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■■■ 「古事記」解釈 [2022.3.4] ■■■
[427][安万侶サロン]皇統譜捏造の指摘か
明らかに恣意的な不明瞭感を醸し出す効果を狙って、皇統譜、非記載としている箇所があると書いた。📖皇統譜非記載皇女が何を意味しているのか
天皇が娶った皇女にもかかわらず、その母親の血筋が不詳ということで、当該天皇段の系譜での起債を見送った訳である。しかし、皇嗣や後代の皇后を産んでいて母親不詳もなかろう。なんらかの事由があって、その部分は墨入れしたと考えるのが自然だろう。

しかし、皇統譜がおかしなことになっているのは、それに留まらない。
大毘古命に関係する系譜で、矛盾した記載が2つもあるからだ。

1つは、庶兄と呼ぶにもかかわらず兄の記載がない点。類似の名前があり、間違って記載してように映るが、これは天皇の詔である。

もう1つは、10代天皇の皇后が大毘古命の娘と記載してあるにもかかわらず、その系譜には娘が存在していない。しかも驚かされるのは。その天皇には、全く同一名の妹が記載されていること。

はてさて、どう解釈致しますかな。・・・

❽大倭根子日子国玖琉命
└┬△波邇夜須毘売(河内 青玉の娘)
│○建波邇夜須毘古命

└┬△内色許売命(穂積臣ら祖 内色許男命の妹)
┼┼├○大毘古命
┼┼│└────┬△ n.a.
┼┼┼┼┼┼┼├○建沼河別命(祖:阿倍臣ら)
┼┼┼┼┼┼┼└○比古伊那許志別命(祖:膳臣)
┼┼┼┼┼┼┼△[大毘古命の息女]御真津比売命
┼┼┼┼┼┼┼┼
┼┼├○少名日子建猪心命
┼┼└❾若倭根子日子大毘毘命
┼┼┼└┬△無┼┼
┼┼┼└○[天皇の庶兄]建波邇安王
┼┼┼└┬△伊迦色許売命(継母/父の妃)
┼┼┼┼┼┼┼┼
┼┼┼┼├❿御真木入日子印恵命
┼┼┼┼│└┬──┘
┼┼┼┼├⓫伊玖米入日子伊沙知命
┼┼┼┼├○伊邪能真若命
┼┼┼┼├△国片比売命
┼┼┼┼├△千千都久和比売命
┼┼┼┼├△伊賀比売命
┼┼┼┼└○倭日子命
┼┼┼┼
┼┼┼┼└△御真津比売命

もちろん、ミスですな、で済ますのが一番安易な手である。しかし、それは現代人の勝手な推理というより、それこそが牽強付会的解釈かも。
このようなことをしでかせば、中華帝国なら、即刻死罪間違い無しであるし、このような極めて単純な間違いに気づかないとしたら「古事記」そのものがいい加減な書ということになってしまう。
そういう意味で、実は、ことは重大なのである。

と云っても、[安万侶サロン]的にお気楽に考えれば、なんら難しいことは無い。

太安万侶の記載は適格というか、的確に実情を伝えてくれたのである。
簡単に言えば、大毘古命は、親身になって天皇を助けてくれる小父さん役、と書いてあるに過ぎない。

要するに、❿天皇が娶ったのは大毘古命の娘ではなく、同腹妹。もちろんのこと、重大な掟破りだが恋愛沙汰を云々したところで意味はない。
小父さんの一計は、皇女ではなく、自分の娘ということにしようというあからさまな誤魔化し。大毘古命は高位の皇族であるし、事実上軍事部門の最高責任者であるから、それが可能だった。そんなでっちあげを是としない官僚もいただろうが黙認するしかなかろう。

そうはいっても、傍系になってしまった、建波邇安王はカンカン。ただ、同腹兄妹婚はけしからぬという大義名分があり、廃位を迫られると厄介なので、妾腹兄と呼んで、正統の資格を欠く兄が皇位簒奪を図っているとして、そのような話を消し去ったのではあるまいか。

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