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■■■ 「古事記」解釈 [2022.12.16] ■■■
[歌鑑賞74]汝が御子や遂に知らむと
【建内宿禰】祝歌片歌雁卵で寿ぎ
那賀美古夜ながみこや 都毘邇斯良牟登つひにしらむと 加理波古牟良斯かりはこむらし
㊂(5-7)-7

    ・・・如此白 而
    被給御琴 歌白

解説あり。
    此者 本岐歌之片歌也
汝が御子や  汝 御子殿よ
遂に知らむと  初耳でございましょう と云うことですが
雁は卵産むらし  雁は卵を産むようでございます。

建内宿禰の前歌の続きでしかないが、ここからは特別。天皇から御琴を賜って続けることになるからだ。瑞兆に対応する壽歌とされるが、このことで、中巻⇒下巻の時代を画す歌として位置付けられていることが明白になる。

それは、琴が登場するからである。📖楽器を神器の琴に限定していそう

琴はレガリアの【天詔琴】でもともとの位置付けははっきりしている。
神器であり、大雀天皇の祖父も、琴を弾じて神意を伺っていたことがある。・・・
その時、神の御言葉を沙庭で伺っていたのが建内宿禰。その結果、皇后に神が付くことになる。しかし、天皇はそれを詐~と見なし御琴をひくのを止めてしまうのだが、神が大忿されたので、建内宿禰は"あそばせ"と申し上げ再開される。そこで天皇はコト切れてしまう。
   不聞御琴之音 即 擧火見者既崩
まだ、父君がお腹の中という頃の出来事。

そのような琴だが、その当事者だった建内宿禰に、今度は孫にあたる天皇が、寿ぎということで祝い唄を歌えと命ずることになる。
おどろおどろしいご神託を伺うための神器から、祝い歌の伴奏楽器へと変わりつつあることが示されていると云えよう。

どうにでも解釈可能ではあるが、天皇は"そんなことあるのかネ"と真剣な面持ちで質問し、建内宿禰は"ある訳がないでしょう。"と真面目に答えたということ。
そこで、やおら天皇が用意してあった御琴を持ち出して来て、"瑞兆の寿ぎを歌ってみよ。"と御声をかけられたので建内宿禰も冗談半分だったことに気付いて、"報告を信じてらっしゃたのかと思ってしまいました。"と返して、楽しんだということだろう。そうだとすれば、奏者天皇で、臣下が唄うというシーンが嵌る。
これは片歌であり、断片句を歌いながら、宴会に突入したと見てよかろう。

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