表紙 目次 | 水母の話 2018年3月23日 あかちょうちんくらげ の話1cm内外の小さなクラゲが密集していたら気味が悪くなるのが普通だが、それなりに水槽内で動き回っていると、幻想的な絵にも匹敵すると評判になるもの。写真を見ると、おしなべて美しいという賛辞が寄せられるのも当然と思われるが、プロの技術と照明の加減でどうにでもなるので、マ、写真撮影向き種であろう。 と言うことで、この手の一族を取り上げてみよう。 傘の形は色々だが、総じて見れば、小さなベル型という感じ。四方放射相称である。体躯や放射水菅は無色あるいは薄い乳白色だが、中央部胃壁に付いていると思われる生殖腺だけがそれなりの大きさで色が付いているのがミソ。 小生が選んだ代表はコレ。 🏮 どうしても 赤提灯で 骨抜きに 深海の冷水域棲。 赤提灯水母 日本では知らぬ人無しの赤提灯だが、欧米では中華街に釣り下がるランタンのイメージであろう。 居酒屋好みの人達からすれば、徳利水母[→]とご一緒ではないのが残念となろう。 酒呑みからすれば、面白命名に拍手したいところだが、情緒的には今一歩と言わざるを得まい。 そうなると、本命はコチラ。 満開の 桜の花の 周りだけ 明るくなって 嬉しいことよ 命名でウリの種。 花明かり[ハナアカリ]水母 日本語の美しさを大切にしたい人にとっては、小さな命への愛情を感じるに違いなく、感涙にむせぶかも。研究者はどうせ無味乾燥な名称しかつけまいと考えているだろうから。 それよりは、こちらが装飾的で美しいと見なす人もいそう。 💡 コード無し それでも光る 麦球か ムギ玉という言葉も、LEDで全色可能になったので死語化著しい。しかし、どう見てもこの種は豆電球の姿。 飾り水母 但し、傘の頭に載っている球には尖りは無い。 この一族は、傘中の生殖腺が成熟して赤色化すると、透明な体躯のなかでフィラメントが光るような姿になる。沢山遊泳していれば、照明を上手に設定すれば、クリスマスデコレーションを想起させることになる訳だ。 写真を見ると、傘縁には、2本の長い触手とそれより短い触手が6本あるようだ。縮れて絡み合っているのでよくわからぬが。その他にもいくつか小さな触手が見え隠れしている。この辺りは好き好きであろう。 クラゲ食とされているから、水族館では増えすぎた小さな養殖種を与えるのに便利な種かと思ったが、常時展示ではないから、飼育は相当に難しいようだ。 これらには、華があるが、比較するとそれほどではないと、いかにも地味な名称になってしまう。 ⚖ どうするか 天秤ゆらす 風来坊 長い2本の触手が目立つのである。 釣合水母 小生的には、中心が赤色になるなら、こちらの形がすっきりしているように思う。 ランタンの 形を眺め 癒されし ボゥーとした灯りの雰囲気濃厚であるが、名前は形状一本槍。 頭巾水母 傘の形が気になるから、被り物で特徴を表すのは当然ではあるが、この一族は明かりでいきたいところ。 赤色が目立たないなら、切れそうな豆電球というのはどうか。クラゲだから、復活を期待ということで。 尚、提灯タクシーだという声もある。利用者以外にはナンダソレの世界だが。 この一族の傘の形はシートとして喜ばれるらしく、自分の足で動く気力を失った稚蝦や稚蟹が乗っかっていることが多いらしい。ぼんやりして滑り落ちると餌食になりかねないが、ここにいれば運転手にまかせて居眠りでき、実に有り難いということかも。 傘形にこだわるなら、こちらを推したい。 🏈 気まぐれで どこへ行くのか 分からない 縦のラグビーボールに足4本。すっきりしたボディプランだ。 烏帽子水母 傘の上部が烏帽子的に伸びているのである。 尚、"ポリプ体"は海ヒドラ[→]でよく見かけるように貝や甲殻類の表面に固着しているそうだ。貝蝦蟹の漂泳中の幼生と至極仲がよく、海底に降りると一緒の生活を始めるということだろうか。餌の対象だが、共生相手でもある訳だ。 【刺胞動物/Cnidaria】 ┌花虫/Anthozoa…ポリプ型(珊瑚, 磯巾着) ┤ └Jellyfish/Medusozoa ┼ヒドロ虫/Hydrozoa ┼┼【Leptolinae】 ┼┼◆花水母([無鞘]Anthomedusae(=Athecatae or Stylasterinae) ┼┼┼《刺糸:ウミヒドラFilifera》 ┼┼┼-Pandeidae ┼┼┼┼○Amphinema・・・ツリアイクラゲ類 ┼┼┼┼┼小粒釣合水母(physophorum) ┼┼┼┼┼釣合水母(rugosum) ┼┼┼┼┼本大釣合水母(turrida) ┼┼┼┼○Catablema・・・ユウシデクラゲ類 ┼┼┼┼┼(multicirrat) ┼┼┼┼○Halitholus・・・ズキンクラゲ類 ┼┼┼┼┼頭巾水母(aupert) ┼┼┼┼○Hydrichthys・・・サカナヤドリヒドラ類 ┼┼┼┼┼魚宿ヒドラ(pacificus) ┼┼┼┼○Larsonia・・・オオツリアイクラゲ類 ┼┼┼┼┼大釣合水母(pterophyll) ┼┼┼┼○Leuckartiara・・・エボシクラゲ類 ┼┼┼┼┼飾り水母(hoepplii) ┼┼┼┼┼烏帽子水母(octona) ┼┼┼┼○Neoturris・・・イオリクラゲ類 ┼┼┼┼○Pandeopsis・・・イカリヨツボシクラゲ類 ┼┼┼┼┼碇四つ星水母(Pandeopsis ikarii) ┼┼┼┼○Timoides・・・ギヤマンハナクラゲ類 ┼┼┼┼○Pandea・・・ハナアカリクラゲ類 ┼┼┼┼┼花明かり水母(conica) ┼┼┼┼┼赤提灯水母/Red paper lantern jellyfish(rubra) ┼┼┼-Protiaridaeコエボシクラゲ ┼┼┼┼┼小烏帽子水母(formosa) 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |