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■■■ 日本の基底文化を考える [2018.8.3] ■■■
鳥崇拝時代のノスタルジー[24]
−愛称を失った小さき鴨−

鴨類では最小らしく、それで、小鴨と呼ぶとは余りに情けない命名。結構よく見かける鴨だが、この名前では、歌に詠もうと考える人は少ないだろう。
他の鴨と一緒にいると、小生も含めて、小鴨ではなく仔鴨と勘違いしそうだし。

少々冷たすぎる感がしないでもないが、そうなるのは、餌付けを嫌うせいもありそう。この体質は臆病から来ていると見る人も少なくないが、一番の天敵はヒトだからそうなるのである。肉は美味間違いなしだし。

今もそれは変わらない。棲み馴れていた池は綺麗に掃除されたり、護岸だらけにされることも多いし、無神経なスワンボートうようよ状態だったりする。これでヒトに近寄ってきたらどうかしている。
ヒトの隔離が進んでくれば、そのうち、小鴨の姿勢も変わるだろう。

そんなことでか、真鴨の大集団内にいる時は、真鴨と同じような行動パターンを見せてくれるが、少数になると、もっぱら夜間採食に替わるそうだ。

当然ながら、選好地は鴛鴦と似て、静かで暗っぽい場所になる。両者混交状態は古くからのことのようだ。
鴨君足人が香具山の歌一首、また短歌 反し歌二首 [巻三#258]
人漕がず 有らくも著し 潜きする 鴛鴦沈鳧と 船の上に住む

この鳥の渡りについては、古代から注目されていた筈である。一番早くやってきて、一番最後に帰っていくからだ。
繁殖地が他の鳥より近場ということだけのことかも知れぬが、一番親近感を覚えていたのではなかろうか。

お〜、早々とやって来たなと空を見上げたに違いなく、長々と逗留した後に又来年という気分で高い空を群れをなして飛ぶ姿をじっと見つめていたのだと思う。感謝の念を込めて。
"たかべ"はおそらくそんな愛称だろう。
寄物陳思 [巻十一#2804]
高山に たかべさ渡り 高々に 吾が待つ君を 待ち出でむかも

(Wikisource 万葉集 鹿持雅澄訓訂 1891年)
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