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■■■ 「古事記」解釈 [2021.11.29] ■■■
[332]オノマトペは倭の体制故の産物
枕詞についての素人の私見を書いたので、もう一つ追加しておこう。

オノマトペ(擬音語+擬態語)である。

辞典には4,500収録されているようだ。どのような方針で収集しているのか、対象の時代がどこまで含まれているのか、調べていないので、なんとも言えないが、極めて多数に上っているのは確かだろう。現代のような、アニメ人気が沸騰していれば、当然のような気もする。
📖日本語の一大特徴はオノマトペ

そのような感覚からすると、意外にも、「古事記」所収の語彙は少ない、というのが正直な印象である。

オノマトペの発祥は、鳥獣万物の声的なものだろうが、雑種的状況である上に、神権・王権の絶対性を欠いていれば、どうしてもそのような表現が多用されるということでもあろう。
オノマトペで派生語を増やし、別個な表現の単語を増やさないように気をつかっていたと言うこともできよう。換言すれば、帝国化に進めなかったので、標準化が不可欠な文字表記化は無理だし、単語そのものも伝達上、擬音や擬態を多用したということになろう。
当然ながら、擬音や擬態の表現であることが聞き手にわかるように畳語が多用されることになりし、そのような表現が歌謡のリフレインにも適合するから好まれること間違い無しであろう。

どこまでをオノマトペとするかは、素人には判断が難しいが、以下の語彙が該当すると見た。

㊤[淤能碁呂島]
鹽 ❶"許袁呂許袁呂"<此七字以音>
…塩水が、掻き回されて次第に凝り固まってゆく様子

即其御頸珠之玉緒 "母由良"<此四字以音>
取由良迦志而
…玉が揺れ動き、触れ合って鳴る様子≒玲瓏

鼠來云:
「内者 "富良富良"<此四字以音>
…広々とした様子
 外者 "須夫須夫"<此四字以音>
…窄まって狭い様子

口大之尾翼鱸
❶"佐和佐和"<此五字以音>控依騰 而
…騒がしい音のする様子≒騒騒(現代語では"ザワザワ"だろう。)
打竹之 "登遠遠登遠遠"<此七字以音>
…撓る or 撓う様子
獻天之眞魚咋也

沈溺海鹽
故其沈居底之時名
 謂「底度久御魂」<度久二字以音>
其海水之"都夫多都"時名
…"粒立つ"で非オノマトペか。
 謂「都夫多都御魂」<自都下四字以音>
…続いて同様に「阿和佐久御魂」だが、"泡割く"と思われる。
㊥[15]
於是天皇 任令取其大御酒盞 而 御歌曰:・・・
佐佐那美遲袁 "須久須久登" 和賀伊麻勢婆夜
㊥[15]
又 吉野之國主等 瞻大雀命之所佩御刀 歌曰:・・・
加良賀志多紀能 ❶"佐夜佐夜"
…葉 or 枝が互いに擦れて音がしている様子。冬枯れ樹木のヒコバエだろう。
㊥[15]
於是伏隱河邊之兵 彼廂此廂 一時共興 矢刺而流
故 到"訶和羅"之前 而 沈入<訶和羅三以以音>
故 以鉤探其沈處者繋其衣中甲而訶和羅鳴 故號其地謂訶和羅前也
…地名(前出:伽和羅)で、河原だろうが、由来譚であるから、その様子を指すのだろう。
㊦[16]
爾 天皇 御立其大后所坐殿戸 歌曰:・・・
宇知斯意富泥 ❷"佐和佐和"
㊦[16]
作琴 其音響七里 爾 歌曰:・・・
那豆能紀能 ❷"佐夜佐夜"
㊦[19]
歌曰:・・・
佐佐波 爾 宇都夜阿良禮能 "多志陀志"
…霰の降る様子。笹葉に霰が当たるのである。
㊦[21][天語歌:三重の采女]
美那❷"許袁呂許袁呂"

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