問題1:技術の「飛び火」…

 日本の研究開発は、一部に非常に優れたアウトプットが産み出されているとはいえ、総体では遅れていると感じない人はいまい。その割には、マネジメントに危機感が薄いのは何故か?

 その理由は3つにまとめられるように思う。

 1. 技術の「飛び火」と「相互依存化」の動きを軽視し続けていること。

 右図に示すように、技術革新を牽引する技術領域は明らかだが、IT系の3つの技術が相互に絡み合いながら進歩すると共に、その他の3つの技術でIT系技術を活用することで大きな発展が生まれている。この構造が技術革新を加速させている。

 例えば、IT系技術がロボットに応用され、ロボットの進歩が逆にIT系産業の飛躍的生産性向上に寄与することになる。インフォマティクスでコンピュータ・通信に使われたり、マイクロエレクトロニクスがDNAチップを生みだす。先端応用が進むことで、IT技術進歩が加速されるという好循環が生まれる。

 日本にもこうした技術の「飛び火」構造は大企業の社内には存在している。しかし、社外や異分野への「飛び火」の仕組みはできていない。広範囲な技術領域で革新の動きが次々と発生すると、とても対応しきれない。

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