母(ビゼンクラゲ類) (Rhizostomeae) ┼┼┼《Daktyliophorae》 ┼┼┼-Rhizostomatidae ┼┼┼┼○Nemopilema・・・エチゼンクラゲ類 ┼┼┼┼┼越前水母/Nomura's jellyfish(nomurai) ┼┼┼┼○Rhopilema・・・ビゼンクラゲ類 ┼┼┼┼┼備前水母/Edible jellyfish(esculenta) ┼┼┼┼┼砂色水母(asamushi) ┼┼┼┼┼"Sand"(hispidum)@東南アジア ┼┼┼┼┼"China"(esculentum)@東南アジア ┼┼┼-Catostylidae ┼┼┼┼○Acromitus ┼┼┼┼┼豹柄糸曳水母(maculosus) ┼┼┼┼○Catostylus・・・カトスティラス類 ┼┼┼┼┼Blue blubber jellyfish(mosaicus) ┼┼┼┼┼Bubbler jelly(townsendi) ┼┼┼┼┼Jelly blubber(tagi) ┼┼┼┼○Crambione ┼┼┼┼┼Sea tomato jellyfish(mastigophora) ┼┼┼-Stomolophidae ┼┼┼┼○Stomolophus ┼┼┼┼┼Cannonball jellyfish(meleagris) ┼┼┼《Kolpophorae》 ┼┼┼-Cassiopeidae ┼┼┼┼○Cassiopea・・・サカサクラゲ類 ┼┼┼┼┼逆水母/Upside-down jellyfish(ornata)→[2018.3.4]◆ ┼┼┼-Cepheidae ┼┼┼┼○Cephea・・・イボクラゲ類 ┼┼┼┼┼疣水母Cauliflower jellyfish(cephea) ┼┼┼┼○Cotylorhiza ┼┼┼┼┼地中海疣水母/Fried egg jellyfish#2(tuberculata) ┼┼┼┼○Netrostoma・・・エビクラゲ類 ┼┼┼┼┼蝦水母(setouchiana) ┼┼┼-Mastigiidae ┼┼┼┼○Mastigias・・・タコクラゲ類→[2018.2.28]◆ ┼┼┼┼┼蛸水母/Spotted jellyfish(papua) ┼┼┼┼┼"Papuan jellyfish"(papua etpisoni) ┼┼┼┼┼┼┼@パラオJellyfish Lake{マカラカル島} ┼┼┼┼○Phyllorhiza ┼┼┼┼┼White-spotted jellyfish(punctata)@豪州北部海熱帯性 ┼┼┼-Thysanostomatidae ┼┼┼┼○Thysanostoma・・・ムラサキクラゲ類 ┼┼┼┼┼紫水母(thysanura) ┼┼┼┼┼Purple jellyfish(loriferum) ┼┼┼《Ptychophorae》 ┼┼┼-Bazingidae ┼┼┼┼〇Bozinga ┼┼┼┼┼(rieki)@豪州 (参照) 大森信, 喜多村稔:「東南アジアで漁獲される7種の食用クラゲ」みどりいし22, 2011年 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |