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■■■ ジャータカを知る [2019.4.14] ■■■
[35] 山羊
🐏山羊は、わずかな草しか生えていなくとも芽食なので飼育可能。山岳地域や乾燥気候帯では搾乳動物として貴重な財産と見なされる訳だ。一方、農耕地域では貧者の家畜か生贄用とされる。
夫々の地域の需要に合わせて、品種は数多い。現代では、毛用、肉用、乳用、兼用で分かれ主要種の品種改良が進んでいるようだ。
  《山羊/家山羊Goat
  〇ジャムナバリ種Jamnapari@インド(北部乾燥地帯)〜東南アジア
      …大型白地黒斑 垂耳と盛り上がり鼻筋が特徴。

  〇ブラック・ベンガル種Black Bengal@インド〜バングラデッシュ…小型黒地
   ・Jamnapari
  〇カシミヤ種Cashmere@カシミール原産
   ・パシュミナPashmina or Changthangi@ヒマラヤ山麓
  〇Chamba@ヒマラヤ
  〇アッサム種Assam Hill@アッサム原産
  〇Attappady black
  〇Barbari@インド北西部〜パキスタン(パンジャブ, シンド)…小型白地茶色スポット
  〇Beetal@パンジャブ
  〇Damani@パキスタン…乳用

インドに於けるヒトとの交流は古くからあるものの、農耕経済社会になってしまうと、次第にフェードアウトしてしまったようだ。
しかしながら、インドの民衆は、古代信仰を生で発現させたい性があるから、現代の供犠動物としては羊[→]を越えてNo.1かも。
ただ、乗り物とする神は極めて限定的である。・・・
太陽神スーリヤSūrya/蘇利耶の使者プーシャンPushanは山羊の引く車に乗る。直接的に黒山羊に騎乗するのはMeladi Maa。

それにどのような意味があるのか、神話を調べてはいないが、相当な古層に係わっている可能性があろう。と言うのは、サンスクリット語の山羊はAjaḥとも呼ばれるから。(ジャータカはパーリ語。)その基本語義は"unborn"or the supreme unborn one(=self-born without a material source)。つまりソコ存在しているという概念。それこそが山羊の位置づけだろう。

ジャータカを見ておこう。山羊の性分をよく見ている。

現代の供犠にも言えそうだが、たまには肉が食べたいとの支配層の隠れた欲求にそれとなく応えるのが山羊飼いとの面もある。[#41]新参長老を妬んだ修行僧がその因果でずっと酷い目に。その最後に山羊の島で山羊飼い達に王の山羊を泥棒していた輩とされてしまう。菩薩は奴隷として引き渡してもらうのだが。

山羊を取り上げている訳ではないが、烏の話[#140]で山羊の毛が燃えた、と。毛用途の山羊飼いが多かったことがわかる。

山羊の排泄物はボロポロの顆粒状。[#107]司祭のお喋りにたまりかねた王は石投げ名人を雇って、集めた山羊の糞を次々と開けた口に放り込ませる。大成功。

羊譚[→]でも山羊を取り上げたが、去勢話では山羊は外せない。[#544]
鍛冶工が不倫。その罪で、その後、色々と転生。去勢された山羊、ボスに睾丸を抜かれた猿、去勢された牡牛、等々。
蛇を助けたことで、蛇王と仲良くなった国王は特別な呪文を教わる。王妃迫られ、命を失うにもかかわらず、秘密を明かそうとする。そこを帝釈天に諭され、王妃に懲罰的な仕打ちを。話の流れて登場するのは蛇王の龍女、馬、山羊だが、いずれも性的戯れが目立つ動物ということで。[#386]

山羊は飼っている人達に言わせると好奇心が旺盛で、その結果、的確な判断ができるという。聡明な動物と見なす人も多い。
ジャッカル夫婦が山羊を次々と食べていたが、賢い牝ヤギが脅したのでジャッカル逃亡。[#437]

と言っても、残忍な肉食動物には対処は無理。[#426]

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