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■ 孤島国JAPAN ■

2013.9.12


 

自殺文化国家…

日本は毎日100人近くが自殺する国である。2012年は僅か減って年間3万人を割ったようだが、減少傾向が見えたとは言い難かろう。電車の人身事故が頻繁に発生しているのは、多分、このせいだろう。
海外でもよく知られているようで、人口減少国だが、この10年でアイスランドの人口分を自殺で失っているといった紹介が多そう。しかし、多発理由については曖昧なもので留まっている。おそらく、書いているご本人も聞かされる理由はどうも腑に落ちぬという気分だろう。

まあ、そりゃそうだ。
まともな日本の大企業なら、従業員の鬱病対策を打っているからだ。それを知れば、そこまで頑張っているのに何故なんだろうとなるのは当然。ただ、社会一般には、鬱病についての理解はできていないと考えて間違いないが。ここらの教育は大きな課題と言えよう。
だが、海外の人達はそういう話以前に、統計を見てビックリするらしい。

先ずは、若い人達の自殺の多さ。コリャ、尋常ではないナと感じるようだ。言葉には出さないが。
言うまでもなく、鬱病が発症し易い年代だし、人生の意味を考えあぐねたりするから、若者が自殺に走り易いのは先進国一般に言える話。日本もご多分に漏れずだが、20代から30代にかけての死因のトップとなれば、いくらなんでもそこまでとはとなる訳だ。
キリスト教ベースの社会だと、与えられた命を神のご意志に背いて自ら死を選ぶ行為に走るとなると、相当な覚悟がいる筈。日本は、それがないということかナと感じるかも。命とは泡沫のようなものとの無常観がべースだと考え方も違うのかと見る訳だ。まさか、そんなことは書けないが。

この見方、日本人だと笑ってしまうかも知れぬが、結構、本質を捉えているかも。
言うまでもないが、それは自殺者の意識ではなく、自殺に追い込んだ側の意識として。新聞では、イジメとか称される自殺追い込み行為がたびたび報道されていることでわかるように、それが愉しい人は少なからず存在するのが日本の社会。
その実態など誰でもがご存知の筈。自殺するまで、「テメエなど、なんの役に立たない。死んじまえ。」と日々言われ続けるのである。間違えて解釈したい人が多いが、言う方は本心からそう思っている発言である。命とは泡沫そのものだと考えるからこそ、そんなことが言える訳である。
もちろん、周囲はそんなシーンを見て見ぬふり。そう、単なる言葉の綾として片付けるのである。と言うか、それは正しい措置と思っているからだ。同じ穴の狢。
それが日本社会の現実。

運動部等で自殺者や一気飲み強制で死者が出るなど昔からのこと。なかには、状況から見て、他殺同然に映るものもある。しかし証拠皆無だから、警察は手の出しようがなかろう。
企業でも、従業員を自殺に追い込む文化を抱え込んでいる例にはことかかない。
従って、そんな蟻地獄のような組織には近寄らないようにするのが真っ当な処世術だが、そうもいかない事情をお持ちの方もおられる訳だ。
この辺りの事情は海外では理解しにくいと思われる。

それと、若者の自殺が、コミュニティの「道徳的」というか、「戒律的」に感じさせる圧力に堪えられなくなったためとのドグマの影響も、理解を阻む一因。
コミニュティが強固で、束縛されているにもかかわらず、都市化による自由な生活が進むと矛盾が増大し、自殺が増大するとの発想である。小生は、カソリック圏よりプロテスタント圏の方が相対的にこの問題が小さいと言いたいから生まれた発想と見る。それは単純に一般化できるものではないと考えるからだ。生活レベルが高く、コミュニティ圧力も厳しそうでも、若者自殺者多発社会とはとうてい思えないイスラエルのような国家もあるのだから。

次が、働き盛りの中高年の自殺の多さ。健康と経済問題を苦にしてとされる。
これは、以前にも書いた覚えがあるが、家族や金銭的に迷惑をかけている人達への「おもいやり自殺」である可能性が高い。実態としては、自殺に追いやられたと解釈すべきもの。失敗したら一巻の終わりで、再度挑戦は許されない社会と考えていることがよくわかる。それが、日本の現実。
このままだと、家族や知人にこの先さらに迷惑をかけるばかりだから、死を選ぶ訳である。そんなことを本人が言うことは無いから、状況証拠しかないのだが。ただ、なかには、死亡保険金で早く償えといわんばかりの発言で自殺に追い込もうとする人もいる訳で、それがまかり通る社会であることは間違いない。いかにも日本的な解決策と言えよう。
これ以上卑しめられたくないとか、お家を護るためとかでの「切腹」が美談とされる社会風土が厳然として残っているということ。

そんな伝統を賞賛する人々も少なくない。
老いて生き恥などさらしたくもなしという発想は、未だに根強いものがある。「切腹」を尊い行為と考える人は極めて多いのが現実。
これは、オランダのような合理主義としての尊厳死の選択とは全く違うものなのだが。

ついでながら、先日の引退した演歌歌手の自殺で、日本メディアの報道の質の悪さが特筆モノであることもよくわかった。それを批判する人も滅多にいないようである。
  「自殺予防 メディア関係者のための手引き」(WHO2008年改訂版日本語版) 内閣府
  http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/link/kanren.html


おわかりだと思うが、日本は自殺文化国家なのである。
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