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2005.9.6
 
 


AV家電業界が変わる

 2005年7月の民生用電子国内出荷統計を見て、つい、テレビの話をしてしまった。
  → 「デジタル放送ロードマップの破綻」 (2005年9月5日)

 問題はテレビではない。
 もちろん、CDプレーヤーやMDは落ち込みがひどいが、これは衰退期だから当然だ。やっかいなのは成長が期待されているDVD機器の方である。

 売れ行きがさっぱり思わしくないのである。出荷台数は対前年比マイナスだった。
 このことはDVDディスク録画の魅力が今一歩ということを意味しているのではなかろうか。コピーワンスが嫌われている点だけではないような気がする。

 そう考えるのは、録画機器に家電らしさが薄れてきたからである。

 例えば、録画規格。3種類ある。
  ハイビジョン信号そのまま
  DVD用規格(VR)
  従来ビデオ規格

 VR規格はさらに画質で細かく対応できる。よくできた規格ともいえるが、面倒この上ない。
 パソコンの映像ファイル規格の並立状況と似た感じがする。

 しかも、VR録画を他の機械で見るための「ファイナライズ」なる処理が必要だったりする。こんなことをしても機器互換性は保証しないそうだ。

 このパターンは家電ではなく、パソコンである。

 他のビデオ機器と接続可能か調べるとその状況がもっとよくわかる。ビデオカメラは別として、互いの機器は接続できない場合が多い。しかも接続可能とされていても問題を抱えるようだ。
 例えば下記のような内容がメーカーのホーム頁に記載されている。些細な問題とは言いかねる。
   異なるモードで録画される.
   再生時にブロックノイズが発生する.
   録画で録画映像が真っ黒になる.
   ハイビジョン放送を録画したときに再生できない.
   ビデオサーチと再生を繰り返していると抜けられなくなる.

 要するに、家電の「単純で使いやすい」世界は駆逐されたのだ。

 パソコンの世界の特徴は、仕様変化の凄まじさである。
 例えば、ディスクドライブ仕様は次のように記載される。
   CD-R書込倍速数:40
   CD-RW書込倍速数:24
   DVD-RAM書込倍速数:5
   DVD-R書込倍速数:16
   DVD-RW書込倍速数:6
   DVD+R書込倍速数:16
   DVD+RW書込倍速数:8

 この数字と価格を見て、妥当か判断できる人は稀である。始終勉強していなければとてもついていけるものではない。店員の説明をその場で聞いても理解は難しい。

 ここまでひどくはないが、家電のDVD機器も同じ状況に陥ったのである。

 競争のルールは変わったのである。

 技術展開を誤れば、消えさえる家電企業がでてもおかしくない訳だ。AV家電分野で、勝ち組と負け組みの選別が始まることになりそうだ。


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