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2010.2.22
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延々続く海外地名/人名の漢字表記…

 先日、蕎麦屋に入ったら、TVがかかっていて「タイホク」という言葉が耳に入った。ずっとTaipeiしか使っていなかったので驚いた。
 その放送局かどうかはわからぬが、2005年現在では、NHKは「タイホク」らしい。(1)
 日本以外で通用しない呼び名を使ってどこが嬉しいのか理解に苦しむ。
 未だに、この調子なのだろうか。
 これで、他国との文化交流を深めようと語るのだから、口だけ。

 ビジネスマンは、とうの昔から、地名は世界的に多用されている呼び名か現地呼び名を使うが、当たりまえではないか。地名や人名が相手と違う用語を使っていれば、コミュニケーションどころではないからだ。
 例えば、相手が、キュウサン首相と言ったら、それはどこの誰だと質問することになる。それでは意思疎通どころではなかろう。

 それでも、中国は表記が漢字だから、まあ仕方ないところもあるが、韓国の地名を漢字にする必要がどこにあるのか理解に苦しむ。漢字を捨てることに熱心な国だからだ。国名にしても、ハングル表記。外野から見れば、漢字の「大韓民国」を、テ・ハン・ミン・グクと読んだだけに映るから、その心情はよくわからないが。

 例えば、キン・ダイチュウ元大統領と呼んだところでなんの意味もなかろう。そのうち、キム・デジュン元大統領と呼び方が変わったが、マスコミは何を考えていたのか。流石に、リ・メイハク大統領と呼ぶことはないようだが、あいかわらず漢字の李明博表記は続けるつもりのようだ。
 なぜそうまでして漢字に拘る人が多いのかさっぱり理解できない。

 ともかく、漢字表現にこだわられると、欧米の新聞が読みずらくてたまらないのである。
 Google-Japanマップでは、国名の韓国以外はすべてハングル表記だ。漢字表記の国ではないのだから、まあ当然だろう。もっとも、ハングルの読みを覚えようという人はほんの一部だろうから、これもまた、こまったものだ。英名でなければ実用度ゼロである。そハングルにするなら、片仮名併記にすればよさそうに思うが。
 だいたい、わざわざ釜山や仁川 と表記して、プサンやインチョンと読まなければならないのは、面倒きわまりない。それに、ソウルを京城と書ける人などすでに少数派だろう。

 それよりたまらぬのが、中国である。漢字表記の国なので、そのまま使いたくなる気持ちはわからぬでもないが、台湾と違い、実際の文字は簡体。わからない文字も少なくない。
 それに、文字から音が想像できないからこまる。特に人名。
 Hu Jintaoがコキントウで、Wen Jiabaoがオンカホウであることなど、中国語の素養がない限り想像もつかない。頭のなかでそのたびに誰なのか想像する必要があるので、イライラ度がたちまち高まる。
 いつまでこんなことを続けさせられるのだろうか。
 地名もこまったものだ。省を漢字表記にしてもらうと、場所がわかり易いのは確かだが、中国語を読めないならほとんど意味はない。結局のところ、英名がわからないと、意味がないからである。
 地名は本当に難儀。
 Beijing、Shanghai、Hong Kongのような、わかり易いものもあるが、ほとんどはどうにもならない。Chongqing[重慶]でも結構難しい。“q”の発音と、チョンチンという名称を知ってないと無理では。
 黒酢で御馴染みのZhenjiang[鎮江]や陶器のJingdezhen[景徳鎮]は、話の筋からなんとなく想像はできるが、当たっているか調べざるを得ない。
 Liaoning[洛陽]に至っては、漢字名を想像することもできない。

 漢字表記をするなら、現地読みの片仮名を併記して欲しいものだ。それができないなら、漢字を止めてくれれば有難いのだが。
 だいたい、今時、Macau[澳門]、Xiamen[厦門:アモイ]を漢字で書く人などいまい。
自治区のウルムチになれば、漢字で表記されたらおそらく読めまい。
 どう考えても、漢字表記ににこだわる必要は無いのである。
 ビジネスの話でも、Zhejiang[浙江]やDongguan[東莞]はよく知られているからわかるので、Chengdu[成都]になると頭が混乱してくる。いちいち調べないと新聞記事もまともに読めない。
 こんなことを何時までも続けさせられるのでは、たまったものではない。

 だいたい、表音文字にすべきとしたのは毛沢東である。おそらく、それは100年計画であり、今は過渡期と見た方がよい。音なのだから、片仮名表記で十分なのである。「漢字文化圏」といっても、日本のような表意文字圏とは違うのである。
   →  “「漢字文化圏」時代は来るか”  (2009.8.3)
 2009年から、Google Map-Japanも欧米はカタカタ読み併記になったのに、中国はいまもって漢字表記だけというのが残念至極。Google Map-U.S.のように英語名併記してもらえると有難いのだが。

 もっとも、カタカナも難点がない訳でもない。ウィーン[Vienna]には今でもどうしても一瞬とまどう。Google Map記載のWien[ドイツ読みならヴィーンか。]ならまあ想像はできるのだが。
 “Das gibt's nur einmal”(2)が好きだとヴィーンではつらいものがあるかな。小生の亡母の時代の作品だが。
 それなら、漢詩の世界を愛する人にもいえるか。中国の地名をカタカナにされると情緒もなにもなくなるだろうし。

 --- 参照 ---
(1) “もの知り百科 Q 「たいほく」? 「タイペイ」?” 読売新聞 [2005年08月10日]
   http://osaka.yomiuri.co.jp/mono/mo50809b.htm
(2) 「会議は踊る[Der Kongress Tanzt]」(1931年)


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