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■■■ ジャータカを知る [2019.5.3] ■■■
[54] 沼烏
烏の項[→]でスキップした話[#204]維拉迦烏を取り上げておこう。・・・

飢餓に襲われ、ヒトは精霊や蛇はおろか烏にも食べ物を出せなくなってしまった。しかたなく烏は一羽、又、一羽と森に入っていくしかなかった。そんななかで、沼烏が住む池を訪れたペアがいた。沼烏は魚を獲って食事をしていたので、その召し使いにしてもらい、魚を頂戴することに。しかし、それが続くとプライドがもたげて来た。同じ烏なのに、と。
そこで、自分で魚を獲ると言いだし、沼烏に無理だからよせと諫められたが聞かず。結局溺れ死ぬ。

鳥の名前を沼烏(鴉形水鳥)としてみたが、そのような語彙がある訳ではない。英訳のMarsh crowに対応させただけ。魚を獲る烏だからFish crow[魚烏]としたいところだが、北米西岸にしか生息していない種。
インド辺りで潜水漁タイプの烏ならこちら。
  ▲河烏Brown Dipper…日本では渓流で素人でも観察可能。成鳥の大きさは烏の半分程度。
  ●胸白河烏White breasted dipper/白喉河烏…ユーラシア一帯で普通にみられる。

名前は烏だが、分岐分類ではその仲間と見なすことは無理。食性的には小魚を食べるのは間違いないが、甲殻類や昆虫が主体ではないかと思う。当然ながら群れる習性は無い。

ジャータカのお話を読むと、結構、よく観察していたことに気付かされる。
潜って泳ぐだけなら溺れる筈がない。水草があるところに入るから、足が絡んで浮上できなくなるのである。当たり前となりがちだが、潜水可能な鳥であっても、草食でもないのにそのような場所での漁獲は常識的には避ける筈。
つまり、河烏は特殊な能力があるのだ。潜って泳ぐのではなく、水底を歩くのである。こんなことが可能だからこそ、草や石の影に隠れている生物を捕れるのである。
このような食性であるから、水面のテリトリー確保には神経をつかう筈で、お仕えするなどもってのほか。

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