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■■■ 「古事記」解釈 [2022.10.13] ■■■
[歌鑑賞11]みつみつし久米の子等が頭椎い
【久米人】@東遷敵を騙し討ちにする合図
意佐加能をさかの 意富牟盧夜爾をふむろやに 比登佐波爾ひとさはに 岐伊理袁理きいりをり 比登佐波爾ひとさはに 伊理袁理登母いりをりとも 美都美都斯みつみつし 久米能古賀くめのこが 久夫都都伊くふつつい 伊斯都都伊母知いしつついもち 宇知弖斯夜麻牟うちてしやまむ 美都美都斯みつみつし 久米能古良賀くめのこらか 久夫都都伊くふつつい 伊斯都都伊母知いしつついもち 伊麻宇多婆余良斯いまうたばよらし
⑯(4-6)-(5-5)-(5-6)-(5-5)-(5-7)-7-(5-6)-(5-7)-8

    故 明將打其土雲之歌曰
歌を合図に打殺。
    如此歌 而 拔刀
    一時打殺也

忍坂の大室屋に  忍坂の大きな土室に
人多に  多くの人々が
来入りをり  来りて入り込んだ
人多に  (いくら)多くの人々が
入り居りとも  入って居ても

みつみつし  気力充実している
久米の子等が  久米の一族が
頭椎い  瘤付きの大刀と
石椎い持ち  石大斧を手に持って
討ちてし止まむ  討伐すれば (絶滅させるまで)止まらぬ

みつみつし  気力充実している
久米の子等が  久米の一族が
頭椎い  瘤付きの大刀と
石椎い持ち  石大斧を手に持って
今討たば宜し  今 討伐すれば (一番)善かろう

この歌からは、正真正銘の戦闘から生まれた久米歌である。📖久米部歌謡こそ和歌原型 📖「古事記序文講義」(6:久米歌謡の意味)
朝廷を作り上げるための苦闘を記憶に残すべく創られたと見てよいだろう。文からすれば、御製歌としてもよいが、天皇命で久米部が歌謡を披露し参列者の感動を呼ぶ状況を想定した方がしっくりくる。

ストーリーは、騙し討ち成功という以上ではなく、その大成功を皆で祝おうというもの。現代感覚からすれば、政治の現実とはそんなものでしかなく、それを上手に言い換えるための理屈か誤魔化しがなされるものだが、そのような発想は全く浮かばないようで、余りに直截的であるところが驚きである。部族感覚濃厚とでも言うべきか。

World War II末期、日米の戦力の質量ともに彼我の差は歴然としてしまったので、戦意高揚を果たさねば国体護持も危うくなりかねないということで、マスコミが率先して活用した歌として知られる。腐敗する政財界とは違って、崇高なる精神の大日本帝国陸軍の将官を大いに褒めたたえて来たのだから、当然の姿勢である。・・・
大東亜戦争を戦ひ抜く一億の決意を示す言葉として「撃ちてし止まむ」の合言葉が用ひられてゐますが、「撃ちてし止まむ」とは結局「撃たずば止まじ」すなはち殲滅しなければ止まないといふ意味です。

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