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■■■ 「古事記」解釈 [2022.1.9] ■■■
[373]周防灘⇒大阪湾の進出航路考
神武東征との概念は拙いという話をした。
このように読む訳だ。・・・
〇神武譚ではなく、五瀬命譚である。
〇神武譚とは吉野・熊野から。
 それ以前の若御毛沼命譚は収載されていない。
 両者は明確に峻別されている。
〇兄3柱は別々に本貫地から出立し死亡した。
〇長兄が末子を伴ったとは記載されていない。
〇長兄 五瀬命の葬儀を末子が紀の川河口で行った。
この時点以前、
〇末子の戦乱参加譚は収録されていない。
 (末子は兄達が切り拓いたルートを"進行"したのでは。)
葬儀後、
〇"神倭伊波礼毘古命"軍が進撃を開始した。

実際のところ、南九州から、どのようにしてなら盆地に入ったのか考えてみた。
地図的には、黒潮に乗って太平洋航路が最短であるが、当時の船では危険すぎるということで避けたのだと思う。黒潮航路は、特別な技量の海人とそのための船が必要であり、大勢の移動だと初めから考慮の対象ではなかったのだろう。
「古事記」はこの航路については、南島⇔南九州以外は触れないことをモットーにしていることもあろう。火山については、伊豆諸島・富士山・南九州カルデラ群の話を一切記載していないから、書くことに。一種のタブー観があるのかも。(小生は、天孫4兄弟神出立原因を火山大爆発とみているが、そう考える一因はココにある。)
このように考えるので、神倭伊波礼毘古命が熊野灘から入山したとは思っていない。
そもそも、日に向かって進撃しないという方針なら東側から奈良盆地を目指すべきだろう。熊野灘からでは北向であり、西から入らないというに過ぎない。常識的に考えて、当時の船の大船団が志摩半島を周って伊勢到達などほぼ有り得ない。熊野灘航行自体が冒険的であり、極めて非常識な行動であると言わざるを得ない。

そう思うのは、天候が良くても、現代のスタビライザー付きの大型船でもこの辺りの航行は、慎重に潮流を選んでもかなりの揺れが発生するからである。

南九州からの大移動となれば、瀬戸海航路しかないと言ってよかろう。目指す先は初めから大和と決まっていたようで、難波からの進入が難しいなら紀の川遡行が次の手となるのは当然の決断と言って間違いなかろう。

さて、瀬戸海航路の方だが、海から自分の目で何度か確認し、現代の島々の状況を当て嵌めると、「古事記」記載の東遷ルートが見えて来る。

各地の関係していそうな神社は、国史に合わせて創始された可能性を感じさせるものが多いが、なんらかの伝承地であったので比定地としたのだろうから、このルートの視点から眺めてみることにした。
浪穂跳んで常世國への御毛沼命=三毛入沼命や玉依姫命が御祭神の神社もあり、わざわざ勧請する必然性もなさそうだから、皇孫一族がそれぞれ移動していたということを意味しているような気になってくる。おそらく、この地には適合せず帰還したのだろうが。

宮地では、結構の年月を費やしており、船団を整えながらの移動ということのようにも思えるし、四国側航路(九州から直接もあり得るし)の別部隊との連合体制構築もあり得そうだ。

ともあれ、地勢的には、4ステップで大阪湾上陸ということになろう。・・・

●⇒周南徳山湾
  ⇒(thru周防灘)
   ⇒矢代島
    ⇒宮島
     ⇒(thru広島湾太田川デルタ)
      ⇒江田島(⇔宮)
       ⇒(thru呉沖)
        ⇒下蒲刈島
         ⇒大崎下島(⇔二神島⇔伊予松山)

【周防國熊毛郡】
熊毛神社@熊毛呼坂勝間[御祭神:三毛入沼命 玉依姫命]…本隊とは別帰還か?
【安藝国安藝郡】
多家神社@安芸府中宮[御祭神:神武天皇+[配:神功皇后 大己貴命]]…多祁理宮📖
<広島>
賀茂神社…福山加茂芦原
<山口>
賀茂神社…柳井
鴨神社…山陽小野田厚狭

●⇒生口島
  ⇒因島
   ⇒(thru松永湾芦田川デルタ)尾道
    ⇒福山
     ⇒笠岡(高島 神島)
      ⇒倉敷
       ⇒児島
        ⇒岡山

【備前国邑久郡】
綱掛石神社@岡山東片岡…神武東遷の船のともづなを掛けた。
安仁神社@岡山西大寺一宮[御祭神:安仁神=五瀬命+[配:稻氷命 御毛沼命]
<備中小田>
神嶋神社@笠岡神島外浦南水沖[御祭神:神日本磐余彦命+世姫命](726年創建)
<岡山>
加茂神社…岡山北高松 玉野 総社 津山 真庭 蒜山 久米久米南
鴨神社…玉野長尾 赤磐仁堀西 浅口鴨方 加賀 吉備中央 上加茂

●⇒(thru小豆島)
  ⇒(thru播磨灘)家島
   ⇒(thru明石海峡)

【播磨國揖保郡】
室津賀茂神社@たつの御津室津[家島対岸]…風を防ぐ津(東征先導者開港) 行基5泊の1つ(河尻@尼崎 大輪田@兵庫 魚住@明石 韓@的形)
家島神社@家島宮天神鼻…神倭磐彦命 宮港寄港時の地名
【美作国英多郡】
天石門別神社@英田滝宮…天手力男神作州瀧宮

●⇒(thru大阪湾デルタ)
  ⇒上町台地北端
   ⇒(thru河内湖)
    ⇒【上陸】"日下"白肩津


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