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■■■ 「古事記」解釈 [2021.10.4] ■■■
[276] 中巻のまとめは15代+母大后譚
中巻後半の系譜を眺めてみたが📖下巻冒頭が16代になる理由、14代皇后の息長帯比売命の系譜をカットしていたので、その部分の追加。

この皇后は、特別扱いされているが、収載話としては、空位時代、即位に向けて話が流れていく著述になっている。建内宿禰・皇后・皇子一体型の皇位継承闘争譚と言ってよいだろう。・・・
天皇熊曾国成敗決意⇒遷宮@筑紫域
 皇后神懸かり⇒崩御⇒神託判明(天照大御神+住吉三神)
  殯・儀礼(空位≒皇后治世)⇒新羅平定(皇子胎内)
   皇子誕生@宇佐⇒偽装帰還@喪船⇒異母兄(忍熊王)討伐⇒
    皇子禊@角鹿⇒名易(伊奢沙和気大神)@都奴賀
     皇子即位(殯+埋葬儀式)

大后 v.s. 妃 大中津比売命であるが、下記に示すように、後者が本流に映る。ただ、その系譜は胡散臭いものですゾというのが太安万侶の評価のようだが。
ただ、系譜から察するに、大后は各地の海の勢力を組織化し終えていそうで、倭建命以来、中央下達的に地方を制する統治では上手くいかなくなっている状況下では、軍事的にも中央勢力は、海外派兵を担った勢力に対抗できる力は無くなっていたと考えるのが自然だろう。
 朝鮮半島(新羅)
 山代-丹波-但馬
 琵琶湖西北岸(息長)〜敦賀
 播磨-吉備(瀬戸海)
 筑紫(住吉三神+帯中津日子天皇の宮)

大后は、中央の皇族と違って、インターナショナルなセンスの持ち主だったと言えるのかも。国内制覇での糊代が僅かになっており、中央とのパイの取り合いになりかねず、上記の交易拠点を持つ勢力もそのことに気付いていたろうから、ここでの皇位継承は自然な流れと言ってもよさそうである。

その様に思いついたという訳ではなく、太安万侶の編纂がそのように感じさせるように仕向けているということでもある。
中巻の天皇系譜を俯瞰的に眺めれば、そんな時代的変遷を感じさせるようになっているからだ。
 ・・・⇒⑥"倭"帯日子命⇒
     ⑦⑧⑨"倭"根子日子命⇒
 ⑩⑪入日子命
 ⇒⑫大帯日子(和気)命⇒⑬若帯日子命⇒⑭中帯日子命
 ⇒⑮和気命
 ---下巻---
 ⇒⑯大雀命⇒⑰和気命⇒⑱別命

参考:《時代区分》
【前期】中巻
 📖葛城〜金剛〜巨勢時代 [📖1〜9代]
 山の辺の道三輪山〜巻向山〜柳本時代 [📖10〜12代]
  📖(盆地内)
  📖(瀬戸海)
  📖(東国)
 📖筑紫本営時代 [📖13〜15代]
【後期】下巻
 📖摂津〜河内〜和泉時代 [📖16〜19代]
 📖初瀬川時代 [📖20〜25代]
 📖桜井時代[📖26〜32代]

大和地区"倭"の王権・神権の確立から、広域神権統合へと進み(入日)、王権の完全支配実現に突っ走った(帯)とのイメージを与える記載名称になっている。
特に12代は、東西の独立性が強い地域の支配に乗り出し、それによって、皇族を王として全域に散らばせせることができた。それこそ、支配地を分け与える厖大な数の"別"名の王が生まれておかしくないのである。"帯"かつ"別"を徹底的に推進したのが12代。
しかし、その太子が成功裏に支配した東国では、分け与えられた国土単位が急激に縮小しており、パイが欠乏してきたことが伺える。"別"は成り立たなくなったように思えるが、交易圏の拡大と、活発化でパイ拡大の方向に進めたのが15代ということになろう。"別"は"和氣"となったのであろう。

《根子日子》
 ⑦大倭根子日子賦斗邇命/孝霊天皇
 ⑧大倭
根子日子国玖琉命/孝元天皇
 ⑨若倭
根子日子大毘毘命/開化天皇
《入日子/入日売》
 ⑩御真木入日子印恵命/崇神天皇
  豊木
入日子(祖:上毛野君, 下毛野君)
  豊鉏
入日売(伊勢大神宮を拝祭)
  八坂之
入日子
  沼名木之
入日売
  十市之
入日売
 ⑪伊玖米
入日子伊沙知命/垂仁天皇
  印色之
入日子
  若木
入日子
 ⑫
  八坂之
入日売(八尺入日子命の娘)
  五百木之
入日子
  五百木之
入日賣
  若木之
入日子
 ⑮
  高木之
入日売(品陀真若王の娘)
《帯日子/帯比売》
 ⑤
  天押
帯日子(祖:春日臣, 大宅臣, 粟田臣, 小野臣, 柿本臣、壹比韋臣, 大坂臣, 阿那臣, 多紀臣, 羽栗臣, 知多臣,牟邪臣, 都怒山臣, 伊勢 飯高君, 壹師君, 近淡海国造)
 ⑥大倭
帯日子国押人命/孝安天皇
 ⑪
  沼
別命
  伊賀
帯日子
  五十日
帯日子(祖:春日山君, 高志池君, 春日部君)
 ⑫大
帯日子淤斯呂和気命/景行天皇
 ⑬若
帯日子/成務天皇
 ⑭
中津日子天皇/仲哀天皇
  息長
帯比売/神功皇后
 ㉑
  若
比売命
《和氣》("別"とは異なる表記として。)
 ⑫大帯日子淤斯呂
和気/景行天皇
 ⑮大鞆
和気/品陀和気命/応神天皇
 ⑰大江之伊邪本
和気/履中天皇
 ⑲蝮之水歯
/反正天皇

----------------------------------
⑨若倭根子日子大毘毘命/開化天皇
└┬△意祁都比売命(丸邇臣先祖 日子国意祁都命の妹)
┼┼○日子坐王
┼┼└┬△袁祁都比売命(近江御上祝が斎する天之御影神の息女[妹])
┼┼┼├┬┐
┼┼┼山代 大筒木真若王
┼┼┼│○比古意須王
┼┼┼○伊理泥王
┼┼┼
┼┼┼
┼┼┼新羅国主
┼┼┼└┬△┼┼多遅摩之俣尾
┼┼┼┼┼┼┼┼└┬△
┼┼┼┼┼天之日矛│
┼┼┼┼┼└┬───△前津見
┼┼┼┼┼┼多遅摩母呂須玖
┼┼┼┼┼┼└┬△
┼┼┼┼┼┼┼多遅摩斐泥
┼┼┼┼┼┼┼└┬△
┼┼┼┼┼┼┼┼多遅摩比那良岐
┼┼┼┼┼┼┼┼└┬△
┼┼┼┼┼┼┼┼┼├┬┐
┼┼┼┼┼┼┼┼┼多遅麻毛理
┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼多遅摩比多訶
┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼│○清日子
┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼│└┬△当摩之灯
┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼├┐
┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼○酢鹿之諸男
┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼△菅竈由良度美
┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼└┬─┘
┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼
┼┼┼└┬△丹波能阿治佐波毘売(同腹弟 伊理泥王の息女)
┼┼┼┼○迦邇米雷王┼┼
┼┼┼┼└┬△高材比売(丹波 遠津臣の息女)
┼┼┼┼┼息長宿祢王
┼┼┼┼┼└┬─────△葛城高額比売
┼┼┼┼┼┼├┬┐
┼┼┼┼┼┼息長帯比売命/神功皇后
┼┼┼┼┼┼│△虚空津比売命
┼┼┼┼┼┼息長日子王(祖:吉備品遅君,針間阿宗君)
┼┼┼┼⑭帯中津日子天皇/仲哀天皇
┼┼┼┼└┬┘
┼┼┼┼│├┐
┼┼┼┼│○品夜和氣命
┼┼┼┼大鞆和気命/品陀和気命/応神天皇
┼┼┼┼
┼┼┼┼┼┼┼┼[倭建命曽孫]須売伊呂大中日子王娘
┼┼┼┼│⑫┬△訶具漏比売
┼┼┼┼○大枝王/大江王
┼┼┼┼└┬△(庶妹)銀王
┼┼┼┼┼┼├┐
┼┼┼┼┼┼○大名方王
┼┼┼┼└┬──△大中津比売命
┼┼┼┼┼├┐
┼┼┼┼┼香坂王
┼┼┼┼┼┼忍熊王

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