→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2023.7.2] ■■■ [736] 太安万侶:「漢倭辞典」🌳 里山好きでなくとも、言葉から情景が浮かんできて心から"しみじみ"として来るからである。こうした言い回しを大事にするのは、「古事記」の頃から綿々と続く伝統が保たれているからでは。 <乙類き>の字は色々あるが、「古事記」仮名としては<紀>📖紀岐疑藝を基本としているので、歌では滅多に使われない。読みが、変格活用で馴染みの動詞の<来>同様に<k>に付く母音が自在に変化するからだろう。どうしてそこまで音にこだわるのかと気になるところ。(そういえば、何故に動詞活用という言語習慣が始まったかについて語られているのを見たことが無い。これは、概念的把握ができないので、とりあえず精緻に現象を分析し、人々が暗記し易いように設計した文法でしかないことを意味する。将来の人々に、新文法樹立を期待するしかあるまい。) 実際、< 現代日本語 ほとんどお遊びに近い当て字も多い。なかには直輸入語彙もありそうだが、漢籍を読む習慣が無いと、すぐに判別できそうにない。 (立木〜木立 材木〜木材という倒置表現は珍しい現象ではない。古くは、月日〜日月で、新しくは、論理〜理論。○々の重畳表現はオノマトペから始まるお好み表現であろう。基本語彙の2文字化が進むと、集合名詞的に多用されておかしくない。) 古語(当て字) もちろん、漢字以外にも<木>の頻繁使用例はある。渡来語であることは分かっても、日本語を母国語としていないと元音が想像し難い程に大胆に変換されているのが特徴。雑種言語ならでは。 (クリスマス)ツリー③ Tree[①tɹiː] バウム③(クーヘン) Baum-[①baʊm] 音読みは<呉モク><漢ボク>であり、訓<k>との祖語上の接点はなさそうだが、「説文解字」的見地からの文字イメージとしては倭人感情にピッタリ合っていたように思えてくる。漢語とは、文字成立時点で表意の意義を消滅させる方向に進んでしまったが、話語に拘った倭人はついに文字表記化に進むにあたって、忘れ去られてしまった"表象への情感"を読み取ったのではあるまいか。・・・ ↓現代官語 (=𣎳/朩@香港/台湾) …冒(:覆)@「説文解字」 [義①][synecdoche㊦]生きている植物(樹木Tree) [義②][synecdoche㊤]伐採後の用材(材木Wood) "rice"の語義は①稻⇒②米⇒③飯。"飯"の語義は①穀類を炊いた食品⇒②食事/餐 ---≪木≫用例--- 木113(2)… き:木梨之軽王 き/け:謂易子之一木乎…木[子]の一つ化[木]カナ…極めて高踏的表現 ぎ:高木神 こ:フ其木実 モク:風木津別之忍男<訓風云加邪訓木以音> …五行・七曜の読み方 ⇒[国字] …生植之緫名@「説文解字」 ---≪樹≫用例--- 樹7…切伏大樹 其天沼琴拂樹 住是鷺巣池之樹鷺乎 取懸樹枝 免寸河之西有一高樹其樹之影・・・故切是樹以作船 指擧角者如枯樹 …戶㯰@「説文解字」 意味的には、 ---≪植≫用例--- 植2…即竹植其堤也 植栗王["う"が脱落した"ゑくりのみこ"とされている。] 尚、「古事記」では"殖"は非使用。 …平土有叢木@「説文解字」 ⇒[国字] ---≪林≫用例--- 林1…林臣(@河内国志紀郡拝志) 樹林・森林・雑木林という用語から見て、木々が山盛り状に見えると<森>ということのようだ。「古事記」では、その様な場所の名称は、倭では、あくまでも<山>であり、呼び替えする必要無しなのだろう。 …木多皃@「説文解字」 (C) 2023 RandDManagement.com →HOME |