→INDEX

■■■ 「古事記」解釈 [2021.10.5] ■■■
[277] 但馬国話には力が入っている
天之日矛の系譜に連なる多遅摩の系譜📖を殊更示す必要がどこにあるのかわからぬが、タジマモリは超有名であることもあり、多遅麻/但遅麻@但馬/兵庫北部を見ておくことにした。

④大倭日子鉏友命/懿徳天皇@橿原の軽之境岡宮
└┬△賦登麻和訶比売命/飯日比売命(師木県主の先祖)
├┐
⑤御真津日子訶恵志泥命/
┼┼○多芸志比古命(祖:血沼別, 多遅麻竹別, 葦井稲寸)
     …美含郡竹野邑@豊岡
但馬の竹野は丹波側と続いていた可能性もあろう。
・・・⑨若倭根子日子大毘毘命/開化天皇と(旦波大県主 由碁理の娘 竹野比売の婚姻が行われていると共に、葛城垂見宿祢の娘 鸇比売との間の皇子 建豊波豆羅和気王の祖に丹波側の竹野別の記載があるからだ。(祖:道守臣, 忍海部造, 御名部造, 稲羽忍海部, 丹波之竹野別, 依網阿毘古, 等)


⑪伊久米伊理毘古伊佐知命/垂仁天皇皇子の品牟都和気命/本牟智和気御子譚の鵠ルートは、木/紀伊⇒針間/播磨⇒稲羽/因幡⇒旦波/丹波⇒多遅麻/但馬⇒近淡海/近江⇒三野/美濃⇒尾張⇒科野/信濃⇒高志/越であるが、特段の記載はない。瀬戸海(紀伊〜大阪湾〜播磨の海運)側から山越えの播磨〜因幡道が使われていたことがわかる。日本海側は因幡〜丹波だから海路か。丹波〜但馬は陸路で、さらに、但馬〜丹波〜近江〜美濃〜尾張が繋がっていそう。大和地区にハブ的役割はなかったことになる。
さらに、この天皇代で唐突に多遲摩毛理が常世國に派遣される。後代の記述で、登岐士玖能迦玖能木實(今の橘)の一節が記載されるだけである。
息長帯比売命/神功皇后の祖父に当たることが後にわかる訳だが。

⑮品陀和気命/大鞆和気命/応神天皇
  此之御世・・・新羅人參渡來・・・
  ・・・亦百濟國主照古王 以牡馬壹疋牝馬壹疋付阿知吉師以貢上


  又昔 有新羅國主之子 名謂 天之日矛 是人參渡來也
    其女人言:
    「凡吾者非應爲汝妻之女 將行吾祖之國」
    卽竊乘小船 逃遁渡來留于難波
    <此者坐難波之比賣碁曾社謂阿加流比賣~者也>
    於是天之日矛聞 其妻遁
    乃追渡來將到難波之間 其渡之~塞以不入

      ⛩比売許曽神社@大阪東成東小橋(御祭神:下照比売命)
      ⛩赤留比売命神社(杭全神社の摂社)@大阪市平野区平野東

この代に天之日矛が渡来しており、その時の持物8種が祀られているとの記載も。
    此者 伊豆志之八前大~也
      ⛩御出石神社@豊岡出石宮内(御祭神:出石八前大神[+天日槍命])
「播磨國風土記」には天日槍命が9箇所記載されている。基本は葦原志舉乎命との占居争い。追い出されるのが基本形だが、そのうち、宍禾郡御方里では呪術で決めることになった。天日槍命は但馬伊都志地@出石。

天之日矛が赤石を頂戴する訳だが、その経緯が今一歩不可思議な内容となっている。ヤクザ的言いがかりで持ち物(赤玉)を召し上げただけであり、農耕民は賤と見なすとようだが、賤民を脅すにしても直接話すというセセンスも理解し難いところだ。
いかにも儒教国らしさ紛々の、赤玉で刑を逃れることができることが記載されている話になっており、半島の生活上のルールや社会観念が日本国とは根本的に異なることが示されているということだろうか。

それにしても、系譜が意味なく細かい理由がよくわからない。新羅征圧を敢行した息長帯比売命/神功皇后の祖を示すためにしては、余りにしつこ過ぎる。(どうにもならない半島の支配層の地質もも、日本国で何代も続くと、その特徴は消えるということを示したかったのだろうか。)

さらに、理解を越えるのは、新羅の沼で感精誕生の赤玉が、新羅王子の妃となって発する、吾が祖国に行くといる言葉。そして、小舟で難波へと逃亡。

太陽神から生まれると、倭国が祖になるというのも考えにくいが、どうしようもない社会から逃れるには倭国行しかないということだろうか。

・・・常識的に考えれば、ここらが太安万侶観がはっきり示されているところと言えよう。
基本的に半島の位置付けは、中華帝国相手のバッファー。
当たり前である。半島は南西端以外は、農業的にほとんど魅力無しの地であり、国家発祥そのものが中華帝国属国なのだから。例外は鉄鉱石/インゴット調達だけ。
百済・新羅の王朝に対しての姿勢は、基本的には冷淡そのものであるのは間違いない。ただ、早くから支配層の亡命者は少なくなかった筈である。敵対宗属とされてしまったら、子々孫々までその烙印は消えないのだから、逃亡か死滅のどちらかを選ぶしかない訳で。
天之日矛が難波上陸できなかったのは、そこらを考慮すれば、ある意味当然であろう。高等難民保護は朝廷の基本姿勢だったということになろう。

話としては、呪物が祀られている伊豆志之八前大~にも広がる。この神の娘の婚姻譚だが、天之日矛とは一切関係ないようだし、半島伝承譚の雰囲気も感じさせない。どうしてそのような社に祀られているのか不思議な感じがする。

新羅国主
└┬△
天之日矛
└┬△阿加流比売神…阿具沼[奴摩]@新羅で女子が光で孕んだ赤玉の精
┼┼┼
┼┼┼@難波 比売碁曽社
↓│
@但馬国

│○多遅摩之俣尾
│└┬△
└┬△前津見
┼┼多遅摩母呂須玖
┼┼└┬△
┼┼┼多遅摩斐泥
┼┼┼└┬△
┼┼┼┼多遅摩比那良岐
┼┼┼┼└┬△
┼┼┼┼┼├┬┐
┼┼┼┼┼多遅麻毛理 
┼┼┼┼┼┼多遅摩比多訶
┼┼┼┼┼┼│○清日子
┼┼┼┼┼┼│└┬△当摩之灯
┼┼┼┼┼┼├┐
┼┼┼┼┼┼○酢鹿之諸男
┼┼┼┼┼┼┼┼△菅竈由良度美
┼┼┼┼┼┼└┬─┘
┌──────┘
△葛城高額比売

│⑨若倭根子日子大毘毘命/開化天皇
│└┬△意祁都比売命(丸邇臣先祖 日子国意祁都命の妹)
○日子坐王
└┬△袁祁都比売命(近江御上祝が斎する天之御影神の息女[妹])
┼┼├┬┐
┼┼山代 大筒木真若王
┼┼│○比古意須王
┼┼○伊理泥王
┼┼
┼┼└┬△丹波能阿治佐波毘売(同腹弟 伊理泥王の息女)
┼┼┼○迦邇米雷王
┼┼┼└┬△高材比売(丹波 遠津臣の息女)
┼┼┼┼○息長宿祢王
┼┼┼┼└┬△河俣稻依毘賣
┼┼┼┼│○大多牟坂王(祖:多遲摩國造)
└┬───┘
├┬┐
息長帯比売命/神功皇后 
┼┼△虚空津比売命
┼┼○息長日子王(祖:吉備品遅君,>針間阿宗君)

 (C) 2021 RandDManagement.com  →HOME