[→鋏角類目次] [→蜘蛛目次] "! ■■■ 2018年5月10日 ■■■ 女郎蜘蛛花魁に 手玉にされるも 又愉し 円網を完成させた黄金蜘蛛系一族の親類筋を見ていこう。 この場合、造網作品の視点は、種の同定にはえらく便利なことこの上ないだろうが、それが血縁関係を示すという論理(建築材料とその使い方や作品の特徴での類似性)は恣意的すぎるのではなかろうか。ミクロでの環境条件で似ているだけかも知れないからだ。 実際、ここらの分類観は未確立のようである。 例えば、女郎蜘蛛だが、その外見は黄金蜘蛛とウリ。違いは側面後方に紅色の斑点がある程度。ところが、分類上は、本家"Araneoidea"ではなく、分家筋"derived araneoids"。 しかし、検索すると、黄金蜘蛛一家に属していたり、黄金蜘蛛とは姿が全く異なる脚長蜘蛛一家になっていたりとマチマチ。 網は黄金蜘蛛よりかなり密だから、いわば3D構造化することになり、造網作品分類では別種とされるのは間違いなさそうだが。 (耐久性ありそうな網を造るのは、なんでも捕捉できる強度を実現した訳で、そんな頑丈な建造物構築は大仕事になるから、おそらく定住を決意したのだろう。もちろん素人の推定でしかないが。糸は黄金色に見えるようだから、黄金蜘蛛の本家本元として扱ってあげたいところだが。) この蜘蛛、秋めくと、里山の雑木林や家の庭先の木々で必ず出会えるポピュラーな存在。もっとも、それは過去形である。そんな環境は滅多になくなり、今は、自転車が狙われることが多いとか。ヒトに嫌われかねないから、お勧めできないが他に適当な場所が無いのであろう。 ともあれ、妖怪「絡新婦」のモデルでもあり、そのお蔭で、極めて有名。・・・そんな話はすでにした。 →「蜘蛛を滅茶苦茶嫌った人々[続]」[2018.2.20] 妖怪的扱いではあるが、か弱き存在ではないか。冬を越せない種族らしいし。 なにせ、ヒトが網に触れたりすれば、脅かす仕草など全くせずに、すぐに逃亡する体質。大きく摺れると恐怖に襲われるのだと思われる。蜘蛛君不在の網が残っているだけのことも少なくないから、雀の大好物かも。 そんなことをツイツイ書いてしまうのは、大女郎蜘蛛が四十雀を食べることもあるとのことだから。 →「鳥を食べるクモ 沖縄」沖縄タイムス公式動画チャンネル@YouTube 2011/09/01 そうそう、大女郎蜘蛛の♀が棲んでいる網には、生殖時に限らず♂が網の端に数匹いたりするそうだ。喰われないように用心しながら、生殖時までじっと我慢か。もっとも、その間は居候と決め込んでいるのだろうから、これぞまさしく紐ならぬ糸生活。 ♂も、網の上なら、それなりの力を発揮できそうだが、♂同士で決闘でもして地面に落とされたりすれば、すぐに蟻軍団の餌食となるであろう。 それにしても、この名前。 小学校児童にはどう説明しているのだろうか。 "黒黄の模様に真赤なワンポイントという衣装のケバイ姉さんに似ているダロー"とでも言うのかナ〜。 鋏角類 《蜘蛛 Araneae》 │ │┼┼中疣…出糸疣が腹の中ほどに存在 │┌──【古代風 Mesothelae】 ││┼┼◆Liphistiomorpha 腹節蜘蛛と木村蜘蛛を代表とする群 └┤ ┼│┌─【原始的 Orthognatha】…真っ直ぐの牙顎類 ┼││┼◆Mygalomorphae ┼││┼┼┼│┌─《Fornicephalae 戸立蜘蛛と地蜘蛛を代表とする群》 ┼││┼┼┼└┤ ┼││┼┼┼┼└─《Tuberculotae 漏斗蜘蛛とタランチュラを代表とする群》 ┼└┤後疣…出糸疣が腹の後端に存在 ┼┼│ ┼┼│↓脱地中穴棲 ┼┼│ ┼┼└─【新生型 Opisthothelae】…二軸鋏型牙類(Labidognatha) ┼┼┼┼◆Araneomorphae ┼┼┼┼┼┼└┬─《Paleocribellatae 古篩板類(単性域類有篩板)》 ┼┼┼┼┼┼┼│ ┼┼┼┼┼┼┼├─《Austrochiloidea》<Neocribellatae新篩板類>基底的群 ┼┼┼┼┼┼┼│ ┼┼┼┼┼┼┼│┌《Haplogynae 単性域類篩板退化》…性器単純 ┼┼┼┼┼┼┼└┤ ┼┼┼┼┼┼┼┼└《Entelegynae 完性類》…性器複雑 ┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼↓ ┌──────────┘ ├【Eresoidea】 │┼┼┼┼┼┼┼┼Eresidae 岩ガ根 │┼┼┼┼┼┼┼┼Oecobiidae 塵,平 │┼┼┼┼┼┼┼┼Hersiliidae 長疣 │ ├【Palpimanoidea】 │┼┼┼┼┼┼┼┼Mimetidae 戦捷 │┼┼┼┼┼┼┼┼Malkaridae │┼┼┼┼┼┼┼┼Huttoniidae │┼┼┼┼┼┼┼┼Palpimanidae │┼┼┼┼┼┼┼┼Stenochilidae │┼┼┼┼┼┼┼┼Micropholcommatidae 星 │┼┼┼┼┼┼┼┼Holarchaeidae │┼┼┼┼┼┼┼┼Pararchaeidae 夜叉 │┼┼┼┼┼┼┼┼Archaeidae │┼┼┼┼┼┼┼┼Mecysmaucheniidae │ └【"canoe tapetum"カヌー型タペータム】 ┼│ ┼├Orbiculariae 円軌道造網型 ┼│┼├Deinopoidea ┼│┼│┼┼┼┼┼Deinopidae 目玉 ┼│┼│┼┼┼┼┼Uloboridae 渦,招き.扇,投げ縄 ┼│┼│ ┼│┼├Araneoidea ┼│┼│┼┼┼┼┼Araneidae 黄金,鬼,芥,棘,投げ縄 ┼│┼│ ┼│┼└"derived araneoids" ┼│┼┼┼│ ┼│┼┼┼├───Nephilidae 女郎 ┼│┼┼┼├───Tetragnathidae 脚長,銀 ┼│┼┼┼└"reduced piriform/葡萄状腺" ┼└Nicodamidae & "divided cribellum" + "RTA" 【新生型蜘蛛類 Opisthothelae】 (後疣…出糸疣が腹の後端に存在) ◆Araneomorphae 《Entelegynae 完性類》 【"canoe tapetum"カヌー型タペータム】 {Orbiculariae 円軌道造網型} -- --"derived araneoids" -Nephilidae【造網-円-昼行性】 ○Nephila・・・ジョロウグモ類(Golden orb-weaver) 女郎蜘蛛(clavata) 大女郎蜘蛛 Giant golden orb-weaver(pilipes)@東アジア Constricted golden orb-weaver(constricta)@アフリカ 絶滅危惧種 「鋏角類」の目次へ>>> 「動物」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |