情報家電の研究開発(3)…


 さて、このような状況下、情報家電機器の設計技術で競争力向上の鍵を握る部分はどこだろうか。

 素直に考えれば、システム設計しかあるまい。
 この設計が優れていれば、使用者は「コンピュータ」を使っていると感じないで機器を簡単にコントロールできる。電源を入れれば誰でもが簡単に使える仕組みが作れるし、仕様を向上させるモデルチェンジも簡単になり廉価な製品を実現できる。言うまでもなく製品の魅力とコストはこの設計の巧拙に大きく左右される訳だ。

 システム設計は、製品コンセプトを実仕様に落とし込む作業に他ならない。具体的には、半導体チップに埋め込む設計作業である。例えば、チップの内容は下図のようなものになる。
 CPU、DSP、メモリーというコア部分とデジタル・ロジック、アナログ回路が1つの半導体チップに組み込まれる。周辺機器が組み込まれているOS搭載パソコンが1チップ化したようなものだ。大きく異なるのは、搭載OSがリアルタイム型で軽快に動くこと位だ。

 今までの家電製品は、何個かのチップで成り立っていたが、1つのチップにすべてを統合すれば、当然ながら、圧倒的な低価格が実現できる。この流れに上手く乗れるかどうかで、競争力は大きく左右される時代が始まる。

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