[→本シリーズ−INDEX] ■■■ 日本の基底文化を考える [2018.9.5] ■■■ 鳥崇拝時代のノスタルジー[56] −カラ類のパトロール− 体長15〜11cm程度の四十雀系小鳥混群がパトロールすることが知られている。鳥類学者Jaques Delamainが"La ronde des Mésanges"@"Pourquoi les oiseaux chantent"(邦訳有)と名付けている。 以下の鳥が中心。(概略、大きさ順) 四十雀シジュウカラ 山雀ヤマガラ 小雀コガラ 日雀ヒガラ 頭を下にして動き回るという点で、生物分類上は同類とは言い難いが、四十雀の老成鳥的名称の鳥も、一緒に行動する。 五十雀/木回りゴジュウカラ 言うまでもないが、このような習性は古から知られていた。 ▼藤原信実[1176-1265年] [「新撰和歌六帖」#684] 冬野には 小雀(こがら)山雀(やまがら) 飛ひ散りて 又色々の 草の原かな 群れ小鳥の代表たる"すずめ"のように、接尾語"め"を付けていたようだ。 ▼寂蓮 [「夫木和歌抄」#12890] 朝まだき "四十雀め"ぞ 敲くなる 冬籠りせる 虫の棲み処を ▼寂蓮 [「夫木和歌抄」#12885] 共寝して はくくみかはす "小雀め"の 思ふ人たに あるよなりけり ▼太皇太后宮小侍従 [「夫木和歌抄」#12886] 羽交わす "小雀め"ふしを 見ても待つ 我が独り寝の 契りをそしる ▼土御門院 [「夫木和歌抄」#12887] 深山への 嵐にうつる "小雀め"は 時雨に靡く 木の葉なりけり ▼仲正 [「夫木和歌抄」#12888] 並びゐる "小雀め"ふしの なかにいりて わりなく人に むつれぬるかな もっとも、一番馴染みのある鳥といえば、実は四十雀や小雀ではなく山雀。愛玩鳥として広く飼われていたからである。 ▼光俊 [「夫木和歌抄」#12883] 山雀の 廻す胡桃の とにかくに 持て扱かふは 心なりけり ▼寂蓮 [「夫木和歌抄」#12884] 籠の内も 猶羨まし 山雀の 身のほと隠す ゆふかほの宿 小生も、昔、見たことがあるが、おみくじを引く芸をみせてくれる賢そうな鳥である。今は昔に近いが。 (参考)小山幸子:「ヤマガラの芸 文化史と行動学の視点から」法政大学出版局 1999/2006年 本シリーズ−INDEX> 超日本語大研究−INDEX> 表紙> (C) 2018 RandDManagement.com |