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2000.5.26
 
 


携帯電話用のDSP…

 携帯電話の心臓部は半導体のDSPである。この半導体は信号処理という特定目的の半導体とされてはいるが、内容的にはMCUと同じようなものといえよう。

 DSP分野にはTI(テキサス・インスツルメンツ)という巨人がいて、ダントツのシェアを誇っている。実際、同社のTMS320C54xが搭載されている携帯電話は5割を超えているそうだ。パソコンCPUのペンチアム同様、規格品化が進んでいるように見える。

 DSPは利用するためのソフト開発が効率的に進まないと、いくら素子自体が高性能であっても実力はなかなか発揮できない。TIの圧倒的強みは、同社のDSPを使うためのソフトが世界標準という点だ。(参考:産学共同教育特殊なソフトを開発しても、それに対応できる技術者不在では、力の発揮しようがない。従って、この分野でのTIの技術優位は動きそうにない。

 しかも、消費電力量という携帯機器の性能を左右する項目でも、同社の動きは的確だ。TMS320C54xの次世代、TMS320C55xもまた圧倒的な低消費電力量を示している。発表によれば、6分の1にできたという。「一度充電すれば、2週間以上使える」という訴求が当たり前になりそうだ。

 ということは、同社の新型DSPをいち早く搭載しないと、携帯電話市場での戦いに勝てない可能性が生まれつつある。まさにパソコンのインテル化現象と同じだ。国内の携帯電話市場では意気軒昂な日本企業だが、いまのままなら、DSPはTIの寡占化が進むことになりそうだ。


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