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■■■ 「古事記」解釈 [2022.12.4] ■■■
[歌鑑賞62]つぎねふ山代女の木鍬持ち…根白
【天皇】志都歌之歌返家出皇后に元の鞘に収まって欲しい、と
都藝泥布つぎねふ 夜麻志呂賣能やましろめの 許久波母知こくはもち 宇知斯淤富泥うちしをふね 泥士漏能ねしろの 斯漏多陀牟岐しろたたむき 麻迦受祁婆許曾まかずけばこそ 斯良受登母伊波米しらずともいはめ
㊇(4-6)-(5-6)-(4-6)-(7-8)

    又歌曰
つぎねふ  📖枕詞「つぎねふ」考
山代女の  山城の女が
木鍬持ち  木製鍬を持って
打ちし大根  土を打ち起こして収穫する大根(の様に)
根白の  根っから真っ白な
白腕  白い腕と
枕かずけばこそ  (吾が)枕事で交わしてもいないとか
知らずとも云はめ  (そんなこと)知らないと言う(訳ではあるまい)

皇后に伝える歌の続きになるが、睦会った仲ではないか、吾はあの魅力的で美しい白き腕が忘れることなどできないのに、と復縁の説得にかかる訳である。

前歌は精神的なものだが、こちらは肉感的で、両者揃える必要ありということか。

どうあれ、天皇としては必死の一手を編み出したに違いない。
ことの発端となった豐樂用御綱柏廃棄を見るに、祭祀については皇后おまかせ状態だったようだから、代替者が見つからなければ、大和朝廷機能不全に陥りかねないのだから。

しかし、この程度でどうにかなるものだろうか、とは誰でも感じる訳で、ここから先がよくできている。ほとんど歌物語と言ってもよさそうで、ここまでの3首をネタに話が膨らんでいく。

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