クラスター型産業の研究開発(1)…


 日本でテック・ベンチャーがなかなか育たない理由は、いわゆる“エンジェル”の不在や大企業の態度だけに起因している訳ではない。実態を考えてみればわかる。

 創業に要する手続き・費用、特許申請・維持費用、といった最低所要コスト、失敗した場合に振りかかってくる個人負担を、カリフォルニア州と比較してみれば、明白だ。日本に魅力などない。
 資金調達以前の問題である。
 グローバルな競争が始まれば、これだけでも劣位といえる。米国でのベンチャー展開が有利な点を下図に示したが、日本でのベンチャー設立には余りにハンディが多すぎる。

 従って、米国でも事業立ち上げが可能な事業なら、テック・ベンチャーを日本で始める理由はない。米国でのベンチャー展開の方が圧倒的に有利だから、グローバルに通用する技術があれば、ベンチャー日本設立にこだわる必要はない。

 米国で入手不可能なサポート体制が日本国内にあるとか、魅力的な顧客が国内に存在するといった例外を除けば、優秀な起業家を日本に引きつけておくのは極めて困難である。ベンチャー・キャピタリストが、日本発米国創立のテック・ベンチャーに注目するのは理解できるが、日本土着にこだわるテック・ベンチャーに関心を払うとは思えない。

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