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■■■ 「古事記」解釈 [2023.5.28] ■■■
[703] 「古事記」仮名 無禮音 理流禮呂漏
りるれろroラ行の頭📖(無介音)に引き続いて残り。

小生は、倭語は雑炊言語なりと決めつけているが、太安万侶のラ行音の扱いも、そんな見方を形成してくれた大きな要素。
倭語の子音の代表はあくまでも唇を使う破裂音的なもの。ほとんど練習する必要もないし、漢語と違って、柔らかで静かな発声でも相手は目と耳の両方で即座に認識可能だからだ。
しかしラ行音はそうはいかない。舌の運動自体、訓練しないと出せないのは自明。現代でも、地域訛りとされる逸脱ラ行音はそこかしこにあることを見ても、舌の運動に神経を集中させないとすぐに異なる音がでてしまうことがよくわかる。
現代でも、話語でのラ行音は相当に発音しずらいようで、「ら抜き言葉」はすでに定着しているし、「わかんない。」的な「ん化」も甚だしいものがある。・・・後者はnとの音便とか、関西弁に多くみられる<ん>好みとばかり思っていたが、それ以前に舌の運用が面倒なので<ん>で代替する気風が存在していると考えた方がよさそうに思う。

そもそも、英語のLとRの識別がほとんどできないのだから、考えてみれば当然だろう。何故そうなるのかなど、説明の要無である。母音言語であるから、用いる場合は母音に挟まれた音[ɾ]が圧倒的に多く、独立子音発声可能な人々と違ってわからないだけのこと。語頭に立たないルールと言うより、音を違えないと発音できないだけの話と違うか。

(乚:礼の終画変形)(〃) [萬]…礼 @漢音

禮/礼  [呉音]ライ [漢音]レイ [訓]れ ひろ あ おじぎ [吳語]li[客家語]lî
   稗田阿禮 宇士多加禮斗呂呂岐弖<此十字以音> 深淵之水夜禮花神<夜禮二字以音>
   故和禮<此二字以音>共追下者汝待取 以蛇比禮<二字以音> 亦追撥河之P而意禮<二字以音>爲大國主神
   和何多多勢禮婆:わがたたせれば 宇禮多久母:うれたくも 賣邇志阿禮婆:めにしあれば・・・
   神倭伊波禮毘古命
   伊波禮之若櫻宮 伊波禮之甕栗宮 伊波禮之玉穗宮


寸  1例のみ(御陵在石寸掖上:いはれのいけ)
  [呉音]スン [漢音]ソン [訓]みじか-い はかる とき き(甲) [吳語]tshen[客家語]chhun

「萬葉集」では、"いはれ"は石村と磐余。
「古事記」の"寸"は<れ>とは読めない以上、村(古い文字だが、「説文解字」は未収録で俗字扱い。)の略字ということにならざるを得ない。

(刂:利の旁)(〃) [萬]…理
理 人 所 降 入 在
太安万侶と「萬葉集」の違いが、里(裏/裡)と利の用法に表れている。
  【里】隣里 筑紫末羅縣之玉嶋里 七里
  【利】黥利目 高志之利波臣


(流の終画)(留) [萬]…流 @呉音
流 所 琉 留

📖"斯路具漏"表記は今一歩
(口:呂の初画)(〃) [萬]…呂【乙】 @呉音
呂 侶 樓 廬

ro [萬]…漏【甲】
漏 路

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