[→鋏角類目次] ✂ ■■■ 2018年2月1日 ■■■ 鋏角類の全体像…"昆虫すごいぜ!"に刺激を受け、ついつい"蜘蛛族すごいゼ!"を書いてしまった。[→]「甲殻類⇒六脚類」の代表たる"昆虫" v.s. 「鋏角類」の代表たる"蜘蛛"という構図だ。両者は全く異なることに気付かされる訳だが、分類はゴタゴタしており、それが故もあってすっきりとした違いが語れないことがまことに残念である。素人からすれば、正しか否かは別として、眺めただけでシナリオが浮かんでくるせいも。 それなら、勝手に編纂して、一丁まとめてみるかという気にもなってくる。 と言うことで、<鋏角類>を整理してみることにした。・・・ 先ずは再掲。 ┌───環神経タイプの動物群 │┼┼┼線形,類線形;鰓曳,動吻,胴甲 ┤脱皮型 │┌──有爪動物 └┤汎節足動物 ┼│┌─緩歩動物 ┼└┤Tactopoda ┼┼│┌[化石]<三葉虫類> ┼┼││ ┼┼└┤狭義の節足動物 ┼┼┼↓ ┼┼[現生系] ┼┼┼├───→<鋏角類> ┼┼┼│ ┼┼┼│↓"大顎"セクター Mandibulata ┼┼┼│ ┼┼┼├───→<多足類> ┼┼┼│ ┼┼┼│↓<汎「甲殻」類> ┼┼┌┴┐ ┼┼│┼ ◆頭蝦,嚢胸,舌形,鰓尾,鬚蝦,貝形虫,姫宿蝦,蔓脚,「軟甲」 ┼┼ ◆彫甲,鰓脚,橈脚,百足蝦 ┼┼│ ┼┼↓ ┼┼<六脚(昆虫等)類> 鰓呼吸の海棲である甲殻類から、気管を持つことで陸棲を実現し、肢に付随していた鰓が翅になったのが昆虫と考えるなら、アナロジーで眺めるのがまともだろう。 マ、正しくなくてもよいのである。("蜘蛛には触角無し"にしても、退化とみなす説もある筈。"大顎"集団はまとまりがあり、蜘蛛は別との見方が確からしいので、"触角無し"の意味を考えて分岐シナリオを作っているようなもの。) 脊椎動物の陸上化も鰓を肺に進化させることで実現した訳で。 鋏角類の場合は、そもそも海棲の場合、鰓を内部化せず、書籍のような構造の書鰓にすることで内臓をシンプルにしている。酸素取り入れの効率はいかにも良くなさそうだが持久力不要の生活には向いていそう。おそらく普段はじっとしているのであろう。 その体質のママで陸棲化をはかった訳で、流石に書鰓では乾燥に耐えられないから、書肺になったのだが、肺とは似ても似つかぬ構造であり、酸素取り入れ性能は低かろう。しかし、それがこの種族のボディプランなのだから、それに合わせて他を変異させていくしかないということだろう。 書鰓構造を引きずっていれば陸棲化に限界ありなど自明。おそらく最初は管構造化したのだろうが、シンプルな内臓を保ちながらという大原則を遵守するのだから、昆虫の気管のように力を発揮するのは無理。運動能力は比べるべくもないから、メジャーなシーンには登場できず、寄生の道のようなマイナーな居場所を選ばざるを得なかったということでは。 究極のシンプル化に突き進んだダニは、その小ささで地位を保つことに成功しているのだと思われる。 そんな風に考えると、全体像が見えてくる。 ┌──《皆脚 Pycnogonida》 │┼┼┼┼◆海蜘蛛 or 真皆脚 Sea spider Pantopoda │┼┼┼┼◇[化石]昔海蜘蛛 or 古皆脚 Palaeopantopoda │ ┤<鋏角類 Chelicerata> │ │┼┌《剣尾 Xiphosura》 │┼│┼┼◆兜蟹 Horseshoe crab Xiphosurida │┼│↑{節口Merostomata} │┌┤ ││└《広翼 Eurypteria》 ││┼┼┼◇[化石]海蠍 Sea scorpion Eurypterida ││ └┤ ┼↓"脱書鰓"=陸棲化 ┌┘ │┼┌────◆口籠虫 [クツコムシ] or 節腹Hooded tickspider │┼│┼┼┼┼Ricinulei │┼│ │┼│┼┼┌─◆蜱 壁蝨[ダニ] or 胸板+胸穴 Mite & Tick │┼│┼┼┼┼Acari │┌┤擬似気管系 │││ │││┌─┴─◆座頭虫 Harvestman Opiliones ││││┼┼┼◇[化石]昔座頭虫 or 短腹 Phalangiotarbi ││└┤走脚 Dromopoda ││┼│ ││┼│┌┴─◆蟹虫 or 擬蠍 Book scorpion Pseudoscorpiones ││┼└┤ ││┼┼└┴─◆日避虫 Suspider or Camel spider Solifugae ││ └┤┼《蛛形 Aracgbuda》 ┼│ ┼│┌────◆蠍 scorpion Scorpioneda ┼││┼┼二肺 ┼││ ┼└┤書肺系 ┼┼│ ┼┼│┌───◆紙縒虫 [コヨリムシ] Microwhip scorpion Palpigradi ┼┼││┼┼鬚脚 ┼┼└┤ ┼┼┼│┼┼┌──{中疣 Mesothelae} 腹節蜘蛛 ┼┼┼│┌─┤◆"蜘蛛" Spider Araneae ┼┼┼││┼│┌──戸立て蜘蛛 or タランチュラ Mygalomorphae ┼┼┼││┼└┤┼{後疣Opisthotheiae} ┼┼┼││┼┼└──走り蜘蛛 Araneomorphae…通俗的"クモ" ┼┼┼││ ┼┼┼└┤四肺 Tetrapulmonata ┼┼┼┼│ ┼┼┼││┌─◆腕虫 or 蟹虫擬 Whip spider Amblypygi ┼┼┼│││┼無鞭 ┼┼┼│││ ┼┼┼│└┤脚鬚Pedipalpi ┼┼┼│┼│ ┼┼┼│┼│┼◇[化石]コスリイ[Coseley]虫 Haptopoda ┼┼┼│┼│┌◆蠍擬 Vinegaroons or Whip scorpion ┼┼┼│┼││ Thelyphonida ┼┼┼│┼└┤有鞭Uropygi ┼┼┼│┼┼└◆灸虫 [ヤイトムシ] or 裂甲 Shorttailed whip scorpion ┼┼┼│┼┼┼ Schizomida ┼┼┼│ ┼┼┼└──◇[化石]割板虫 Trigonotarbi 「鋏角類」の目次へ>>> 「動物」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |