→INDEX ■■■ 今昔物語集の由来 [2020.8.16] ■■■ [413] 河伯供犠撲滅 魏の政治家 西門豹は巫女・三老・役人が迷信に付け込み肥え太り、農民達が困窮したので土地が枯れたと考えた。美女を河伯に捧げる祭りに出向き、生贄の器量が悪いから、少し待てと河の神に伝えよと命じ、すべての巫女を川底に沈めたのである。 →ゴチャゴチャの河伯(2016.5.14) この元ネタは司馬遷:「史記」巻百二十六66滑稽列伝5褚先生补6西門豹。前400年の話。 西門豹は安邑人@山西 夏で、文候に仕えた官僚。孔子の孫弟子だが、その行状からして、儒家ではなく法家と見られている。 百年の計ということで、民の不平不満をものともせずに灌漑大事業(漳水十二渠)を完遂させている。 巻十には、これと内容的には同じ譚が収録されている。 【震旦部】巻十震旦 付国史(奇異譚[史書・小説]) 《28-35 国王》 ●[巻十#33] 立生贄国王止此平国語 時代も人名も伏字。 震旦の北方の国の王になったので、その地へ向かった。 国境を越えたので、国人に尋ねた。 「この国には、年内に何か事か有るようだな。 国土は広いが、民は少なく、荒れた場所が多いみたいだ。」と。 国人、答える。 「この国には、昔から今に至るまで、 年毎に一度だけ、極めて大きな事件が発生致します。 そのため、国に人が少なく、空家が多いのでございます。」と。 王は、何事かと問うと、 「この国では、昔から、神の力が強いのです。 年毎に一度の祭が開催されますが その祭に、国内の、立派な家の富裕な人の娘から、 年は15〜16で、容姿美麗な未婚との条件で選んで、 潔斎して、御注連を給て、一年の間精進させ、 明る年の御祭の日に、諸々の神宝等を一緒にして、 この娘を荘厳に飾り立てて輿に乗せ、 大海の辺に運び、船に乗せ、海に放ちます。 そして、海の底へと入っていくのです。・・・ 西門豹なら伏字にする必要などないが、これは国王の話なので、記載できなくなったとの体裁にしているのだ。コレ、単純な潤色という訳ではない。 この巻は震旦国史だからだ。 つまり、ここは、国王が生贄を続ける巫の勢力を叩き潰す話でなければならない。儒教に染まる一官僚が行った話なら収載するつもりはないのである。 と言って、そんなことで、この譚だけ伏字にしたということでもない。 《28-35 国王》のグループでは、国王名はすべて"不詳"記載。このことは、「今昔物語集」編纂者が都合により記載しなかったのではなく、元ネタですでに時代不明、王名不詳とされていることを示唆しているようなもの。 つまり、震旦の国史とはそのようなものですゾと見せつけているとも言える。このグループの話は国王賛美と正反対だったりするから、下手するとその宗族の末裔に抹殺されかねないから伏字になるのです、と書いているようなもの。 これは、震旦史を理解する上で極めて重要ですゾ、と主張しているのかも。 (C) 2020 RandDManagement.com →HOME |