→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2021.12.2] ■■■ [335]中巻10代天皇段唯一の所収歌検討 《中巻》 ---①神倭伊波礼毘古命@畝火之白檮原宮/神武天皇 [_10〜20] 📖中巻初代天皇段所収歌13首検討 [_21]【伊須氣余理比賣】御子に危機迫る [_22] └【伊須氣余理比賣】御子に危機を知らせる 狭井川由雲立ち渡り 畝傍山 木の葉騒ぎぬ 風吹かむとす ↓ 畝傍山 昼は雲と居 夕去れば 風吹かむとぞ 木の葉騒げる ---②〜⑨…歌無収載 ---⑩御真木入日子印恵命@師木水垣宮/崇神天皇…1首 [_23]【少女】謀反の陰謀あり、と告知 大毘古命罷往於高志國之時 服腰裳少女 立 山代之幣羅坂 而 歌曰: 御真木入日子はや 御真木入日子はや 己が命を 窃み死せむと 後つ戸よ い行き違ひ 前つ戸よ い行き違ひ 窺かはく 知らにと 御真木入日子はや ---⑪伊久米伊理毘古伊佐知命@/垂仁天皇…歌無収載 この歌だが、誰が聞いても、意味は自明では。 天皇謀反の企てが続いているにもかかわらず、行き違いで命を取られずにいるのに、それを知らずにいるようだ、という以外に考えようがないと思うからだ。 しかるに、大毘古命は歌の意味を尋ねに少女に会いに行く。当たり前だが、謀反の動きがあります、と言できる訳もないからこそ、歌を詠んだと考えるのがフツーではなかろうか。 もちろん歌には、謀反人を同定するヒントは含まれていない。にもかかわらず、報告を受けた天皇は即座に、在山代國の庶兄 建波邇安王を指すと断言。 この様な場合、天皇への敬称を欠くこともあり、少女が神の言葉を伝えたと考えるのが無難な解釈と言えよう。それで、一件落着でもよいが、正直なところ納得できかねる点がある。 神が、御真木入日子-"はや"と語るとは思えないからである。 "あ〜あ、御真木入日子のあろうことが!"といった感情あっての句だとすれば、これが神語とは思えないからだ。しかも、それを3回も口に出すというのは尋常ではなかろう。なにか特殊な背景を感じさせるところがある。(古語の「はや」は、文末の名詞に付く、係助詞の「は」+「や」連語とされている。感動・詠嘆を表す。) この名前の3句を外すと、五六繰り返しが印象的な短めな長歌である。短歌の五七五七七リズム感とはかなり異なっている。 [_23] みまきいりひこはや…7+2=9 みまきいりひこはや…7+2=9 おのがをを____…5┐ ぬすみしせむと__…7┘ しりつとよ____…5┐ いゆきたがひ___…6┘ まへつとよ____…5┐ いゆきたがひ___…6┘ うかかはく____…5 しらにと_____…_+4=9 みまきいりひこはや…7+2=9 ところが、伊須氣余理比賣の2首は、完璧な五七五七七の短歌形式である。・・・ [_21] さゐかはよ____…5 くもたちわたり__…7 うねびやま____…5 このはさやぎぬ__…7 かぜふかむとす__…7 [_22] うねびやま____…5 ひるはくもとゐ__…7 ゆふされば____…5 かぜふかむとぞ__…7 このはさやげる__…7 その直前の、初代天皇の歌も短歌形式。 [_20] あしはらの____…5 しげしきをやに__…7 すがたたみ____…5 いやさやしきて__…7 わがふたりねし__…7 (C) 2021 RandDManagement.com →HOME |