→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2021.1.18] ■■■ [17] 言葉遊びに夢中になるなかれ 字義・読み替えによる解釈 類似地名探索 御祭神探索 方位的関連付け 時に、小生も似たことを手抜きで行うから、さらに低レベルで粗雑なエピゴーネンと言えなくもない。換言すれば、無駄な思考とわかっていながら、そんなことに時間を割いているとも言える。それを思うと、正直、めげる。 とはいえ、もともと、太安万侶自体が、現代で言えば言葉遊びとしか言いようもない表現を駆使して記述しているのだ。 日本語の変換期だったから止むを得ないとはいえ、どうもそれを当たり前とする風潮があったと考えるの方が自然な感じがする。元ネタは口承の話ことばだから、解釈は一様な筈もなかろう。それこそ間違った解釈が一世風靡もあっておかしくない。 それを前提として、神のプロフィールを文字から推定しなければならないのだから、当たる確率はかなり低そうで、通説にしてもたいした根拠がある訳ではないから、注意したほうがよい。 そんなことが気になったのは、"天照らす"と"月読み"が対になっている点が妙にひっかかったから。 📖河合中空構造論を信ずるなかれ 月読みには、海大神が珠で引き起こす潮の干満を読んでいる姿のイメージが浮かぶが、太陽が照るという情景からは直接的には、暦や時刻感覚が浮かんでこないからだ。 "日神"といっても、なんでもかんでもとりおこなう万能神ではないから、天照大御神のプロフィールも核心部分に絞り込んだ方がよさそう。 それは、もう一点、気になる点があるからだ。 太安万侶的発想なら、天地初發之時 於高天原の神は、文字的には"日~"である。日=霊と考えるしかなさそうだが、他の霊では日を使わないのだから、その見方が正しいとの根拠は何もない。 成~名❶天之御中主~ 次❷高御產巢日~ 次❸~產巢日~ 【此三柱~者並獨~成坐而隱身也】 そもそも、公的には、國常立尊が❶。上記❶〜❸造化3神を始めとする"別"神は日本の歴史と見るべきでないという立場だ。 そうなると、この部分は、"こちらも日神だからお忘れなきように。"との、太安万侶の注意書きともとれる。 そう読みたくなるのは、「日本書紀」での國常立尊のプロフィールが"狀如葦牙,便化爲神"だから。「古事記」的記載を避けるために折衷的表現で"別"神をまとめてしまったように映るからだ。 ゴタゴタを避け、管理し易くするための"合祀"ということ。 國稚如浮脂 而 久羅下那州多陀用幣流之時 如葦牙因萌騰之物 而成~名❹宇摩志阿斯訶備比古遲~ 次❺天之常立~ お蔭で、全体像がわかった気になってくる。 天照大御~と❶〜❸造化3神が、日本列島の最高神ということで、どれも日神。・・・ 〇天之御中主~は太陽を指す。 宇宙の根源を意味する形而上の神で、姿や形がある訳ではない。名前は不要というか、命名すること自体が不遜。しいて呼ぶなら、一般用語の霊/ヒ以外にない。 道教の最高神と似たコンセプトだが、祈願対象の神ではない。世界が生まれたことを意味する神なのだから。 空海が根本佛と定義した(チベット密教では該当しない。)大日如来/毘盧遮那仏/Vairocana(古代インドの太陽神由来)と習合させたようだが、道理。仏教伝来以前に、宇宙の根本神概念が存在したことになろう。 〇高御產巢日~は大木信仰。 海人が住む地域では大木は汎神。たどり着けた根拠は船だからだ。 大木は、太陽運行測定にもかかわるので、太陽神の依り代とも言える。それは、本貫地の祖霊信仰ともからむ筈だ。 〇~產巢日~ 並びたつ祖神としないというのが、「日本書紀」編纂の方針のように映る。天照大御神と並ぶのは、あくまでも速須佐之男命であるから、記載するのは考えもの、というところだろう。確かに一理ある。 "速須佐之男命 v.s. 天照大御神"の根本には、~產巢日~的太陽信仰勢力との摩擦がありそうだから。 もともと海人の出自とは言っても、海だけで生活できるものではなく、山野の恵みなしには社会が成り立たない。従って、~產巢日~の信仰勢力も稲作を抱えていたのである。ただ、耕作対象地に合わせた作物(五穀)合わせや混淆栽培への深い拘りがあり、低湿地水抜き田での水穂モノカルチャーとは全く志向が異なる。正確に言うなら、稲も含めた雑穀農業ということ。連作すると収量半減だから、場所替え焼き畑が中心とならざるを得ない。職人芸的な工夫が必要でそう簡単な栽培ではない。しかも、夏場の冠水被害回避のためには耕地選定のノウハウが重要となる。この場合、稲に拘るとリスクが高すぎる。従って、神へのお伺い無しには生きていけない状態と言っても過言ではない。 そういう観点での、太陽信仰である。 〇天照大御神 上記とは一線を画す太陽神ということになる。 夏の一時期の強烈な日照で豊作が実現する稲作で成り立つ社会を形成した神と見るのが自然であろう。葦が生える水場が至るところにあり、夏場はほとんど亜熱帯気候という日本列島の環境を考えると、真打の太陽神と見なされるのは当たり前。 天照大御神系経済圏では、灌漑施設を建造し、広い低湿地帯での開拓を進め、一気に高度経済成長を実現したのだろう。山野経済圏の、山間部谷あい稲作とは全く異質の農業と言ってよいだろう。それにともなって、林野での大量伐採が進むから、山野経済圏との軋轢はただならぬものになる。 しかし、それをものともせずなのは、安定して、圧倒的な多収量を実現する品種を持っていたからだろう。それは、初めて、神棚を設置し、稲を供えるほど、素晴らしい成果を生んだのである。 ・・・そんなシナリオが描かれているのではなかろうか、と。 その辺りを探るため、それなりに説がありそうな神名解釈を並べてみた。・・・ "国生み" 讚岐國 飯依比古=四国讃岐国 粟國 大宜都比賣=四国阿波国 大倭豐秋津嶋/天御虛空豐秋津根別=本州 "神生み" 大宜都比賣~[此~名以音] <尿>和久産巣日~─[子]豐宇氣毘賣~ "速須佐之男命 v.s. 天照大御神" 於勝佐備[此二字以音] 離天照大御~之營田之阿[此阿字以音] 埋其溝 亦 其於聞看大嘗之殿 屎麻理[此二字以音]散 "速須佐之男命追放" 又食物乞大氣津比賣~ 爾大氣都比賣自鼻口及尻種種味物取出而 種種作具而進時 速須佐之男命立伺其態爲穢汚而奉進 乃殺其大宜津比賣~ 故所殺~於身生物者 於頭生 蠶 於二目 生稻種 於二耳 生粟 於鼻生 小豆 於陰生 麥 於尻生 大豆 故是 ~產巢日御祖命 令取茲成種 ここ迄で、太安万侶の歴史観の切れ味の凄さが歴然。 大宜都比賣が3回登場しているからだ。 同じ神とも言えるし、違う神とも言える。・・・ 一番古くは、食糧栽培はもっぱら粟。優良品種と栽培ノウハウの集積地はもちろん阿波国。そのうち、他の雑穀栽培も行うように。吉備国の黍のように。 ここら迄の信仰は流石にトレースできそうにないが、どこかに残っていそうだ。 それが、豆と穀類の並行栽培や、稲と麦の二期作にまで発展したのである。それでも、農耕パターンは現代とはかなりはなれているのは間違いない。しかし、この農業については、全国的に残渣だらけ。破壊された土偶の女神が出土するからだ。耕作地前で大氣津比賣~像がばら撒かれる祭祀が行われていたのは明らか。すでに堆肥農業が行われていた可能性もあろう。 〇速須佐之男命 │┼〇足名椎神[命名→稲田宮主須賀之八耳神] │┼└┬△手名椎 └┬─△櫛名田比売=奇し稲田の姫 ┼〇八嶋士奴美神─【大国主の系譜】 │ └┬─△神大市比売 ┼├┐ ┼〇大年神=大いなる豊食の農暦神 ┼│〇宇迦之御魂神=稲魂神 ┼│┼┼稲魂和名宇介乃美太万俗云宇加乃美太万 [「和名抄」巻二] ┼│ ┼└┬△伊怒比賣(~活須毘~之女) ┼┼□5神(大國御魂~・韓~・曾富理~・白日~・聖~) ┼│ ┼└┬△香用比賣[此~名以音] ┼┼□2神(大香山戸臣~・御年~[=御豊食の農暦神]) ┼│ ┼└┬△天知迦流美豆比売[訓天如天亦自知下六字以音] ┼┼□9神(奥津日子神・奥津比売命・大山咋神・庭津日神・阿須波神[此~名以音]・波比岐神[此~名以音]・香山戸臣神・羽山戸神・庭高津日神・大土神/土之御祖~) ┼┼↓ 〇大山咋神=大いなる棒杙[山との境界]の神 〇羽山戸神=端山戸(谷あいの小山田地区)の神 └┬△大気都比売神=大いなる食物の女神 ┼□8神<耕作から収穫までの一年の農耕の模様を意味する神々> 若山咋神=若き棒杙[山との境界]の神 若年神=若き豊食の農暦神 [妹]若沙那売神=若い早乙女[苗植女]の神 弥豆麻岐神=水撒き[灌漑]神 夏高津日神=夏、高く照る日の神 夏之売神=夏、草取りをする乙女の神 秋毘売神=秋の収穫の女神 久々年神=木々に懸けた茎稲の豊食の神 久々紀若室葛根神=木造の新嘗祭用新室に茎稲掛け木を葛綱で収容する神 (<木~>久久能智~では、久久=木々である。) "三貴神" 御倉板擧之~=穀倉の棚の神 此時伊邪那伎命 詔吾者生生子 而於生終得三貴子 卽其御頸珠之玉歯齬R良邇[此四字以音下效此]取由良迦志 而 賜天照大御~ 而 詔之 汝命者 所知高天原矣 事依 而賜也 故 其御頸珠名謂 御倉板擧之~[訓板擧云多那] △天照大御神…高天原統治者 命《葦原之千秋長五百秋之水穂国》 │ //"誓約" ├┬〇〇〇3神 │〇天之菩卑能命@右の御鬟の玉=穂霊⇒出雲派遣 │┼┼爾思金~及八百萬~ 議白之天菩比~是可遣 │┼┼故遣天菩比~者 乃媚附大國主~ 至于三年不復奏 〇正勝吾勝勝速日天忍穗耳命@左の御鬟の玉=威力ある稲穂の大神霊 └┬△万幡豊秋津師比売 ┼├┐ ┼〇天火明命=穂赤熟@本居宣長:「古事記伝」 ┼┼〇天邇岐志国邇岐志 ┼┼│ 天津日高日子番能邇邇芸命=穂之丹饒 ┼┼│…【降臨先導】猿田毘古=サ[神稲]田の彦 ┼┼└┬△神阿多都比売/木花之佐久夜毘売 ┼┼┼├┬┐ ┼┼┼〇火照命=穂照(あかく色付いて実る。) ┼┼┼┼〇火須勢理命[須勢理三字以音]=穂須勢(勢いよく実る。) ┼┼┼┼┼〇火遠理命/天津日高日子穗々手見命=穂折(撓わに実る。) ┼┼┼┼┼└┬△豊玉姫 ┼┼┼┼┼┼〇天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命 ┼┼┼┼┼┼└┬△玉依毘売 ┼┼┼┼┼┼┼├┬┬┐ ┼┼┼┼┼┼┼〇五瀬命=厳稲の命 ┼┼┼┼┼┼┼┼〇稲氷命=稲霊の命 ┼┼┼┼┼┼┼┼┼〇御毛沼命=御食主 ┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼〇若御毛沼命/神倭伊波礼毘古 "天降" 此之鏡者專爲我御魂而 如拜吾前伊都岐奉 次思金~者取持前事爲政 此二柱~者 拜祭 佐久久斯侶伊須受能宮[自佐至能以音] 次 登由宇氣~ 此者坐外宮之度相~者也 …豊宇気毘売神/登由宇気神=稲女神(伊勢外宮豊受神宮御祭神) "火遠理命@綿津見大神" 其兄作高田者汝命營下田 其兄作下田者汝命營高田 (C) 2021 RandDManagement.com →HOME |