→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2023.9.30] ■■■ [821] 太安万侶:「漢倭辞典」伊 その流れで、仮名<i>を再度取り上げておこうと思う。📖「古事記」仮名8母音 伊韋 よく見ればすぐにわかることだが、呉音イの漢字などいくらでもあり、仮名としては<伊>が妥当そうということで選んだからといって、気にせず適当に用いている訳ではない。「古事記」読者層は、漢語用法についてよくご存じな訳で、単なる"音"として読むだけではなく、そこに言語としてのイメージが被さってくるからだ。(但し、その"配慮"を現代人が理解できるかは別な問題。) <伊>はそこらが見えてくる好例。・・・ ≪ 發語詞[無義] 固有名詞[聖人 河] 人称代名詞 歌に於ける純仮名用例は以下の如しで、「い-動詞」の意味がわかるようになっている。 【名詞尾に付く】 【名詞頭に付く】 上つ瀬に 【動詞頭に付く】 無義の語彙をわざわざ動詞の頭に付けることは考えにくい。従って、漢語の<伊>から見て、<い-動詞>の意味するところはほぼ自明。単発的ではなく持続的な様相の行為を開始することを示していると見てよいだろう。ただ、そうだとすればいかにも情緒的な言葉。話語では多用されてもおかしくないが、情景を文章から読み取る時代に入れば、使われなくなってもなんらおかしなことではなかろう。 現代語<い> 【質問・反語の終助詞】 【(方言)方向・場所の格助詞】 【名詞(類)の接尾語[形容詞化]】 室町期語<い> 【念押しの終助詞】接続語彙:動詞命令形 助動詞(た/だ) 終助詞(な[禁止] か[質問]) ⇐終助詞<よ> or ⇐(←<え>←)係助詞<や> 古語<い> 【強調の間投助詞】接続語彙:名詞 活用語連体形(被修飾語との間に位置する。) (主語名詞の場合は格助詞扱いもありえる。) 【副助詞】接続語彙:名詞(類) (後置副助詞<し> 後置係助詞<は>の用例あり。…間投助詞に該当せず。) 【語調調整の接頭語】接続語彙:動詞 (C) 2023 RandDManagement.com →HOME |