コンピュータの研究開発(2)…


 1999年の電機機器産業はパソコン、液晶ディスプレー、半導体の生産が主導した。
 パソコンは屋台骨になった。しかし、技術の観点からいえば、日本企業がパソコン技術で主導的立場に立っているのは、電源コントロールのようなマイナーな分野だけではなかろうか。米国、台湾、シンガポールの企業がそれぞれの分野でリーダーの地位を確保しているのとは対照的だ。特に、台湾企業は着々とこの分野で地位を高めてきており、今や世界のリーダーといっても過言ではあるまい。

 こうした事態を招いたのは、コア技術を絞り切れなかったことが大きい。

 換言すれば、パソコン全体のアーキテクチャーを検討する仕組みが機能していなかったことを示すといえよう。

 ニーズに合わせて、できるかぎり高性能・低価格にするためには、全体の構成をどうすべきかを考えない限り、技術を武器にした研究開発などできまい。DRAM、グラフィック(ビデオチップ)分野で強い要素技術がありながら、リーダーになれないのは、アーキテクチャーを提案する研究開発を避けてきたからとしか考えられない。グラフィック部分とメモリーコントロールを1つのチップにまとめて安価にする、といったアイデアを活かすだけでも、競争力を発揮することはできたのではないか。64ビット化による変化もあるが、アーキテクチャー自体が完成してくると、リーダー以外は後追いしかできまい。

 こうなると、飛躍を狙うのなら、次世代のアーキテクチャーで先を走る以外になかろう。

 大きな流れからいえば、次のイノベーションは汎用CPUを複数用いたり、ネットワーク型のコンピューティングになると予想される。
 図の右上から右下という進展だ。
 ここで、アーキテクチャーを提起していけるかどうかが、将来を決めることになるであろう。
 研究開発システムの目次へ

(C) 1999-2000 RandDManagement.com