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■■■ 「古事記」解釈 [2022.2.5] ■■■
[400]滅茶苦茶系譜の意味
❔😵さて、そろそろ、余りにもの凄い矛盾があって、解釈しようにも、ほとんどお手上げ状態の箇所を取り上げてみよう。

ご想像が付くと思うが、倭健命譚で終始している、天皇事績皆無の⓬大帯日子淤斯呂和気命/景行天皇段の記載である。

そもそも、天皇が皇嗣を指定することは珍しいことではないが、この段で太子が3名存在している。ザッと目を通せば、何故に、およそ有り得ない話を平然と記載したのか考えさせられることになる。📖3立太子はあり得ぬ話

しかし、なんといっても圧巻は皇統譜の大帯日子淤斯呂和気命/景行天皇が娶った訶具漏比売の割註記載。"倭建命の曽孫 須売伊呂大中日子王の娘"というのだから、世代が全く異なっていて有り得ない婚姻関係なのは一目瞭然。
にもかかわらず、婚姻に当たって割註をわざわざ挿入している上、倭健命系譜でもしっかりと血脈を記載しているという念の入れよう。これによって、一体、何を伝えようとしているのか、さっぱりわからぬというのが実情である。(もちろん、「古事記」とは適当にアセンブルしただけの作品と見なせば一件落着だが、それでは研究対象にする価値無しとなるから、何の証拠も無いが、ココのみは誤伝をママ収載してあると、するしかなかろう。倭健命は、風土記類に登場してくるし、天皇の称号さえつけられており、全土に渡ってその名前が伝承されているのは明らかだから、複数の倭健命が存在するといった鵺的な解釈をすることが多いようだ。さらに、皇子名称の亦の名と記述している訳ではないから、系譜を無理に繋げたことを示すと見なす説もあるが、この名前は討伐された部外者が付けたのであり、朝廷側がそれを承認する道理が無いから検討の意味はなかろう。ただ、自身が即位していないにもかかわらず、御子が天皇に即位することになるのであるから、その根拠は<東西平定>以外に在り得そうになく、倭建命という名称を使わない訳にはいかないというに過ぎまい。)

しかしながら、小生には、太安万侶は記載の倭健の系譜通りであると見なしているように思えてくる。天皇が倍歴の137歳崩御で、皇子誕生がティーンズ時なら、40年間あるから、皇子の曾孫を妃とすることは可能である、と。
どうしてそのような婚姻が必要になったかろ言えば、天皇即位はあくまでも中央政権内で決まることだが、全国的にみれば東部は倭健命の支配下にあり、天皇は実権を失っていたからだろう。女系の血脈を引き寄せておく必要があったことになろう。

そのような角逐を、系譜から読み取るべしということでの割註ではなかろうか。
⓬天皇は皇后の地元<[妹]沙佐波遅比売命+[兄]沙本毘古王>と対立してしまったが、<比婆須比売命+真砥野比売命+弟比売命+[弟]朝廷別王>の勢力に乗って皇位を保つことに成功し、皇子⓭即位を実現した訳だが、⓬天皇の皇子・皇女<[兄]石衝別王+[妹]石衝毘売命/布多遅能伊理毘売命>は皇子との婚姻で取り込もうという目論見だったのだろうが、逆にそれが皇子独立を促したと見ることもできよう。
磐衝別命(祖:羽咋君, 三尾君)の地は能登であり、対馬海流が強いと日本海沿岸に近づけば自然に到達させられてしまう国際交流の重要な地と化していたのであろう。
  気多大社@能登国羽咋郡
  寺家遺跡@海岸砂丘上…渤海使滞在施設
  п山伏山古墳[前方後円50m]
  ][能登半島西側⇒三尾峠⇒東側
しかし、倭健命が依拠した主勢力は、尾張の地であり、能登とは言い難いが、中央の朝廷を経由せずに日本海の湊に到達するードが構築されていたのかも知れない。(そう思うのは、品牟都和氣命が言葉を発する兆候を示す切っ掛けになった鳥追い譚では、朝廷の勢力圏が示されているから。・・・ルートは、紀伊国⇒播磨国⇒因幡国⇒丹波国⇒但馬国⇒近江国⇒美濃国⇒尾張国⇒信濃国⇒越国であり、東能登⇔越の沿岸航路は安定していた筈だからだ。しかも、伊奢沙和気大神が座す場所であり、皇統断絶の危機に際しては、ここらの日本海側勢力の影響力が大きかったようだし。)

❾若倭根子日子大毘毘命/開化天皇
└┬△竹野比売(旦波大県主 由碁理の娘)
└┬△伊迦色許売命(継母/父の妃)
│├┐
│❿御真木入日子印恵命↓/崇神天皇
御真津比売命
└┬△鸇比売(葛城垂見宿祢の娘)
└┬△意祁都比売命(丸邇臣先祖 日子国意祁都命の妹)
日子坐王
└┬△山代 荏名津比売/苅幡戸弁
└┬△沙本大闇見戸売(春日 建国勝戸売の息女)
└┬△袁祁都比売命(近江 御上祝 が斎 する天之御影神の息女[妹])
└┬△息長水依比売(近江 御上祝 が斎 する天之御影神の息女[姉])
┼┼├┬┬┬┐
┼┼丹波 比古多多須美知能宇斯王
┼┼│○水穂真若王(祖:近江安直)
┼┼神大根王/八爪入日子王(祖:三野国本巣國造 長幡部連)
┼┼┼┼穂五百依比売
┼┼┼┼┼御井津比売
┼┼└┬△丹波河上 摩須郎女
├┬┬┐
比婆須比売命↓
┼┼真砥野比売命↓
┼┼┼弟比売命↓
┼┼┼┼朝廷別王(祖:三河穂別)

┌┘
❿御真木入日子印恵命/崇神天皇
└┬△遠津年魚目目微比売(木国造荒河刀弁の息女)
└┬△意富阿麻比売(祖:尾張連)
└┬△御真津比売命(大毘古命の息女)
├┬┬┬┬┐
⓫伊久米伊理毘古伊佐知命/垂仁天皇
│〇伊邪能真若命
国片比売命
┼┼千千都久和比売命
┼┼┼伊賀比売命
┼┼┼┼倭日子命
└┬△佐波遅比売命(沙本毘古命の妹)…皇后
│└〇品牟都和気命
└┬△氷羽州比売命(旦波比古多多須美知宇斯王の娘)
│├〇印色之入日子命
│├⓬大帯日子淤斯呂和気命↓/景行天皇
│├〇大中津日子命(祖:山辺別, 三枝別, 稲木別, 阿太別,
││   尾張国三野別, 吉備石无別, 許呂母別, 高巣鹿別, 飛鳥君, 牟礼別)
│├△倭比売命(伊勢大神宮 拝祭)
│└〇若木入日子命
└┬△沼羽田之入毘売命(氷羽州比売命の妹)
│├〇沼帯別命
│└〇伊賀帯日子命
└┬△阿邪美能伊理毘売命(沼羽田之入日売命の妹)
│├〇伊許婆夜和気命(祖:沙本穴太部之別)
│└△阿邪美都比売命
└┬△迦具夜比売命(大筒木垂根王)
└┬△苅羽田刀弁(山代大国之淵の娘)
└┬△弟苅羽田刀弁(大国之淵の娘)
┼┼├〇石衝別王(祖:羽咋君, 三尾君)
┼┼└△石衝毘売命/布多遅能伊理毘売命↓

┼┼┼
┌──┘
⓬大帯日子淤斯呂和気命/景行天皇
└┬△針間伊那毘能大郎女(吉備臣の祖 若建吉備津日子の娘)
│├┬┬┬┐
│〇櫛角別王
大碓命
┼┼●小碓命/倭男具那命/【太子】倭建命↓
┼┼┼倭根子命
┼┼┼┼神櫛王
└┬△八坂之入日売命(八尺入日子命の娘)
│├┬┬┐
│⓭【太子】若帯日子命/成務天皇
││〇【太子】五百木之入日売命
││押別命
││┼┼五百木之入日賣命
│└┬△弟財郎女(穂積臣らの祖 建忍山垂根の娘)

└┬△(妾)
└┬△(妾)
└┬△日向 美波迦斯毘売
└┬△伊那毘能若郎女(伊那毘能大郎女の妹)
└┬△訶具漏比売↓(倭建命の曽孫 須売伊呂大中日子王の娘)
大枝王/大江王
└──┬△(庶妹)銀王
┼┼┼┼├┐
┼┼┼┼大名方王
┼┼┼┼┼大中比売命

┼┼┼
┌──┘
●小碓命/倭男具那命/【太子】倭建命
└┬△布多遅能伊理毘売命↑(伊玖米天皇[11]の娘)
│⓮帯中津日子命/仲哀天皇

└┬△弟橘比売命
│〇若建王
│└┬△真黒比売
須売伊呂大中日子王
└┬△柴野比売(淡海 柴野入杵の娘)
┼┼迦具漏比売命↑
└┬△布多遅比売(近淡海 安国造の祖 意富多牟和気の娘)
└┬△大吉備建比売(吉備臣 建日子の妹 大吉備建比売)
└┬△玖玖麻毛理比売@山代
└┬△n.a.

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