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■■■ 「古事記」解釈 [2023.5.31] ■■■
[705] 「古事記」仮名 執着和音
<W>の音とは、母音ɯと同形での発声なので、半母音とされ、軟口蓋接近音[ɰᵝa̠ ]らしい。両唇軟口蓋接近音[w]では無いとされている。( or 両唇接近音[β̞ä])

わにの発声が難しいとは思えないが、<わ>音の訓練は必要と見え、「庭に二羽の鶏が居る。」とか、「妾は笑われる謂れは無いわい。」といった手の練習がなされるようだ。一般的には難しい発声とされているのだろう。日本語母音の原点は、"阿⇒宇"発声なのに、<わ>は、"ウ⇒ア"と逆噴射を必要とする音になるので、口腔内の動きが追い付けないのかも。

(和の旁省画)(〃) [萬] @呉音

「古事記」仮名は極めて限定的。・・・
和  和邇  📖"わ"は和
   ・・・漢語の政治的意味からすれば、和睦近處となる。
  [巻十三#3346]率和出将見:いざわ出で見む
丸  丸邇
 [萬]…丸雪:霰 丸寐/丸宿:まろ寢 相狭丸:あふさわに・・・"ワ"の用例無し。
勾  三勾【助数詞なら"く"と読むが、把[羽 話も"わ"]として例外的に使用 】
    ・・・"美和" (「古事記」は"輪"非使用。)
「萬葉集」は「古事記」と違って、"三輪"である。
  [巻一#17]三輪乃山
  [巻七#1269]三名沫如:水沫のごとし
さらに、「萬葉集」は、拍の都合上、と読むことになる箇所も散見される。waとaのどちらが原義か気になるところだ。
 [萬]わ-れ/が/ぎ/ご 吾我己
  [巻二#177]吾等哭涙:我が泣く涙 [巻三#337]吾乎将待曽:我を待つらむぞ
  [巻五#799]大野山 紀利多知和多流 和何那宜久:大野山霧立ちわたる我が嘆く
  [巻十一#2489]橘本我立:橘の本に我を立て
  [巻十三#3272]己之家尚乎:我が家すらを
 [巻一〜三]での他の<わ>音。・・・わづきも知らず 大わだ淀むとも 騒く 忘れ/する 和射見が原 夢のわだ 草取りかなわ 和束山/和束杣山   手童 海神の/海中に 渡(濟)る/す/せ/り 別/れ 騒/き/く 若草 若子 忘れ/萱草 綿 たわや(手弱い)女の 破る 脇

≪和/咊/龢≫
[熟語]大和やまと 和泉いずみ 日和ひより 和毛にこげ 和御魂にきみたま 和布わかめ 和布刈めかり 和人シャモ 三和士たたき
[呉音]ワ  …真言宗
[漢音]クワ  …天台宗
[その後]オ  …一般@和尚
[吳語]hhu
[客家語]fò
[廣東話]wo
[閩南話/福建話]hām
[普通話]和hé平 和huó面 溫和huo 和hú牌 和hō了ホーラ


(和邇=和仁、鮫=佐米。前者は4足で、鰐魚/Crocodileと鼉/Alligatorは区別されている。@平安期)
【追記】音韻論そのものにはほとんど興味が無いので、いい加減な記載に終始しているが、止むを得ないと達観している。と言うか、日本語の雑炊性の凄さには恐れ入る、といった所。
音韻論的解説では必ずローマ字表記が入ってくるが、書き方がマチマチなので、小生のような素人にはまともに読めたものではないが、そう感じる人は実はいないのかも。ローマ字表記について、○○式と名称をつけ、"異同あり"を当然視する習慣が出来上がっている以上、皆、それに従う訳で、本質的にグダグダ表記と言うに過ぎないからだ。「古事記」の時代となんら変わっていないことになろう。・・・ローマ字表記は、おそらく5種類ある。英・仏・蘭・独・西式ということ。当たり前だが、実質的覇権国言語に合わせ、基本は英語式になる。しかし、そこここに不具合が発生しない訳がなく、異なる方式も入れざるを得ない。従って、英語式ローマ字表記と読んでは拙い。そうそう、御存じのように、これらすべてからの渡来語彙がすでに大量に日本語化されており、母国語話者にはわからないほど音が変化している。


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