→INDEX ■■■ ジャータカを知る [2019.5.2] ■■■ [53] 烏 ジャータカでは、それこそ、これでもかという感じ。 すでに取り上げた話もあるが、一通り見ていこう。 [#140]山羊に米を食べられないようにと、侵入してきた山羊を松明で脅したところ毛に火がついてしまった。必死に駆け回り象舎に入ったので火事に。烏を不快に思う司祭は、その象の火傷を治すのに烏の血清が効くと。そこで烏皆殺しが始まってしまい。烏の王は国王を諌める。[→山羊] 鳩は素敵だが、烏は貪欲で性悪との対比話も何度も繰り返されている。[→鳩] [#42][#375]鳩譚、[#274]貪欲譚、[#395]烏譚 なんと言っても、食い意地が張っている点が嫌われるポイント。[#294]閻浮果實譚 ジャンブ樹Jambu閻浮樹(=蒲桃[フトモモ]Rose apple)の林で、その実を烏が食べていた。やってきたのはジャッカル。互いに、ありもしない徳をたたえ始めた。死体を喰う烏とジャッカルが偽りの言葉で褒めちぎっており、聞くに堪えぬと樹木神が恐ろしい姿を現した。 雑食なので、藻食だけで生きている水鳥とは、食性が余りに違いすぎるので、悪しきイメージが自然に生まれるのだろう。[#434][#451]鴛鴦譚[→鴛鴦] [#384]法幢譚 船が難破し、方向見役で乗っていた烏は鳥の群れであふれかえる小島に上陸。これは卵と雛の食い放題の地と見て、島の中心で一本足で立ち、修行中のふり。風を喰うだけで生きる素晴らしいお方と尊敬されるように。しかし、その実態を暴露され、皆から叩きのめされ絶命。 しかも悪食とくる。婆羅門の目玉に食欲をそそられたりするのだから。[#389]金色蟹譚[→蟹] そんなこともあって、魔的で縁起悪しのイメージがある土星のシンボルとされているのだろう。【ナヴァグラハNavagraha/九曜】 シャニŚani/沙尼…烏が乗り物 太陽を運ぶ神聖な鳥と考えることなど、およそ有り得そうにない。八咫烏信仰の生まれる余地など無かろう。 乗り物の意味するところは、どの神もはっきりしている訳ではないから、皆、勝手に意味付けするのであてにはならぬが、シャニは財産の護り神だから、烏の持つ盗癖を抑えこむために騎乗しているとの解説は当を得ていそう。(禿鷹のこともあるが、その場合は死と関係しているのだろう。) 梟も目の敵にしていそうだし。そのいかにも性悪そうな点が気に喰わぬのだろう。[#226][#270]梟譚[→梟] 流石に、そこまで烏だけ足蹴にするのはどうかと考えたか。 食い意地だけで生きている訳ではないと。 [#146]烏譚 ナーガへのお供えが溢れる海岸で、勝手に食い散らかし酔っぱらってしまった烏夫婦だが、妻が海に入って波にさらわれ魚に貪り食われてしまった。取り戻すには、海の水を無くすしかないと、烏の仲間は一口づつ水を運ぶことに。そんな徒労はよせと海の妖精が言ったので、皆飛んでいった。 他の鳥に同情することもあるゾ、と。 [#357]鶉譚 烏、青蝿、蛙で鶉の雛を故意に踏み潰した象の敵討ち。[→鶉] 人間の王国と比べても、決してひけをとる訳ではない、と。 [#292]美翼烏王譚 8万羽にものぼる烏の王の妃は、国王の調理場に並んだ魚肉料理を見てしまい。命を捨てても食べたくなってしまった。しかし烏王はそれに応えることができないので不機嫌に。それを知った将軍烏は、調理場侵攻部隊を周到に編成し、自分は命を捨てる特攻役に。上首尾で成功。たまたまその様子を国王が目撃し、その烏の生け捕りを命じ、命を捨ててまで料理強盗に走った理由を尋ねた。国王はそれを聞いてアッパレと称えた。 【ナヴァグラハNavagraha/九曜】 スーリヤSūrya/蘇利耶[日]…7頭立白馬の車 チャンドラChandra/昌コ拉[月]…羚羊の車 マンガラMaṅgala/曼伽羅[火]…雄羊Ram ブダBudha/部陀[水]…獅子 or 8頭立濃黄馬の車 ブリハスパティBṛihaspati/祭主仙人[木]…象 or 8頭立白馬の車 シュクラShukra/戌羯羅 or 太白仙人[金]…(酉冠着用) 馬 or 鰐 シャニŚani/沙尼[土]…烏 ラーフRāhu/羅睺[月の昇交点]…8頭立黒馬 or 獅子/山猫/虎 ケートゥKetú/計都[月の降交点]…鷹 or 魚 →ジャータカ一覧(登場動物) (C) 2019 RandDManagement.com →HOME |