表紙 目次 | 尾索動物の話 2018年4月15日 みかんぼや の話様々な海鞘があるが、そのうち真海鞘が属する大きなグループ(Styelidae)に属する種をザックリと見ておこう。すでに食材として取り上げたている種[→]もあるが、それらと近縁でもかなりのバラエティ度である。 尚、大きなグループで考えれば、マット状の板海鞘系[→]や、深海の粒状タイプ[→]も含まれることになる。 先ずは、真海鞘ではなく、白海鞘や柄ボヤに近いとされるタイプ2種。 🍊 房の数 一体幾つに なるのやら 果物と言うよりは石のように見える。 蜜柑海鞘 皮眺め 旬の歓び 真桑割り 真桑海鞘 瀬戸内海に多いそうだ。 と言うことで、真海鞘の類縁と呼べそうな種をバラバラと。 % 辺鄙なら 釣鐘設置を 進めよう 細長い柄が曲がってしまい、そこに鐘がブル下がる体形。もっとも、垂直に立っていることもあるようだ。 釣鐘海鞘 なんと、水深5.784mの海底に固着している姉妹種がいるという。深海種ではあるとはいえ、なかなかのご発展で慶賀の極み。[倉持卓司, 他:「日本海溝から採集されたツリガネボヤ属1種の生態」JAMSTEC J. Deep Sea Ras.15(1999)] 🐀 限りなく 殖えまっせ〜と 鼠講 日本固有種らしいが、えらく特殊な印象を与える。 鼠海鞘 どこで見つかるかといえば、固着どころではない砂地の干潟。もちろん、干潮時に見つかる訳で、体躯は砂まみれ。柄に当たるのだろうが、どう見ても細くてクネクネしそうな、尾としか思えない部位が付いている。岩場で柄で固着していた連中が無理矢理に砂場に進出したとしか思えない。 ⬮ 紅一点 黙っていても 目立ちすぎ 被嚢の色が紅である。 紅海鞘 軟らかいが、海鼠的に針状骨片が含まれているという。桟橋に付着しているタイプ。 💄 口紅を しっかり塗って 凛と立つ 立ってはいないが、体長は商品の大きさとほぼ同じ。 口紅海鞘 写真を眺めると、"口紅"とは、まさに元気に生きている証拠といったところ。今や古典扱いになってしまった口紅色を思い起こさせてくれる。・・・ → [PHOTO]by Ryo@素人が作ったお魚図鑑 🏨 水枕 ゴロンとなって 夢心地 羽根枕ではなく、バンバンに膨れた水枕。 枕海鞘 両端にそれぞれ出入水孔があり、岩のベッド上にゴロン。と言っても、動かせる訳もなく、固着しているのだが。 _▲▲▲ ▲▲▲▲ 全身に 鱗模様で 厄除けか 被嚢に多角形の模様溝あり。 鱗海鞘 2〜3cmと小さいので、注目されることはなさそう。 なかでも、以下2種は、真海鞘の親い姉妹種とされている。 ✹ イガの中 熟れているか まだ青か 8〜10cmあり、栗なら、特別な大型品種となろう。 毬海鞘 外側は革の様だが、そこに1cm程度の棘が密生している。ただ、よく見ると棘に細かな分岐がある。 🍑 海の苑 ピンクが映える 実がひとつ 北米東北海岸の種。 Sea peach 桃色的ではあるものの、桃型とは言いかねる。烏賊徳利の口を窄めたような体躯。もちろんとび出た口が2つ付く。 ゴチャゴチャしているが、冒頭に述べたように、すでに取り上げた食材系、深海果粒系、マット的な板系と一緒のグループ所属種。素人目には統一性がえらく欠けていうようにも思えるが、整理すれば以下の分類図のようになり、それなりのまとまりが見て取れる。 ついでながら、巨視的にみれば、このグループは海鞘の3大グループの1つということになる。・・・ 【尾索動物/Urochordata or Tunicate】 【ご注意】進化スピードが早い種では分岐分析結果の信頼性は低いので、仮設定と見た方がよいと思われる。 ┬───◆海鞘[ホヤ]《Aplousobranchia》@Ascidians │┼┼┼┼…葉緑系, 坊主・饅頭・茸・苺, 等 │ └┬──◆御玉海鞘[尾虫]Larvacea or Appendicularia ┼│┼┼┼…御玉 & 才槌 ┼│ ┼└┬─◆海鞘[ホヤ]《Stolidobranchia》@Ascidiacea ┼┼│┼┼【Molgulidae (or Hexacrobylidae)】 ┼┼│┼┼┼共通孔(寒天筒・袋) ┼┼│┼┼┼ シンプル型 ┼┼│┼┼┼深海棲(果粒) ┼┼│┼┼【Pyuridae】 ┼┼│┼┼┼厚筋=食材(真・赤・黒) ┼┼│┼┼┼ 膨れ型 ┼┼│┼┼┼岩石色=食材(烏) ┼┼│┼┼【Styelidae】 ┼┼│┼┼┼厚嚢=食材(白・柄) ┼┼│┼┼┼ 石型 ┼┼│┼┼┼急速定着マット(板) ┼┼│ ┼┼│┌◆海鞘[ホヤ]《Phlebobranchia》@Ascidiacea ┼┼││┼…姫, 棗, 幽霊, 大口, 豆, 等 ┼┼└┤ ┼┼┼└タリアThaliacea ┼┼┼┼◆海樽Doliolida ┼┼┼┼◆光海鞘Pyrosomida ┼┼┼┼◆サルパSalpida ---海鞘分類--- 【生殖腺配置:腸性 or 内性】Enterogona ◆無縦走血管@鰓嚢 or 樽鰓《Aplousobranchia》 ◆有縦走血管@鰓嚢 or 網鰓[欠鰓褶]《Phlebobranchia》 【生殖腺配置:壁[筋膜]性 or 側性】Pleurogona ◆[発達]褶鰓 or 剛鰓《Stolidobranchia》 ◇無孔[痕跡的鰓孔]/Aspiculata =○Molgula[@《Stolidobranchia》Molgulidae] ┼┼《Stolidobranchia》 ┼┼┼-Molgulidae (or Hexacrobylidae) ┼┼┼┼○Eugyra・・・カンテンボヤ類 ┼┼┼┼┼寒天海鞘(glutinans) ┼┼┼┼○Molgula・・・フクロボヤ類 ┼┼┼┼┼渚袋海鞘(tectiformis) ┼┼┼┼┼裳裾袋海鞘(hozawai) ┼┼┼┼┼杓子海鞘(redikorzevi) ┼┼┼┼┼マンハッタン海鞘(manhattensis)…本邦移入種 ┼┼┼┼┼Sea grape(oculata)…有尾幼生 ┼┼┼┼┼┼┼→[2018.4.12]◆ ┼┼┼┼┼(occulta)…無尾幼生 ┼┼┼┼○Molguloides ┼┼┼┼○Pareugyrioides ┼┼┼-Pyuridae ┼┼┼┼○Bathypera ┼┼┼┼┼(ovoida) ┼┼┼┼○Boltenia・・・クシエラボヤ類 ┼┼┼┼┼南櫛鰓海鞘(transversaria) ┼┼┼┼○Culeolus・・・ツリガネボヤ類 ┼┼┼┼┼釣鐘海鞘(herdmani) ┼┼┼┼○Hartmeyeria・・・ネズミボヤ類 ┼┼┼┼┼鼠海鞘(orientalis) ┼┼┼┼○Herdmania・・・ベニボヤ類 ┼┼┼┼┼紅海鞘/Herdman's sea squirt(momus) ┼┼┼┼○Microcosmus・・・ハルトボヤ類 ┼┼┼┼┼ハルト海鞘(hartmeyeri)[食用:福岡/九州北部] ┼┼┼┼┼┼┼→[2018.4.10]◆ ┼┼┼┼┼"Limone di mare"(sabatieri)@地中海[食用] ┼┼┼┼○Pyura・・・カラスボヤ類 ┼┼┼┼┼烏海鞘/Elongated tunicate(vittata)[可食] ┼┼┼┼┼口紅海鞘/Elongated tunicate(elongata) ┼┼┼┼┼枕海鞘(mirabilis) ┼┼┼┼┼鱗海鞘(lepidoderma) ┼┼┼┼┼"Piure"(chilensis)@チリ[食用:"Chilean abalone"] ┼┼┼┼┼"Cunjevoi"(praeputiali, dalbyi, doppelgangera) ┼┼┼┼┼┼┼┼@豪州[旧食用-アボリジニー] ┼┼┼┼┼ミハエル海鞘(sacciformis or michaelseni) ┼┼┼┼○Halocynthia・・・マボヤ類 ┼┼┼┼┼真海鞘/Sea pineapple#1(roretzi)[食用:三陸] ┼┼┼┼┼赤海鞘/Sea pineapple#2(aurantium)[食用:北海道] ┼┼┼┼┼毬[イガ]海鞘(hilgendorfi) ┼┼┼┼┼┼リッテル海鞘(変種) ┼┼┼┼┼毬[イガ]栗海鞘(igaguri) ┼┼┼┼┼Sea peach(papillosa) ┼┼┼-Styelidae ┼┼┼ {Styelinae} ┼┼┼┼○Cnemidocarpa・・・ホソスジボヤ類 ┼┼┼┼┼白海鞘擬(irene) ┼┼┼┼┼蜜柑海鞘(pedata) ┼┼┼┼┼真桑海鞘(clara) ┼┼┼┼○Dendrodoa・・・ムラボヤ類 ┼┼┼┼┼ムラ海鞘(aggregata) ┼┼┼┼○Polycarpa・・・クロボヤ類 ┼┼┼┼┼黒海鞘(obscura)[食用:天草] ┼┼┼┼┼錦海鞘(aurata) ┼┼┼┼○Styela・・・シロボヤ類 ┼┼┼┼┼白海鞘Pleated Sea Squirt(plicata)[食用:朝鮮] ┼┼┼┼┼柄海鞘/Stalked sea squirt(clava)[食用:朝鮮] ┼┼┼┼┼長柄海鞘(longipedata) ┼┼┼┼┼二筋海鞘(canopus) ┼┼┼┼┼Angular sea squirt(angularis) ┼┼┼┼┼Stalked tunicate(montereyensis) ┼┼┼┼┼(coriacea) ┼┼┼ {Polyzoinae} ┼┼┼┼〇Chorizocarpa ┼┼┼┼┼三筋小判板海鞘(sydneyensis) ┼┼┼┼〇Metandrocarpa・・・ワカレイタボヤ類 ┼┼┼┼┼別板海鞘(kudoi) ┼┼┼┼〇Polyandrocarpa・・・マメイタボヤ類 ┼┼┼┼┼三崎板海鞘(misakiensis) ┼┼┼┼┼群がり豆板海鞘(sagamiensis) ┼┼┼┼┼黒豆板海鞘(zorritensis) ┼┼┼┼┼(monotestis) ┼┼┼┼┼(rollandi) ┼┼┼┼〇Polyzoa・・・アラレボヤ類 ┼┼┼┼┼霰海鞘(vesiculiphora) ┼┼┼┼〇Symplegma・・・コバンイタボヤ類 ┼┼┼┼┼小判板海鞘(reptans) ┼┼┼┼┼千切小判板海鞘(japonica) ┼┼┼┼┼(brakenhielmi) ┼┼┼┼〇Syncarpa・・・カタマリムラボヤ類 ┼┼┼┼┼塊斑[ムラ]海鞘(composita) ┼┼┼ {Botryllinae} ┼┼┼┼○Botrylloides・・・イタボヤ類 ┼┼┼┼┼板海鞘(violaceus)→[2018.4.13]◆ ┼┼┼┼┼(simodensis)…上記類似 ┼┼┼┼┼赤板海鞘(aurantium) ┼┼┼┼○Botryllus・・・ウスイタボヤ類 ┼┼┼┼┼薄板海鞘(schlosseri) ┼┼┼┼┼菊板海鞘(tuberatus) ┼┼┼ {-} ┼┼┼┼○Eusynstyela ┼┼┼┼┼三崎豆板海鞘(misakiensis) (分類参照) ママでなく、素人が改編 JODC(日本海洋データセンター)GODAC/JAMSTEC 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |