自動車の研究開発(1)…

 自動車産業の規模は極めて大きく、大手1社だけでも、欧州の1国を凌駕する生産額に達する。基幹産業であるから、緻密な産業分析や、製品開発システムのベンチマーク論文も多い。
 現在、特に議論が盛んな理由は、この産業が転換期を迎えたためだ。
 明らかに、先進国市場は成熟した。一方、発展途上国市場がこれを補完するには、まだ相当な時間がかかりそうだ。

 こうした時期に、エネルギーや環境問題への的確な対応が要求されている。
 その上、情報通信技術が急速に発達してきたから、車自体の意味や機能も変わらざるを得ない。

 下図に示すように、上流の設計・製造・エンジニアリング、E-コマースの焦点である流通や補修、インターネットを活用した高度交通システム、川下のリサイクルといった領域まで、様々な分野でIT技術の活用で状況が一変しそうだ。

 逆に言えば、研究開発を梃子にした飛躍のチャンスはあちこちに転がっている。
 将来を見据えた革新的な研究開発や、挑戦的な事業構造改革の動きを避ける企業の行く末は暗いと言わざるを得まい。
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