→INDEX ■■■ 今昔物語集の由来 [2020.7.9] ■■■ [375] 法華経に帰依する降雨竜 【神泉苑】空海、晴雨経法で天竺の善如龍王を呼ぶ。 【本朝仏法部】巻十四本朝 付仏法(法華経の霊験譚) ●[巻十四#41]弘法大師修請雨経法降雨語📖請雨経法 【讃岐万能池】天狗に攫われ閉じ込められた龍を、同じく閉じ込められた僧が水瓶の水を与えて救う。 【本朝仏法部】巻二十本朝 付仏法(天狗類 冥界往還 悪報:転生現報 他) ●[巻二十#11]竜王為天狗被取語📖天狗 雨乞いは、日本のような箱庭的風土であれば、ローカルな気象に対応することになるから、宗教が渡来すれば習合しやすそう。例えば、震旦の降雨竜は、震旦の降雨神ナーガが入ってくれば、必然的に土着の水神と習合することになる。両者の呪力が一体化するということでもあろう。 ただ、国家的規模への対応が求められるようになると、政治的角逐がからむので、単純にコトが進むとは思えないが。 いかにも創作説話臭を感じさせる譚も収録されている。 旱魃は、天神が人間生活を見て決定していることで、竜はそれに従っているだけ。しかし、法華経に帰依する身としては、竜であっても、経を聴聞させて頂いた恩と、旱魃から救う慈悲の念を思えば、天人や竜応の怒りをかって、身を八つ裂きにされようが、降雨させようと捨身の覚悟で臨むというもの。 お蔭で雨は降るものの、竜は殺されてバラバラになって落ちてくる。そこで供養のために寺を造営するのである。 この話、類似の伝承説話が存在することが知られている。 【奈良】「今昔物語集」版 竜苑寺僧@大安寺南… 竜海寺@平群の西の山・竜心寺・竜天寺・竜王寺 【大阪】行基菩薩の法華八講… 龍頭寺(龍光寺)・龍腹寺(龍間寺)・龍尾寺@四條畷市南野 【下総印旛沼】釈命開基… 龍角(閣)寺@栄町安食・龍腹寺(勝光寺)@印西・龍尾寺(尊蓮院)@八日市場大寺[匝瑳] 【尾張】空海の雨乞い… 真清田神社@一宮 【本朝仏法部】巻十三本朝 付仏法(法華経持経・読誦の功徳) ●[巻十三#33]竜聞法花読誦依持者語降雨死語 奈良 大安寺の南にある竜苑寺の僧だが、 長年法華経読誦。教義学習に努め理解を深めており、 毎日、一品を講義し、その経文を読誦することを、お勤めとしていた。 聴講者に竜が一匹いた。 講義と読誦の尊さに心をうごかされ、人の姿に化身し、毎日聴聞。 そこで、僧はどなたか、と尋ねると 竜は本願を答えたので、その後、親しく付き合うように。 そして、竜は仏法に従うようになった。 これが噂となって広がった。 その頃、国は旱魃にさらされていたので 天皇への奏上があった。 大安寺の南の寺に住す僧は、長年竜と親しくしておりますので 僧をお召しになり、 竜に降雨を頼むように命ぜられましたら如何かと、と。 早速に、宣旨が下り、 出来ないなら汝を追放するとして、僧に命じた。 僧は大いに嘆き、寺に竜を招いて相談。 竜は、僧に告げた。 「長年法華経を聴聞し すでに悪業苦を脱し、善根の功徳で安楽の境地に居ります。 願わくば、捨身で、聖人の御恩に報いたいと思います。 しかし、旱魃は、我がしていることではありません。 大梵天王の下で、 国の災害防止で降雨を止めているのでございます。 そこで、我が雨戸を開いたりすれば、 斬首の刑を受けることになりましょう。 そうは申しましても、我が命は法華経に供養し奉っております。 後世、三悪道に堕ちることはないでしょうから、 三日間雨を降らせます。 必ず殺されますので、 願わくば、聖人、 我が屍を捜し出し、埋葬のうえ、上に寺を建立頂きたく。 その場所は、平群郡の西の山の上の池でございます。 それに、行く場所にも寺を建立頂きたく。」と。 僧は嘆き悲しんだものの、勅命に従わない訳にもいかず、 承知の上、泣く泣く別れた。 そして、経緯を奏上。 天皇はお喜びになり、降雨をお待ちになっていた。 すると、約束通り、にわかに空が曇り、雷電霹靂。 三日三晩大雨。 国内安泰。 天皇も安心し、大臣百官から百姓まで皆おおいに喜んだ。 その後、聖人は竜の遺言通り、西の山の峰に行くと、 池があり、その中にで竜が切られて死んでいた。 池は血が満ちて紅色になっていた。 聖人は、泣きながら遺骸を埋め、寺を建立し竜海寺と命名。 そして、竜の供養のため、法華経を講じた。 竜との約束通り、残りの三ヶ所にも寺を建立。 もちろん、すべてを奏上し助力を賜ったのである。 これらが、今も在る、竜心寺、竜天寺、竜王寺である。 聖人は、ずっとその寺に住み、法華経読誦で竜を供養。 (C) 2020 RandDManagement.com →HOME |