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■■■ 「古事記」解釈 [2022.6.9] ■■■
[524]虫文字は広範囲をカバー
「出雲風土記」を見ると、虫は視野外にあるのがわかるが、「古事記」はそれなりに虫偏の漢字を広く収録しており、倭人は虫について"それなりに"注目していることを示していると云えそう。
しかしながら、音が気にならない筈が無い蝉や、ロマンを生み出す素たる蝶、田畑を荒らす蝗が虫されており、虫にひとかたならぬ興味を持つ民の国ではなさそうである。
しかし、中華帝国と比較すると、特別な種に対する偏愛的とも言えそうな感情がありそうだ。
・・・といった印象を抱いていたので、用いられている虫偏漢字を眺めて整理してみた。この漢字は昆虫を意味していないので、当然ながら、昆虫学分類は無用である。

≪虫≫ 📖虫部
  【現代用語】
   虫蚊蚕蛇
   蛍蛮融
  【古事記用語】
   虫蚊蚕蛇
   <蠅><蝮><蛭><蛉><蜻><蛤>
   <𧏛><蜂><𧉫><蝦><虱><虹>
  【国字】えび あわび かまきり
  《蠱:呪術虫》
【毒虫 or 殺人虫】
 蛇 蝮
【水棲虫無毒】 蛙 蠑螈
【爬虫無毒】 蜥蜴
  《霊虫》
【螫】
 蜂 蚊 𧉫[阿牟≒虻]
【糸虫】
 蚕
【仮想】
 虹
【竜生九子】
  《軟体動物》
【介】
 蛤 𧏛
【無殻】 蛞蝓
  《原始集団》
【大量発生虫】
 虱 蛭
  《化わる虫》
【変態】
 "變三色之奇虫"(匐虫⇒鼓⇒飛鳥)
  《特別な脚の虫》
【蠕虫】 蚯蚓
【陸棲多足】 蜈蜙
 (吳公)
【水棲多足】
 蝦
  《空中移動する虫》
【樹中盛夏鳴虫】 蝉
【草中秋鳴虫】 蟋蟀/蟐
【翅】
 蝿 蜻蛉
【飛】 蝗
【灯】 蛍
  《特殊な虫》
【武器手】 蟷螂

【追記】上記には介が含まれており、貝偏文字も関係しないでもない筈だが、実態的には参考にする必要はなさそうである。(「古事記」からみると、貝部首の概念は"生物"ではなく、"貝殻の機能/価値"に映る。)📖安万侶版倭語表記用当用漢字集

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